日向坂46、ターニングポイントに迎える『W-KEYAKI FES. 2022』 東京ドームを経た“期別パフォーマンスの成長”が見どころに

 7月20日に東京ドーム公演『3周年記念MEMORIAL LIVE ~3回目のひな誕祭~』のDVD&Blu-rayを発売する日向坂46。その翌日には『W-KEYAKI FES. 2022』が開幕ということで、進化と変化を繰り返す彼女たちのパフォーマンスと、『W-KEYAKI FES. 2022』の見どころに迫ってみたい。

 日向坂の魅力は、メンバーの個性的なキャラクターや、バラエティでの団結力など様々だが、前身グループであるけやき坂46時代から変わらないのは、ライブパフォーマンス力である。3月30日、31日に開催された彼女たちの大きな目標であった東京ドーム公演を終えて感じたのは、今や誰もが主役になれるほどの個々の存在感と、一期生、二期生、三期生のカラーがはっきりしてきたことで、それぞれが1グループとして成立するほどの表現力を持ち、またそれが混ざり合うことで見る者を笑顔にさせる化学反応が起きるのだということ。

 それを生み出した要因は、ドームに辿り着いた万感の思いはもちろんのこと、これまで日向坂を牽引してきた二期生・小坂菜緒が休業から復帰したことでさらに団結力が高まったこと、まだ卒業が公表されていなかった渡邉美穂が「抱きしめてやる」のセンターで会場がどよめくほど全ての思いを出し切るようなパフォーマンスをしたことなど、様々であろう。そうした思いが交差する中で、おひさま(ファンの呼称)がこれまで頑張ってきたメンバーを最高の虹を作り温かく包み込んでいくことで、グループを取り巻く全ての人にとって集大成のライブとなった。

日向坂46『3周年記念MEMORIAL LIVE 〜3回目のひな誕祭〜 in 東京ドーム』ダイジェスト映像

 7thシングル『僕なんか』に収録された特典映像では、これからのテーマを一期生は「攻める」、二期生は「信念を貫く」、三期生は「強くなる」と掲げていたが、ドーム公演はその個性が色濃く出ていたライブでもあった。一期生の特徴は、高い技術と隙のないチームワーク。加藤史帆や齊藤京子だけではなく、ドームでは潮紗理菜のパワフルなダンスや、影山優佳の豊かな表情などが印象的で、それぞれが個性的だが合わさると一体になるバランスの良さも一期生ならではの団結力だ。また最近は、佐々木美玲をはじめ、どこか肩の荷が降りたように自然体で活動をしているメンバーも増えているように思う。7月8日に公開された日向坂のドキュメンタリー映画『希望と絶望 その涙を誰も知らない』でも語られていた、“ライブはまず自分達が楽しまないと”という思いに気づき、存在意義さえ分からなかった自分達がドーム公演を成功させるまでになったことで、アイドルの楽しさを実感できているのではないだろうか。あえて「攻める」というテーマにしたことは、もはや無敵モードに突入していると思えるような充実感の表れであろう。

 そして過渡期となる二期生。彼女たちのパフォーマンスは力強く、ライバル関係でもある同期の仲間と切磋琢磨し成長してきた印象で、日向坂のパフォーマンスも今や二期生を中心に展開している。エースの小坂が休業したことで二期生全体が奮起し、なかでも同い年の金村美玖は「ってか」でセンターを任されるほど成長を遂げ、ドームでの「青春の馬」での立ち振る舞いは、かっこよさだけでなく、頼もしさも感じさせた。そうした意味でもドーム公演が決まってからの2年間は二期生の成長物語だったと思うし、もともと個性と個性がぶつかり合うことで力強さを見せてきた二期生だけに、グループのまとめ役だった渡邉が卒業したことで、今後は誰がまとめ役になっていくのかにも期待がかかる。それにより新章を迎えた日向坂の方向性が見えてくるはずだ。

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