でんぱ組.inc 鹿目凛&小鳩りあ『DEMPARK!!!』インタビュー “夢”というテーマに込められた本質のメッセージ
その人にとっての生きる希望=夢をちょっとでも提案できたら
ーーアルバムの中でそれぞれが個人的に好きな曲もあげてもらえますか。鹿目:私は「玉虫色ホモサピエンス」が好きですね。最初は、愉快な曲調で、メンバーみんなの個性が誇張されているところが面白くて大好きだなって思ってたんですけど、先ほどもお話したアスペルガー症候群の公表をしたことで、ファンの方から「玉虫色ホモサピエンス」の聞こえ方が変わったと言ってもらうことがあって。〈あー人間なんて よくわかんない〉から始まって〈私は私!〉で終わる。名古屋公演は私にとっても人生のターニングポイントになったし、私自身も聞こえ方が変わりました。
小鳩:今回のツアーではやらなかったんですけど、新メンバーお披露目の時に歌った「プリンセスでんぱパワー!シャインオン!」が私にとっては原点の曲ですね。新メンバーが5人も入ることになって、ファンの方も戸惑ったり、いろんな意見をいただいたりもしたんですけど、その中でも堂々とやっていかないといけないという強がりの気持ちで、〈幸せにしてあげる〉とか〈空も飛べそう〉の部分を歌っていた記憶があります。その後スタジオバージョンをみんなで歌った時に、強がりではなく、心の底からちゃんと言えるようになったことを実感して。1年半前とは聞こえ方も違う曲になったなって思います。
ーー全14曲を収録した新体制初のアルバムが完成して、どんな感想を抱きましたか。
小鳩:ちょっと妖しげな印象のある新曲「ゆらめく空中戦」を含めて、この1年半という短い期間で、こんなにいろんな方向性のでんぱ組.incを見せられていたんだなって思うと感慨深いですね。
鹿目:思い出の写真アルバムのようになっているなって感じています。「ドキ+ワク=パレード!」や「初体験」、「DNA」は実はレコーディングした時点ではあんまりしっくりきていなかったところがあったんです。でも、ライブでやっていくうちに、でんぱ組.incが今やろうとしていることがどんどん自分の中で吸収できた。だから、今の心境としては、全曲ちゃんと自分の中に入れているし、そういう点でも成長できたんじゃないかなと。
ーー今、でんぱ組.incがやろうとしていることとはなんですか。
鹿目:「ドキ+ワク=パレード!」は当初、でんぱ組っぽくない気がしていたんですね。
ーー一見すると明るくてポジティブに夢を語っている印象なので、でんぱ組っぽくないと言われることもありましたね。
鹿目:そうですね。最初に聴いた時に「前向きすぎて眩しい!」と感じた人が多かったと思うんですよ。今の時代、みんな必死に生きているじゃないですか。その中で、夢とか言われても、一部の人しか叶えられるものじゃないよとか、今の自分はそれどころじゃないよとか、そういう人が多かったんじゃないかなと思っていて。私もレコーディングした時に、説得力が出せるのかがちょっと不安なところもありました。でも、今回のツアーで、自分の夢ってなんだろうかと自分と向き合うことで、「ドキ+ワク=パレード!」の本質が見えてきて。今は自信を持って歌えるようになりました。
小鳩:より説得力を持ったなって、「ドキ+ワク=パレード!」は特に思いますね。最初に聴いた時は、この曲で泣く日が来るとは思わないじゃないですか。でも、メンバーそれぞれの独白があった後に、「ドキ+ワク=パレード!」が流れて、すっごく泣ける曲だなと思って。福岡公演でも泣いて歌えなかったメンバーもいました。
ーーあおにゃん(空野青空)は、独白をしたりあぴ(小鳩)とりとくん(天沢璃人)より号泣していたそうですね。
鹿目:ふふふ。あおにゃんはすごく共感性が高い子なんですよ。
小鳩:自分の夢のことで、自分よりも泣いてくれる人がいるってことが嬉しかったです。この曲もお客さんから「このツアーで印象が変わった」と言われることがありましたね。
ーーこのアルバムも「夢」が一つのテーマになっていますよね。ぺろりんが先ほど言っていた、「ドキ+ワク=パレード!」の本質というのは?
