Mr.Children「innocent world」の面白さをコード展開から解説 『Kan Sano Talks About Pop Music』第6回(後編)

Kan Sanoが語る「innocent world」コード展開

Kan Sanoが取り入れたノンダイアトニックコード

 僕もMr.Childrenの影響を受けて、いろいろなノンダイアトニックコードを使ってきたんですけど、例えば「Ash Brown」では、「innocent world」にも含まれていた「A7」を使っていて。メロディだけでなくハーモニーも聴くと「ド#」が実は入っているんです。

Kan Sano - Ash Brown (Live at Shibuya WWW X)

 「Melody At Night」でも「A7」を使っていて、こちらはハーモニーだけでなくメロディにも「ド#」が入っているんですけど、こういうコードを挟むことで楽曲に立体的な変化をつけられるんですよね。

Kan Sano「Melody At Night」

サブドミナントマイナーの効果的な使い方

 音楽というのは「1→4→5→1」っていう3コードが基本になっているんですけど、その4番目のコードをサブドミナントと言います。そこに「♭」をつけてサブドミナントマイナーにすることがあるんですけど、それは「innocent world」はじめMr.Childrenのいろんな曲で出てくるコードです。特に「innocent world」のサビの最後では、メロディが上がっていって、ピークになるタイミングで突然サブドミナントマイナーが入ってくるんですけど、明るさの中にちょっと暗さや切なさが入ってくるので、意表を突かれた感じになるのがこの曲の肝だと思います。人の感情にも、明るい気持ちと悲しい気持ちの中間とか、あるいは両方とも混ざっているような気持ちもありますけど、そういう複雑さを音で表現しているような気がするんですよね。

『Kan Sano Talks About Pop Music』バックナンバー

第1回(前編):The Beatlesを解説
第1回(後編):The Beatles、J-POPに与えた影響
第2回(前編):スティービー・ワンダーから学んだピアノ奏法
第2回(後編):スティービー・ワンダーのコード進行とJ-POPへの影響
第3回(前編):ディアンジェロがもたらした新しいリズム革命
第3回(後編):ディアンジェロやJ・ディラがJ-POPに与えた影響
第4回(前編):山下達郎が奏でるハーモニーの秘密を実演解説
第4回(後編):山下達郎の影響を感じる楽曲と再評価の理由
第5回(前編):サザン、キャンディーズ……ペンタトニックスケールから解説
第5回(後編):米津玄師やUAの名曲をKan Sanoが解説
・第6回(前編):Kan Sanoが語る“Mr.Childrenの面白さ”

Kan Sano
Kan Sano『Tokyo State Of Mind』

■リリース情報
Kan Sano『Tokyo State Of Mind』
2022年4月27日(水)リリース
ストリーミング&ダウンロードはこちら:
https://kansano.lnk.to/tsom
<DISC 1> ※全仕様共通
01 I MA feat. dosii
02 image
03 Tokyo State Of Mind
04 逃飛行レコード (98bpm)
05 My One And Only Piano
06 いかれたBaby
07 Play Date feat. ともさかりえ
08 Make It Better
09 Good Sign
10 Natsume
11 おやすみ
<DISC 2> ※限定版のみ付属
01 I MA feat. dosii -instrumental-
02 image -instrumental-
03 Tokyo State Of Mind -instrumental-
04 逃飛行レコード (98bpm) -instrumental-
05 いかれたBaby -instrumental-
06 Play Date feat. ともさかりえ -instrumental-
07 Make It Better -instrumental-
08 Natsume -instrumental-
09 おやすみ -instrumental-
10 Natsume (naked version)

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