日向坂46、『W-KEYAKI FES.』で示した櫻坂46愛と欅坂46への敬意 想像を超えるエモーショナルな公演に
情熱的な「僕なんか」を終えたところで、改めて佐々木久美が「この『W-KEYAKI FES.』でしかできない、『W-KEYAKI FES.』だからこそできる、私たちの大好きで偉大な先輩方の曲を披露させていただきたいと思います」と語ると、けやき坂46時代に披露していた欅坂46の楽曲「語るなら未来を…」を現編成でパフォーマンス。齊藤京子がセンターを務めるこの曲では、欅坂46ならではのオリジナル感を大切に、丁寧さと豪快さを共存させながら歌い踊るメンバーの姿が印象的だった。と同時に、彼女たちは欅坂46の遺伝子を残したまま、現在の形に進化しているのだという事実にも改めて気付かされた。
この空気を引き継ぎながら、続く「My fans」では2組に分かれた彼女たちが客席左右に設置されたサブステージに移動し、バトルのような激しいパフォーマンスを展開。「アディショナルタイム」では再びウォータースクリーンを用いた映像演出が、楽曲に華を添える。そして、「NO WAR in the future 2020」「誰よりも高く跳べ!2020」といったライブ定番曲が立て続けに繰り出され、会場のボルテージも最高潮まで達することに。野外というシチュエーションとウォーターショットなどを用いた演出も相まって、過去最高と思えるほどの盛り上がりを見せた。
メンバーも興奮を隠せない様子だが、ライブ本編は次の曲で最後。「今は皆さん声を出せないですけど、いつか声が出せるようになった日にみんなで一緒に歌っていきたいなと思っている曲です。一緒に心の中で歌ってくださるとうれしいです」という佐々木久美の言葉に続いて歌われた「知らないうちに愛されていた」では、聴いているだけで心が温まるような歌とメッセージで会場がひとつになり、エンディングのシンガロングパートではみんなが一丸となって歌っている光景も想像に難しくないものだった。
この日のアンコールは、初日の「キュン」に代わり「ドレミソラシド」からスタート。幸福感の強いサウンドと笑顔を振り撒きながらのパフォーマンスに、再び会場が温かな空気に包まれていく。
佐々木久美からライブの感想を求められると、齊藤は「考えてみたら最初の『欅共和国』から私たちは参加させてもらっているので、本当に感慨深いですし、“ケヤフェス”もこうやって毎年やらせていただけてうれしいです。来年は櫻坂さんと影山優佳も、全員で出れたらなと思います」とコメント。この言葉を受けて、佐々木久美も「菅井キャプテンってさ、私たちにとってのキャプテンでもあるじゃん。みんなのキャプテンだから、最初の言葉も私、読みながら感動して。ゆっかー(菅井)って本当にすごいと思っちゃった。来年は絶対に2グループ集まれたらいいなと思います」と、来年へ向けての意気込みを口にした。
また、昨年は休養中だった小坂は「私は今年が初めての“ケヤフェス”参加なんですけど、こんなに皆さんがタオルを掲げてくれたりペンライトを振ってくれて、野外のライブって素晴らしいなと心の底から思いました」と感慨深げに話し、髙橋未来虹は現在公開中の日向坂46ドキュメンタリー映画『希望と絶望 その涙を誰も知らない』のある場面に触れつつ、「去年の“ケヤフェス”は悔しい思い出だったけど、今年は私自身、去年よりも全部出し切れたんじゃないかなと思いました」と笑みを浮かべながら語った。そんな彼女たちの言葉に感化されたのか、佐々木久美は「去年、富士急ハイランドの『ええじゃないか』の前に欅の木を植えまして。あの子まだ2歳なんですけど、(欅の木は)なんと寿命が1000年らしくて。最低でも1000年は『W-KEYAKI FES.』を続けていきたいな(笑)。わたしたちの根っこである欅坂に帰ってこられる、この場所が私たちは大好きなので、来年からもずっと守っていきたいなと今日改めて思いました」と力強く宣言した。
その後、おひさまへのサプライズとして9月10日にAICHI SKY EXPOを皮切りに、全国4会場・8公演の新たな全国アリーナツアーを開催することをアナウンス。最高のプレゼントを受けたおひさまは、続く「JOYFUL LOVE」で広大な会場を虹色のペンライトで染め上げ、日向坂46へ感謝の気持ちを伝える。そして、正真正銘のラストナンバー「日向坂」では事前にメンバーから指示があったとおり、ステージ中央の客席が緑、向かって左側が白、右側が空色のペンライトで染まっていく。欅坂46(=緑)という大きな木から、櫻坂46(=白)と日向坂46(=空色)に枝分かれする様を体現したこの演出は実に見事なもので、日向坂46から櫻坂46への愛、そして自分たちが生まれるきっかけとなった欅坂46への敬意も伝わるものだった。
コロナ禍での初開催とあって、昨年は手探り感もあった『W-KEYAKI FES.』が早くも次の段階に入ったことが伝わった今年の日向坂46による2公演。もしここに櫻坂46の2公演が加わっていたら、どんな対比を生み出したのだろうか……その答えは1年後に提示されていることだろう。来年こそは2グループが全員健康な状態で、全日程を無事敢行できることを願っている。と同時に、来年へつなぐための重要な任務を全うした日向坂46にも、感謝の気持ちを送りたい。
■セットリスト
『W-KEYAKI FES. 2022』
2022年7月23日(日)富士急ハイランド コニファーフォレスト
01. 太陽は見上げる人を選ばない
〜Overture
02. キツネ
03. 君しか勝たん
04. アザトカワイイ
05. 思いがけないダブルレインボー
06. もうこんなに好きになれない
07. 好きということは… 〜 真夜中の懺悔大会
08. 世界にはThank you!が溢れている 〜 恋した魚は空を飛ぶ
09. この夏をジャムにしよう 〜 ゴーフルと君
10. 川は流れる
11. 飛行機雲ができる理由
12. 僕なんか
13. 語るなら未来を…
14. My fans
15. アディショナルタイム
16. NO WAR in the future 2020
17. 誰よりも高く跳べ!2020
18. 知らないうちに愛されていた
<アンコール>
19. ドレミソラシド
20. JOYFUL LOVE
21. 日向坂