鹿目:夢っていうのは、大きく言うと、生きる希望なのかなって感じていて。夢や目標があれば、人間は困難や苦労を乗り越えていけるけど、夢がなければ、生きている意味がわからなくなっちゃうことがあると思うんですよね。ただ、夢は大きいものを掲げなさい、叶わなかったら失敗みたいなイメージもあると思うんですけど、私たちは、「ドキ+ワク=パレード!」で、夢は大きくても、小さくてもいいって歌っていて。「明日、散歩したいな」でもいいんですよ。そういう、その人にとって生きる希望=夢をちょっとでも提案できたらいいなっていうのが、この曲の本質なのかなと思っています。
小鳩:私は、夢に対して極端な捉え方をしていたなって思っていて。高校3年生で進路を考える時期に、親に「いい大学に行って、いい会社に就職して、いい人と結婚する、普通の人生を歩んでほしい」と言われて。私はそれが納得いかなかったんですね。それは自分の生きたい人生じゃないなって。幸せなのもわかっているし、それができる人は本当にすごいと思う。人それぞれ幸せな生き方があると思うんですけど、私にとっては、夢を追いかけていないと生きている意味がないと思うくらい、夢が全てなんです。
ーーりあぴは、進学も就職もせずに、夢を追いかけて上京していますね。
小鳩:そういう生き方は苦しかったんですよね、だいぶ。叶わない夢は呪いのように重たくて苦しくて。だからといって生き方を変えたいとも全然思わなかったけど、夢を追いかけているのも苦しくて。人生が、夢のせいで苦しかったところもあるんですけど、夢がなかったら私はちゃんと生きられていなかったなって思う。だから、夢というものにはすごく感謝していて。今は、「ドキ+ワク=パレード!」もあったし、メンバーの夢の話も聞いたし、ファンの方からもらう言葉とか、いろんな人の考え方を聞いて、夢について、そんなに0か100かみたいな考え方もしなくていいんだなって気づいて。あおにゃんはブログに「笑って死にたい」って書いてたんですよ。そういう漠然とした夢でもいいし、ぺろりんがさっき言ってたような小さな夢でもいいんだって捉えられるようになってきて、そこは変わってきたなと思います。
やっぱり楽しいのが一番!
ーーでは、今の夢を聞いてもいいですか。まず、小さな方からお願いします。
小鳩:最近、可愛いクッキーの缶がいっぱいあることに気づいたので、クッキー缶を集めたいなって思ってます。
鹿目:私は動物を飼いたい。犬か猫。
小鳩:でんぱ組のメンバーは猫ちゃんを飼っている人の方が多いよね。でも、ぺろりんは犬っぽい。
鹿目:未鈴ちゃんは犬かな。ペットを飼うのって、めちゃめちゃ責任がいることだから、私はそれに耐えられるのかなっていう。自分がちゃんと責任を持つというプレッシャーに耐えられるのか。実家でみんなで育てるなら、責任が分担されるけど、東京の一人暮らしで育てるってなったら、お金もいるし、病院とか大変じゃないですか。ちゃんと金銭的にも、精神的にも、責任が持てるようになったら飼いたいなって思っています。
ーー漠然とした大きな夢のほうは?
小鳩:でんぱ組.incで海外に行ってみたいです。私、海外に行ったことがなくて。これまでプライベートで行きたいと思ったことがなかったのでパスポートも持っていないんですけど。でんぱ組.incでなら行ってみたい。フランスとか。
鹿目:りあぴはフランスっぽいよね。
小鳩:どこか行ったことある?
鹿目:台湾ならある。
小鳩:台湾もいいなー。行ってみたい。
鹿目:私は、ざっくり言うと、セレブになること(笑)。それには、いろいろと理由があって。私は、この芸能界で売れたいなって思っていて。それは、ここまで自分のことを支えてくれた人たちへの恩返しでもあるし、私は未来の自分が「こっちの道に進みなさい」って言ってるような気がするんですよ。セレブって、心にも余裕があるじゃないですか。私はそんなセレブにすごく憧れていて。
ーーでんぱ組にいながらセレブリティーになるんですよね?
鹿目:そうですね。だから、エコノミーとファーストクラスに分かれて海外に行くことになります。あははは。でも、みんなをファーストクラスに乗せてあげられるくらいのセレブになりたいなって思います。
小鳩:素敵!
鹿目:私、占い師の人に「40歳になったら億万長者になる」って言われたんですよ。自分の稼ぎで頑張りたいと思います。
小鳩:ファーストクラスに乗せてね。
鹿目:うん!
