木梨憲武が語る、“最終章”の先に見据える未来 指原莉乃&秋元康との制作秘話やとんねるずの今後も
木梨憲武が、2020年からスタートした音楽シリーズ『木梨ミュージック コネクション』にて、『木梨ミュージック コネクション最終章 ~御年60周年記念盤~』をリリースした。同シリーズは、“木梨憲武のコネクション”ならではの人脈をフル活用して音楽作品を作るという趣旨でスタート。超豪華アーティスト/お笑い芸人/俳優とタッグを組み、コンスタントに作品をリリースし、今年は『第二回 木梨フェス 大音楽会』(2Days)、『木梨憲武 交響楽団 THE CURTAIN CALL SHOW』という大型ライブも開催。現時点での集大成を作品とライブの両方で披露して見せた。今作はそんな2020年から制作した楽曲をパッケージ化。これまで配信リリースという形態だったが、ここで初めて大ボリュームのCDとして世に出ることとなった。
今年60歳の還暦を迎え、2018年からスタートした全国美術館ツアー『木梨憲武展 Timing -瞬間の光り-』がフィナーレを迎えるなど、アートと音楽、人生において大きな節目を迎えた木梨。常にアクティブに攻め続けてきた木梨が見据える未来とは。今作の制作秘話をはじめ、「スキャンダルナイト feat.指原莉乃」で作詞を務めた秋元康との交友、とんねるずの状況など、多岐にわたって話を聞いた。(編集部)
「最終章」って謳いながら、実際もう次に向かって動いている
ーー昨年10月に配信リリースした『木梨ミュージック コネクション3』のとき以来の取材になりますが、この約8カ月ぐらいのあいだに、いろいろなことがあって……まずこの3月に、ついに還暦を迎えられました。
木梨憲武(以下、木梨):どうやら、そうなんですよね(笑)。まあ、諸先輩方から「60代は楽しいぞ」とか「60代は時間の流れ方が、もっと速くなるぞ」とか聞いていたんですけど、その入り口から、いきなりその意味がわかったというか。ホントに一日があっという間で、毎日忙しくさせてもらっています(笑)。
ーーそして4月には、コロナ禍で延期になっていた両国国技館2Days『第二回 木梨フェス 大音楽会』が無事開催されて。両日ともに、ものすごいゲストでしたね。
木梨:おかげさまで(笑)。一日目は、ウルトラヒット曲を持ったみなさんに出ていただいて、それぞれのヒット曲を歌ってもらったり、バラエティが本業の方にも、たくさん出ていただいて……自分が歌う曲が少なくて、ちょっと悔しかったんですけど(笑)。
ーー(笑)。
木梨:その分、二日目は、自分の曲を全力で歌わせてもらって。あと二日目は、(佐藤)浩市さんや中井(貴一)さんにも出てもらって、そういう俳優さんたちが、歌でどういう表現をするのかっていう大会でもあったので、まあ両日ともに、横で観ているときも含めて、とにかく最高でしたね。で、そのあと5月に、東京フィル(東京フィルハーモニー交響楽団)の方々80人と一緒にやらせていただいたコンサートがあって……。
ーー上野の東京文化会館で一日だけ開催した『木梨憲武 交響楽団 THE CURTAIN CALL SHOW』ですね。
木梨:そうそう。あれはヤバかったですね。そのあと、自分のバンドのメンバーを、全員クビにしようかと思ったくらいヤバかった(笑)。それぐらい素晴らしい演奏で、もう元に戻れないぐらいの感じだったというか、この歳になって、そういう初めての体験をさせてもらったり、国技館で二日もやらせてもらったり、もう毎日、楽しくてしょうがないです。
ーー(笑)。ここ最近は、さらに濃い時間を過ごされているんじゃないですか?
木梨:ここ最近というか、コロナ禍になってから、音楽はもちろん、アートのほうも含めて、さらに濃くなったような気がしていて。ホント、一週間というか、1カ月ぐらい、あっという間に経ってしまって。今は少しずつ、ようやくいろいろなことがやれるようになってきましたけど、最初の頃は、コロナ禍だったので家から出ちゃいけないとかあったじゃないですか。それで、スタジオにいたり、アトリエにいたりする時間が、すごく長かったんですよね。それがものづくりというか、いろいろな作業をするにはちょうど良かったというか……意外とやることが多くて、充実していたんです。そういう時間を、気がつけばこの2年ぐらい、ずーっと過ごしていたっていう。
ーーその成果というか、この一年半のあいだ、配信などでリリースしてきた楽曲が、ついに一枚のアルバム『木梨ミュージック コネクション最終章~御年60周年記念盤~』としてリリースされました。CDとしてのリリースは、2019年の『木梨ファンク ザ・ベスト』以来、約2年半ぶりになるんですよね。
木梨:そうなんですよね。今の時代、CDはいらないっていうのが主流なのかも含めて、どういう状況なんですか、今?
ーー(笑)。ストリーミングで聴くのが主流になっているようですが、思い入れのあるものは、やはりCDで持っていたいという声も、最近は若い人たちも含めて、結構耳にしますけど……。
木梨:なるほど。まあ、自分も車には、もうCDプレイヤーがついてないし。やっぱり我々の世代は、LPレコードから入って、カセット、MD、CDって親しんできた世代じゃないですか。なので、こうしてCDという形になって、中に入っているブックレットの写真を「何だこの写真?」って見たり、そこに書いてある文字を「ちっちぇえ字だな。読めないよ」とか思いながら(笑)、トータルで楽しむものとして、ひとつ形になってお届けできるのは、まあ嬉しいことですよね。自分でも「やった感」みたいなものを改めて感じることができるし、協力してくれた方々に「できましたよ!」って渡しにいくこともできるし。そういうことは、やっぱり形があるからこそできることで。
ーー確かに。
木梨:なので、これでようやく次に向かえるというか……「最終章」って謳いながら、実際もう次に向かって動いていて、スタジオに入ったりもしているんですけど(笑)。そう、次は「帰ってきた最終章」っていうのが出ますから。で、そのあと「最終章FAINAL」を作って……(笑)。
ーー(笑)。いずれにせよ、音楽活動は、引き続き精力的にやっていくわけですね。
木梨:そうですね(笑)。やっていることは、もうずーっと変わっていないので。
ーーしかし、本作に収録された全16曲を改めて振り返ってみると、本当に多種多様な方々がゲストで参加していて……。
木梨:まあ、今回は、宇崎(竜童)さんとか、(佐藤)浩市さん……まあ、所(ジョージ)さんもそうだけど、そういう諸先輩方につき合ってもらって。思い出作りという意味では、もう最高ですよね(笑)。それがこうして形になって……アートも同じなんだけど、一度作ってしまえば、あとはもう、どこにいっても自分の作品になるじゃないですか。だからこそ、音楽とアートっていう、このふたつをずっと続けているというか、やめられない世界なんですけど。