ヒトリエ、進化したソングライティングの手応え 明確になりつつある3人それぞれの役割
「ずっとこのままじゃダメだって気づいた」(シノダ)
――一方で歌詞は今回もシノダさんが全曲書いていますが、今作の歌詞について自分では何を歌っているんだと思います?
シノダ:これ、俺がよくやっちゃうクセなんですけど、たぶん10曲中4曲ぐらいで「つまらない」ってワードが出てくるんです。そういう、クセでやっちゃうことはあるんですけど……全体を通して、俺は何を歌ってたんですかね。――ゆーまおさんはどう思いますか?
ゆーまお:『REAMP』のときは悲しいけど怒ってるなみたいな、何かにムカついてるなっていう印象だったんですよね。今回は明るい曲でも根が暗い部分が出ているから、「シノダさん、まあ暗いよね」っていうのがみんなに伝わる1つの要素として残ったかなと。全然別のものにはなっていないけど、今回はあんまり怒ってないから。
シノダ:恨み節みたいなものはもう書いていないかもしれないですね。『REAMP』や「Milk Tablet」(シングル『3分29秒』カップリング曲)とか、その辺で自分のウジウジした部分は結構書ききった感じがしていて。ずっとこのままじゃダメだって気づいたんです。「こいつまだウジウジしてるわ」みたいな。そういうマインドになってきた部分はありますね。それよりもっといい歌詞を書く方法ってあるんじゃないかって模索しながら。
ゆーまお:心に残そうと思ってるワードの種類は変わったなと思います。どう変わったのかと言われてもうまく説明できないんですけど。言葉選びとしてポップな感じになろうとしてるっていう個人的な解釈はあります。
イガラシ:でも、そのぶん控えようとしているというのが合っているかはわからないけど、別の言葉とか別の表現を探す中でもどうしても出てきている部分もあって。それは恨み節ってことだけじゃなくて、ここは本音なのかなっていう痛烈な言葉はやっぱり散らばっていて。〈こんなん聴いてんのお前だけ〉(「ステレオジュブナイル」)とか。そういうところも伝わりやすくなったんじゃないかなと。
――「Quit.」もすごく切ない歌詞だなって思うんですけど、でも切ないだけではないですよね。
シノダ:全体的には何か悲しげなことを言ってるんですけど、「それでも夏って来るよね」っていう歌なんですね。「夏ってやっぱ最高だよね」って。だから、そういう意味でのポジティブさみたいなものは書けるようになった感じはしますね。
――絶望とか諦めとか悲しみとか痛みとか、そういうものは引き続きあるんですけど、そこに溺れない感じがするというか、それでも次に向かう強さを感じる。
シノダ:そうですね。本当に引き続きつらい状況ではあるんです。でもそれだけじゃやってられないよねっていう。
――それは世の中の状況でもあるし、ヒトリエをやっていく中でのシノダさんの実感でもあるんだと思います。何かやっていけそうだぞっていうような。
シノダ:そう。しかもやっていけそうだって思うためには、マジでやっていくしかない。
――それ、そのまま書いてますよね。〈やめられなくなる前にやめられない〉(「ゲノゲノゲ」)って。
シノダ:そう、やめられないよな、みんなそうだよなっていうことですね。俺はステージに立っているときが精神状態が一番フラットになるんですよ。興奮してるとかハイになってるとかじゃなくて、正常値に戻るんです。それがないと人間として半分になっちゃうんですよ。生業として、音楽ありきでこれまで生きてきたわけですから、その人間から生業を取ったら人はどうなるかっていう、至極当たり前のことなんですけど。いろいろあったけど、こういうアルバムを作れる状態にはなりました、という話ですね。
ゆーまお:だから、ツアーが終わる頃には3人での状況はまた具体的になっているはず。次のアルバム、どうすればいいんだろうって言っていると思います。『REAMP』のときはどうなるかも想像できていなかったんですけど、その想像がつく感じになっていますね。ツアー後に、だいぶ変わると思います。
■リリース情報
ヒトリエ『PHARMACY』
2022年6月22日(水)リリース
・初回生産限定盤(CD+Blu-ray)
¥3,740(税込)
・通常盤(CD only)
¥2,860(税込)
<CD収録内容>
1 Flashback, Francesca
2 ゲノゲノゲ
3 風、花
4 Neon Beauty
5 電影回帰
6 Flight Simulator
7 3分29秒
8 ステレオジュブナイル
9 strawberry
10 Quit.
<Blu-ray収録内容>※初回生産限定盤のみ
1 3分29秒 Music Video
2 ステレオジュブナイル Music Video
3 風、花 Music Video
■ツアー情報
『ヒトリエ Summer flight tour 2022』
7月16日(土)広島 セカンド・クラッチ 開場17:30/開演18:00
7月17日(日)香川 高松DiME 開場16:30/開演17:00
7月30日(土)宮城 仙台 Rensa 開場17:30/開演18:00
7月31日(日)岩手 盛岡CLUBCHANGE WAVE 開場16:30/開演17:00
8月6日(土)大阪 梅田クラブクアトロ 開場17:15/開演18:00
8月7日(日)兵庫 神戸VARIT. 開場16:30/開演17:00
8月17日(水)鹿児島 SR HALL 開場18:30/開演19:00
8月18日(木)福岡 DRUM Be-1 開場18:30/開演19:00
8月27日(土)北海道 札幌 cube garden 開場17:30/開演18:00
9月2日(金)新潟 新潟LOTS 開場18:30/開演19:00
9月3日(土)石川 金沢AZ 開場17:30/開演18:00
9月8日(木)愛知 名古屋クラブクアトロ 開場18:30/開演19:00
9月9日(金)京都 磔磔 開場18:30/開演19:00
9月22日(木)東京 Zepp Haneda (TOKYO) 開場18:00/開演19:00
■関連リンク
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