小鳩:やったー。
鹿目:実現させます!
ーー(笑)。最後にグループとしての今後の目標を聞かせてください。
鹿目:近くで言うと、夏にフェスや対バンライブがあって。コロナ禍に入ってからは、今年が一番多くライブをやっています。今年は突っ走って、みんなで結果を残す。プレッシャーじゃなく、みんなが率先して楽しくできるようになっていくんじゃないかなと思いますね。
小鳩:楽しいライブがしたいなって思います。ストーリー仕立てのワンマンライブをやらせていただいたり、夢に対して改めて向き合うっていうテーマでツアーを回らせてもらったりしたので、「でんぱ組.incのライブ、楽しい!」みたいな、何にも考えずにただただライブを楽しむということもできたらいいな。
鹿目:やっぱり楽しいのが一番だよね。人間は楽しいところに集まってくる生き物だから(笑)。私たちが楽しんでいれば、それはファンの人にも伝わるだろうし、新しい人も増えてくると思う。最初から大きな規模を目指すのではなく、楽しくやっていたら気がついたら規模が大きくなっていたっていうのがいいですよね。
■リリース情報
『DEMPARK!!!』
2022年7月20日(水)
収録曲順:
01. DEMPARK
作曲・編曲:浅野尚志
02. プリンセスでんぱパワー!シャインオン!
作詞・作曲:前山田健一 編曲:釣 俊輔
03. ゆらめく空中戦
作詞:ウ山あまね 作曲:H ZETT M 編曲:H ZETTRIO
04. MIKATAせずにはいられないっ!
作詞・作曲・編曲:けんたあろは
05. 衝動的S/K/S/D
作詞・作曲:玉屋2060%(Wienners) 編曲:浅野尚志
06. 玉虫色ホモサピエンス
作詞・作曲:前山田健一 編曲:釣 俊輔
07. でんぱせいばぁ
作詞:e-nne from FICE 作曲・編曲:ANDW
08. 千秋万歳!電波一座!
作詞・作曲・編曲:玉屋2060%(Wienners)
09. DNA
作詞・作曲:mekakushe ポエトリー:木下龍也 編曲:釣 俊輔
10. 好感Daybook♡
作詞:ゆっきゅん 作曲・編曲:中村瑛彦
11. Interlude
作曲・編曲:Tsubusare BOZZ
12. 初体験
作詞:いしわたり淳治 作曲:永野雄一郎 編曲:釣 俊輔
13. プロタゴニスト
作詞・作曲:眉村ちあき 編曲:眉村ちあき/Numa
14. ドキ+ワク=パレード!
作詞:前山田 健一 作曲・編曲:浅倉大介
〈初回限定盤〉 TFCC-86845~86847 ¥5,000+税
(2CD+DVD+ねもぺろBESTブックレット+特殊パッケージ)
CD1:DEMPARK!!!
CD2:ねもぺろBEST
01. しゅきしゅきしゅきぴ♡がとまらないっ…!
作詞・作曲・編曲:村カワ基成
02. ♡夜ふかし乙女のドキドキはっぴぃでぃず♡
作詞・作曲・編曲:村カワ基成
03. にゃんにゃん♡ちゅちゅちゅ♡
作詞・作曲・編曲:村カワ基成
04. ベイビー♡ベイビー
作詞:村カワ基成 作曲・編曲:ヤマモトショウ
05. キュンキュンですっ♡
作詞・作曲・編曲:村カワ基成
06. ファーストキッスは竜人くん♡ feat. 清 竜人
作詞・作曲:清 竜人 編曲:田中秀和
DVD:Music Video
01. プリンセスでんぱパワー!シャインオン!
02. 衝動的S/K/S/D
03. 好感Daybook♡
04. 初体験
05. ドキ+ワク=パレード!
06. しゅきしゅきしゅきぴ♡がとまらないっ…!(ねもぺろ from でんぱ組.inc)
07. にゃんにゃん♡ちゅちゅちゅ♡(ねもぺろ from でんぱ組.inc)
08. ベイビー♡ベイビー(ねもぺろ from でんぱ組.inc)
09. キュンキュンですっ♡(ねもぺろ from でんぱ組.inc)
10. ファーストキッスは竜人くん♡ feat. 清 竜人(ねもぺろ from でんぱ組.inc)
〈通常盤〉 TFCC-86848 ¥3,000+税
(1CD)
CD1:DEMPARK!!!