北米在住アニメファン『Anime Roomy』YuzuとSakuraに聞く、海外での日本の音楽&声優人気の実態
ニッポン放送とPONYCANYON USAが共同プロデュースするポッドキャスト『Anime Roomy』をご存じだろうか。PONYCANYON USAが手がける『World Otafy Project』(=世界オタク化計画)に所属する北米在住のアニメファン4名(Mikan、Yuzu、Yuri、Sakura)が、アニメに関する情報をRoomy=ルームメイト同士の楽しいトークと共に発信している。番組は全編英語だが、作品名やキャラクター、オタクならではの日本語が随所に出てくるので話の概要を掴むことは簡単。つまり、海外の視聴者がアニメを通じて日本語を学ぶように、英語学習の一貫として『Anime Roomy』を聴くのもいいだろう。
今やアニメは日本のカルチャーを世界に発信する上でも重要な役割を担っている。例えば『鬼滅の刃』『進撃の巨人』の主題歌は、アニメと共に世界規模でのリアクションがあった。そうしたリアルタイムで世界的なヒット曲が生まれる可能性を、アニメ主題歌は秘めているのだ。
では今現在、海の向こうではどのように日本のアニメ、日本の音楽が受け入れられているのか。『Anime Roomy』よりYuzuとSakura、さらにポニーキャニオン アニメクリエイティヴ本部 大貫愛美氏へメールインタビューを行い、実状を聞いた。(編集部)
日本のアニメ作品と主題歌、海外でどう聴かれている?
ーーそれぞれ自己紹介もかねて、好きなアニメ作品と主題歌などをお聞きしたいです。
Yuzu:『Anime Roomy』のYuzuです! 好きなアニメをひとつに絞るのは難しいですが、しいて言うなら『夏目友人帳』です。とても癒されるアニメで、いつ見てもほんわかする感じがたまらないです。好きなアニメ主題歌は圧倒的にSixTONES「NAVIGATOR」です。『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』のクールな雰囲気に合っていて曲のかっこ良さに惹かれました。いつ聴いても鳥肌が立ちますね。まだ聴いてない人がいたらぜひ聴いてもらいたいです。
Sakura:ポップとキュートなものに惹かれるコメディエンヌキャラのSakuraです! 大好きなアニメは『カードキャプターさくら』で、一番好きなアニソンはやっぱり『カードキャプターさくら』の「Catch You Catch Me」です!
ーーお二人とも番組では日本のアニメやカルチャーを世界に向けて発信しながら、作品やキャラクターについても深く話されていますよね。海外で“オタク”はどのように捉えられていますか?
Yuzu:“オタク”はシンプルにアニメと漫画のファンを表す言葉として使われています。“オタク”は一人称であって、自分の趣味を表す言葉として使われていますね。
Sakura:アニメ好きな人は、数年前はちょっと変わった人に見られていましたけど、最近はNetflixやCrunchyrollのようなサービスを通じて国際的な作品がたくさん発表されているおかげで、アニメはもちろんオタクの文化も明るい目で見られるようになったと思います。
ーーお二人から見て、日本のアニメの一番の魅力は?
Yuzu:“メッセージ”ですね。日本のアニメは心のひだが多くて、色々な感情を丁寧に描いています。悲しみ、嬉しさ、怒りなどシンプルな感情以外にも、切なさや懐かしさといった複雑な感情まで描かれているのが素敵だと思います。例え自分がスーパーヒーローでなくても、作品の主人公の気持ちに共感できるのも魅力だと思いますね。
Sakura:アニメが最初に海外で放送され始めたときは、当時アメリカで流行していたどのタイプのアニメーションとも異なっていて、何よりエキゾチックであるという斬新さが魅力だと思っていました。でも、今のアニメファンはユニークな特徴とストーリー展開に惹かれていて、アニメの視覚的な側面以上に内容を深く見て、作品の文脈まで理解することを学んだんだと思います。
ーーそうした日本の情報をどこからキャッチしているんですか?
Yuzu:SNSですね。Instagram、Twitter、YouTubeから情報をキャッチしています。特に好きなアイドルグループはYouTubeチャンネルやSNSまでしっかり見てます。あと、ゲーム実況者の生配信のチャットなどから、最近のスラングを覚えるのも楽しいです。時々雑誌からも情報をキャッチしてますが、今流行りの漫画の情報はpixivからチェックしてます。
Sakura:私はAnime News Network(※1:北米最大規模のアニメ紹介サイト)や、KADOKAWA、東映、ポニーキャニオンのYouTubeチャンネルをチェックしていますね。アニメについての噂を知りたい場合は、Redditというフォーラムサイトを見ています。
ーー海外でもアニメ作品は無数にありますが、日本独自に発展した要素としてテーマソング(=アニソン)が挙げられると思います。お二人が初めて“アニソン”だと感じた曲はなんですか?
Yuzu:初めて意識して聴いた曲は、小さい頃から見ていた『魔法騎士レイアース」の主題歌、田村直美さんの「ゆずれない願い」です。アニソンは今から冒険が始まりそうな、とても盛り上がる曲が多いですよね。元気を出したい時にはアニソンを聴いています! 他にもポルノグラフィティの「メリッサ」、SUPER BEAVERの「らしさ」、BAADの「君が好きだと叫びたい」、AAAの「ウィーアー!」(※原曲はきただにひろし)もよく聴いてます!
Sakura:『ちょびっツ』のオープニングテーマ「Let Me Be With You」(ROUND TABLE featuring Nino)です。聴くたびにアニメに喜びと懐かしさを感じますね!
ーーアニソンが海外でどのように評価されているのかも気になります。また、海外から見た時、日本のアニソンには何か特徴のようなものがあるのでしょうか?
Yuzu:日本のアニソンは海外でもとても人気です! InstagramやTikTokの動画にアニソンを使う人をよく見ますし、アニソンのYouTube動画のコメント欄を見ても日本語以外の
感想を見かけます。日本のアニソンは、落ち込んだ時、疲れた時などに元気をくれますね。
Sakura:アニソンは音や雰囲気をアニメにつなげることができるという点でユニークですよね。日本の音楽の作曲の基本は西洋のものとは大きく異なっているので、海外のリスナーはそうした日本の曲の新鮮さに惹かれているのだと思います。