2022.07.02 16:00

RAISE A SUILEN、熱気溢れるパフォーマンスが生んだ感動　史上最大ボリュームで臨んだ単独ライブ『OVERKILL』レポ

　冒頭にピアノバラード風アレンジが付け加えられた「UNSTOPPABLE」でエモーショナルさを演出すると、続くライブ初披露のバラード「Embrace of light」ではちょうど夕日が差し始めた空模様と相まって、Raychellのボーカルやバンド演奏が放つ情熱的な空気はさらに強まっていく。そこから紡木のダンスレクチャーを含む「灼熱 Bonfire!」で場の雰囲気が一変し、野外ライブらしいお祭り騒ぎが繰り広げられる。さらに、紡木のラップが一段とフィーチャーされた「JUST THE WAY I AM」で盛り上がりが加速すると、「地獄と地獄、どっちがいい？」を合図にライブには欠かせない1曲「HELL! or HELL?」で観る者を手加減なしで“OVERKILL”しにかかる。ステージ上の5人は“これぞRAS”と言わんばかりの圧倒感で、バンドリーマーを魅了してライブ前半を終えた。

　RASナンバーのリミックス＆ノンストップミックスによるインターバルを経て、久しぶりに披露されるカバー曲「激動」からライブは再開。リズミカルなピアノリフを軸に、グルーヴ感に満ち溢れた演奏で再び会場の熱量を高めていくと、続くライブ初披露のカバー曲「Cry Baby」では軽快なノリでライブに新たな色を付け加えていく。RASのサウンドやステージを考えると、この曲は変化球と言えるものだが、今回のような長丁場のライブだからこそ効果を発揮する1曲ではないだろうか。

　ここまで12曲を終えたところで、初めてメンバー5人がステージ前方に勢揃いしてバンドリーマーたちとコミュニケーションを図る。「Cry Baby」からの流れで場の空気がほっこりしたところで、メンバーは次の曲の準備に入り、Raychellが「メギツネ」と曲名をコールすると会場からどよめきの声が上がる。スマホゲーム『バンドリ！ガールズバンドパーティ！』でも実装前の、まさにサプライズ披露となったこのカバー曲を前に、会場のボルテージは再加速。さらに、ギターの両手タッピングなど各パートの派手なソロプレイの連続から「劣等上等」へと続き、紡木の「暴れろ！」を合図に「!NVADE SHOW!」ではバンドリーマーたちが一斉にタオルを頭上で回し始める。

　日も落ち始めあたりが暗くなり始めたタイミングに演奏された「REIGNING」では、スクリーンにRASのこれまでの軌跡を流すことでエモーショナルさを強調。そこから、ライブ初披露のバラード「Light a fire」へと続く流れは完璧の一言で、Raychellの「私たちから『バンドリ！』を愛する皆さんに贈る曲です」というメッセージや彼女のソウルフルなボーカルとが相まって涙腺が刺激された、という観客も少なくなかったことだろう。

　再びノンストップミックスによるインターバルを経て、ライブも佳境へ。夏芽の叩き出す力強いリズムに乗せて、小原とポータブルキーボードを抱えた倉知がギター×キーボードバトルを繰り広げたあとは、メンバー5人のシンガロングとバンドリーマーによる“心の中での”合唱で心をひとつにして「DRIVE US CRAZY」へとなだれ込む。ここまで18曲と過去最多の楽曲披露ながらも、Raychellの歌声は曲を追うごとに凄みを増すばかり。もちろん、それは小原や夏芽、倉知、紡木の全員にも言えることで、その演奏の迫力は終盤に向けてさらに加速し続けている。その熱量は続くダメ押しの「OUTSIDER RODEO」でピークを迎え、会場はカオスと呼ぶにふさわしい空気に包まれる。

　19曲演奏し終えたところで、Raychellは「次でラストの曲。本当にあっという間で、本当に楽しい時間でした。『OVERKILL』、みんなやり切ったかい？」と客席に呼びかけると、続いてこの日のライブ実現に向けて支えてくれたスタッフやバンドリーマーたちに向けて感謝の言葉を贈る。そして、「もっともっとたくさんの人に『バンドリ！』のこの素晴らしい景色を届けたいし、この熱を届けたいと思っています」と力強く宣言し、“RAS始まりの曲”「R･I･O･T」で約2時間半におよぶ過去最長のワンマンライブを締めくくった。

RAISE A SUILEN、熱気溢れるパフォーマンスが生んだ感動　史上最大ボリュームで臨んだ単独ライブ『OVERKILL』レポの画像1-1

RAISE A SUILEN、熱気溢れるパフォーマンスが生んだ感動　史上最大ボリュームで臨んだ単独ライブ『OVERKILL』レポの画像1-2

　ライブを終えた5人の表情は非常に晴れやかで、中にはやり切った解放感から涙を浮かべるメンバーも見受けられた。そんな彼女たちの完全燃焼を祝福するかのように、会場上空には華やかな花火が何発も打ち上げられる。なんとも感動的な場面だったが、きっとRASは今後もさらに観る者たちの感情を揺さぶる景色をたくさん見せてくれるはずだ……そう思わずにはいられないほど、明るい未来に満ちたひとときだった。

※1：https://realsound.jp/2022/04/post-1015675.html

■セットリスト
RAISE A SUILEN LIVE 2022『OVERKILL』
2022年6月19日（日）富士急ハイランド・コニファーフォレスト

01. SOUL SOLDIER
02. EXPOSE ‘Burn out!!!’
03. A DECLARATION OF ×××
04. Sacred world
05. Repaint
06. UNSTOPPABLE
07. Embrace of light
08. 灼熱 Bonfire!
09. JUST THE WAY I AM
10. HELL! or HELL?
11. 激動
12. Cry Baby
13. メギツネ
14. 劣等上等
15. !NVADE SHOW!
16. REIGNING
17. Light a fire
18. DRIVE US CRAZY
19. OUTSIDER RODEO
20. R･I･O･T