木村拓哉、変わることないトム・クルーズへのリスペクト 周囲を奮い立たせるスーパースターの立ち振る舞い

 観ているこちらまで痛みが伝わってくるような孤高の人から、無敵な強さを見せつける超人的なキャラクターまで見事に演じ分けてきた木村。作品ごとに印象に残るアクションシーンを創り上げられるのは「どんなにキツくても腐らず、本気で向き合っていくっていうかそれを続けていけたらいいかな」と常に本気で挑むポリシーに通じているように思う(※1)。そうした木村のスタンスを見ていると、長年トム・クルーズ作品の翻訳や来日時の通訳を担当してきた翻訳家の戸田奈津子が、トムの印象について「やることすべてに熱心。いつも200%力を出す努力をしてる」と語っていたのを思い出す。(※2)

 さらに、2023年公開の映画『THE LEGEND & BUTTERFLY』の発表会見にて、木村演じる織田信長の妻、濃姫役を演じた綾瀬はるかは「モチベーションの高さ。1ミリも負ける要素を感じさせない気力みたいなものがいつもあって。そのパワーで現場に立ってらっしゃるから、見てるだけで安心、大丈夫だなって思える。全力を超えたエネルギーでいつもいるのが本当にすごいなって」と木村の印象について語った。まさにそれは戸田がトムについて語っていた印象とリンクするかのようだ。

 さらに戸田が語る、ファンの前では汗までコントロールして完璧な姿でいようと努めるトムの姿は、映画『無限の住人』で共演した杉咲花がキャンペーンで巡った地方の劇場で入りきれなかったファンのために「少しの時間でもいいので、みなさんにご挨拶することはできないですか」とスタッフに交渉していた木村のファンファーストな姿とも重なる。

 スーパースターとは、自身の光りを放つ人であるのはもちろんのこと、周囲にいる人にも心強さや奮起するパワーを与えることのできる人なのだと、彼らの振る舞いから痛感する。同時に、そうして数々の作品を精力的に創り続けてきた2人の年齢を確認すると、今年トムが60歳、木村が50歳になるというから驚くばかりだ。

 木村もトムのように、何歳になってもキレ味抜群のアクションで私たちを楽しませてくれる一方で、年齢を重ねることでますます人生の深みや説得力が増し、多くのファンを演技で魅了していくことだろう。改めて木村がInstagramに刻んだ「自分も人に興奮して貰える作品作りをもっともっとして行かねば…」という決意が力強く感じられた。

※1 https://www.youtube.com/watch?v=iIisZNTKg-0
※2 https://www.youtube.com/watch?v=MQIsg9YPo28

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