jon-YAKITORY、新曲「謀反くん」に無名の歌い手・Yupman起用 Adoに続くヒットとなるか
ここ数年、さらなる盛り上がりを見せているボーカロイドシーン。2020年以降も、日々重要人物の登場によりその歴史は更新され続けている。そんな、ここ数年でのボカロシーンを語るうえで外せない人物のひとりとして、そしてこの先も注目したいひとりとして、jon-YAKITORYが挙げられるだろう。
2013年からボカロPとして活動しているjon-YAKITORY。彼の名前を世間に知らしめたのは、2020年3月に配信リリースされた「シカバネーゼ feat.Ado」だろう。元々ボーカロイド flowerの歌唱でリリースされていた楽曲だが、同年10月に「うっせぇわ」でメジャーデビューする直前、まさにブレイク前夜のAdoをフィーチャーしたバージョンで、見事Spotifyの国内バイラルチャート1位に輝いた。
ミドルテンポのトラップビートが続くトラックに、Adoの気だるげでダークな歌声が溶けるように混ざる「シカバネーゼ」。低音のエッジが効いたAdoの歌唱は、サビでも張り上げることはないものの圧倒的な存在感を醸し、曲全体に漂う沈み込むような雰囲気をさらに引き立てる。flowerの歌声とマッチする暗めのトラップビートは、Adoが歌うことでさらにその魅力を増す形となった。
「シカバネーゼ」に代表されるjon-YAKITORYの楽曲はこのほかにも、同じくAdoの歌う「イート」や「螺旋」など、皮肉や毒のある歌詞や、混沌とした感情を表すようなエレキギター、淡々としたトラップビートが混ざり合う楽曲が多く、洋楽的なビートとギターサウンド、感情を吐き出すような歌詞が融合した楽曲はjon-YAKITORYの持ち味のひとつだと言っていいだろう。
しかし一方で、古川由彩を迎えた「ススメ!」では古川の明るく弾むような声色に似合うダンスポップで歌声を彩り、アニメ『探偵はもう、死んでいる。』のオープニングテーマ「ここで生きてる」は、めありーの澄んだ歌声を生かした爽やかなキーボードフレーズが涼しげな楽曲となっている。さらに、スマホゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』に書き下ろされた新曲「街」は、ギターサウンドが清々しいミドルバラード。「シカバネーゼ」のようにヒップホップやベッドルームミュージック等からの影響を感じさせる曲調を得意としながらも、ボーカリストの声質と楽曲の魅力を相互に向上させるような変幻自在なソングライティングができる作曲家でもある。