ボカロP ノラ、ネットを飛び出し直接届けた歌声 多彩な楽曲と表現力を見せた初ライブレポ

ノラ、初ライブレポ

 第三部では、いよいよ本日のメインイベントであるノラのオリジナル曲歌唱コーナーへ。1曲目は、音楽プロジェクト・未完成モノローグへの提供曲「ハイド&シークレット」の特別アレンジバージョンをセルフカバーで披露。疾走感溢れるサウンドにあわせ、可愛い歌声や力強い歌声を自由自在に使い分けながら楽曲の世界観を表現していく。フロアには手拍子がわき起こり、早くも会場には一体感が生まれていた。

 1曲目からエンジン全開でスタートしたライブは、「天才解剖学」でさらにヒートアップ。トークコーナーでも言及されたMVがバックスクリーンに映し出され、彩がこだわって描いたキャラクターの絶妙な表情や、ノラが憧れるボカロPの名前が隠されているというギミックも混じった歌詞が流れていく。〈あの天才の頭の中かち割って覗いてみたいの〉と過激な嫉妬心を爆発させるように歌うノラのエネルギーが会場に充満し、観客たちはステージに釘付けになっていた。

 ここで第一部にも出演していたEnel;が再び登場し、ノラが2021年に結成した男女デュエットの歌唱ユニット“今夜、あの街から”でEnel;がゲストボーカルを務めている「ショウニントウソウ」を披露する。ダークかつ煌びやかな夜の街を想起させられるメロディと中毒性のあるサウンドでファンを虜にしてきた名曲を、生のライブでも完全に再現。ノラが夢として語っていた、“大きな会場でのライブ”も容易に想像できるほど迫力のあるステージを繰り広げた。

 MCでは「僕はこの一年で、ノラのボカロ曲が3曲と、“今夜、あの街から”の曲が4曲の7曲しかまだリリースできていないですが、これからもこういうライブをやっていきたいし、皆さんの応援があればたくさん曲も増えていくと思いますので、これからもよろしくお願いします」と一周年を迎えた今の想いをファンに伝えた。そしてラストは、ノラ名義としては初リリースの楽曲「アイ独リ論」。ノラの原点とも言えるこの曲の鮮やかなビートで、ライブはこの日一番の盛り上がりを見せる。〈期待を頂戴〉という何度も繰り返されるサビのフレーズからは、これからの活動に期待してほしい、もっと自分を見ていてほしいというノラからファンへのメッセージも込められていたのかもしれない。そしてそのメッセージに応えるかのようにフロアのクラップの音も大きくなっていき、生ライブならではの熱がしっかりと生まれていた。ノラは歌詞に込めた激情に、このライブへかける想いも重ね、最後のフレーズまで力強く歌い上げた。

 仲間たちに囲まれながら、初のライブを無事に成功させたノラ。活動一周年という新人でありながら、本公演では多彩な楽曲と歌唱力、表現力を見せてくれた。“今夜、あの街から”も含め、今後のライブ活動にも期待したい。

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