玉屋2060%(Wienners)、バンドマンとしてのアイドルソングとの関わり方 でんぱ組.incら楽曲提供を通して得たもの

玉屋2060%、アイドルソングとの関わり方

――Wiennersのアサミサエさんも楽曲の中で高音のメロディを歌うことが多いですが、女声のメロディという意味でアイドルへの提供曲と通じる部分もありますか。

玉屋:意識して分けているわけではないですけど、それこそアサミサエにはアサミサエのキャラクターや合うメロディがある。バンドでやるときはもうちょっとエゴを出してもいいっていう前提があった上で、彼女が歌えて嬉しいと思えるようなことをやってもらえたらよりバンドも輝くと思っているので、そこはアイドルとの線引きっていうよりも一人ひとりの違いですね。

――アイドルの場合も、グループごとのくくりだけじゃなくて、メンバー一人ひとりに向けているというか。

玉屋:そうですね。大きく言えばグループっていう大枠なんですけど、そのグループの色ができあがっている要因を見たらやっぱり個じゃないですか。なので結果的にそこに辿り着くというか。それは本当に面白いところですね。話を聴いたりボーカルディレクションに行ったりして個性をみると、色んな人がいるんだなって思います。

理想は、NHKの『みんなのうた』

――歌詞を書くときに気をつけている部分はありますか?

玉屋:自分のバンドも含めてなんですけど、誰でも知ってるけど誰もチョイスしない言葉を使いたいと思っていて。難しい言葉は使いたくないんです。理想は、NHKの『みんなのうた』。例えば「残さず食べましょう」とか、歌詞にはあまりチョイスしないじゃないですか。でもそういう言葉を使いたいというか。「残さず食べましょう」っていう言葉も、前後関係ですごく泣ける言葉になると思うんですよね。あとこれはアイドルに限らないですけど、喋っているイントネーションとできるだけ同じにするっていうのも考えています。「おはようございます」っていう歌詞があったとして、そのイントネーションとは違うメロディに乗せたら、気持ち悪いんですよね。逆にわけわからなく聴かせたいときは、そのイントネーションをめちゃくちゃにする。それは割と使い分けてますね。

――改めて、楽曲提供とバンドとして作曲するときの大きな違いは?

玉屋:楽曲提供のときは、自分の培った知識を使って、自我はなく、でも自分が納得できるものを、歌ってくれる人に喜んでもらうために作る。バンドでやるときは、自分がやりたいことっていうのが一番大きな違いですかね。今はそんなことないんですけど、意外と自分のバンドの方が曲を作るのが難しかった時期があったんですよ。依頼してもらったものって、ある程度制約の中で作るじゃないですか。しかも自我がないから、これも入れたい、あれも入れたいってあまりならない。だからすごく作りやすいというか、ゴールが決まっているんです。バンドで作るときもゴールは決めているんですけど、どうしても欲がでちゃって、あれもこれもって言ってるうちにわけわかんなくなっちゃうことがあって(笑)。なので、そうならないために自分に発注書を書くようにしたんですよ。玉屋さん、Wiennersにこういう曲を作ってくださいって書いて、読んで、分かりました、みたいな(笑)。曲を作る前に、こういう曲を作りたいって文字にするとゴールに辿り着きやすくなるというのはあるので、最近はバンドの曲もスピーディに作れるようになったんです。それは楽曲提供をやっていてよかったなって思うことですね。

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