Sexy Zone 佐藤勝利が脱ぎ捨てていく“いい子”の鎧 『Endless SHOCK』など通して引き出されてきた表現の余白

 なかでも、大きく一歩踏み出したように感じたのは、脚本家・野島伸司が手掛け、佐藤の連続ドラマ初主演作品となった『49』(日本テレビ系)。佐藤が演じたのは高校生の息子の体に父親の魂が入り込んだというイレギュラーな設定だったが、当時King & Princeとしてデビューする前の神宮寺勇太をはじめとする同世代のジャニーズJr.と共演することで、同じ立場のはずなのに少し違う視点から彼らと接していく、複雑な心境が非常にマッチしていたのを思い出す。

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 また、お笑い芸人のじろう(シソンヌ)、秋山寛貴(ハナコ)、賀屋壮也(かが屋)、水川かたまり(空気階段)が脚本を手掛けたコメディドラマ『でっけぇ風呂場で待ってます』(日本テレビ系)では、お笑い好きな佐藤のノリの良さも引き出された印象。MC力が高く、愛あるイジりも得意とするKis-My-Ft2の北山宏光との共演もきっと大きかったに違いない。クランクアップ映像では涙を抑えきれない佐藤の素の表情も捉えられており、その飾らぬ涙にドキッとさせられた。奇しくも、今回『Endless SHOCK』の博多公演では、佐藤と入れ替わりで北山がライバル役を演じることになっているのも、嬉しいめぐり合わせでもある。

 多くのエンターテイナーが経験を重ねて洗練されていくのに対し、佐藤の場合は作品に出演するごとに人間味あふれる部分が引き出されてきた。観る者が共感する“隙”や“余白”といった部分がチラリと見えてくるような、完璧に見えていた佐藤が、グッと近づく瞬間。それが堂本が「面白い反応」と呼ぶものだったのかもしれない。

 そして、その表現力の広がりはSexy Zoneの歌にも表れている。6月1日にリリースされたアルバム『ザ・ハイライト』では、曲ごとの世界観に合わせて歌い方が全く異なるのがわかる。もちろん佐藤にとって、Sexy Zoneというグループそのものも大いに彼を成長させた場。キャリアと実力を備えた中島健人と菊池風磨、そして佐藤と同じく短時間でデビューすることになった松島聡とマリウス葉。メンバー構成的にも年上組、年下組の真ん中に立つことになった佐藤は、ときにはSっ気のある言動で場を和ませたり、ときにはメンバーを引っ張るような頼もしさを見せたり……そのバランスを取りながら人間的な器を広げてきたのだ。

 そんな佐藤が、次に挑むのは秋元康が企画、原作を務めるホラードラマ『赤いナースコール』(テレビ東京系)というから胸が弾む。予測不能の事態に巻き込まれていく主人公を、佐藤がどれほど泥臭く魅せてくれるのか。また新たな作品との出会いにより、表現者として大きく成長していく佐藤が楽しみだ。

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