dodo、asobi、gb……自己表現に長けた次世代ラッパー/ヒップホップアーティスト リリックとサウンドから感じる新時代
「Hug feat. kojikoji (Album ver.)」のMVが現在までに4000万回以上再生されている空音や、自身の楽曲はもちろん、Snow Man「ブラザービート」を提供したことでも話題のクボタカイなどが象徴するように、様々なジャンルと融合し変容し続け、新しい形を魅せてくれるラッパーが増えている。本稿では、彼らに続いて広く支持を受けると予想される、次世代ラッパー/ヒップホップアーティスト達を紹介していこう。
dodo
国内最大規模のヒップホップフェス『POP YOURS』にて、初日の5月21日にオープニングセレモニーも務めた、今まさに注目が集まる次世代ラッパー・dodo。
2019年に発表された楽曲「im」がTikTokでも話題になったことから、その名を知っている人も多いだろう。キャッチーなサウンドが印象的な同曲は、2022年5月現在まででYouTubeのMV再生回数が1,000万回以上と、未だ伸び続けている。文章の一節のような頭にスッと入り込んでくるリリックには、過酷な社会を生きている現代人に向けた強いメッセージが込められている。それらは、日々のちょっとチルな時など、何気ない日常の瞬間に寄り添ってくれるような感覚で、時に励まされる気持ちにもさせてくれる。また、現代のリアルな部分を表現するリリックには多くの共感が集まり、若者の等身大の代弁者のような存在でもあるのだろう。
まさに新時代を感じるメロウなトラックやMVも、すべて彼が自主制作しているという。飾り気のないオリジナリティも、ファンから支持されている要因の一つなのだろう。
様々なフィールドで目を見張る創作センスを見せつけるdodo。彼が現在の立ち位置まで辿り着いた今、次は何を表現し、どんな作品を見せてくれるのか。
asobi
友人らと楽しんでいるところに魅了されるという新時代に、またもやそれを思いきり体現してくれるアーティストが現れた。2019年に結成されたばかりの3MC、Ba、DJ、Gtからなる6人組のヒップホップ・ミクスチャーバンドのasobiだ。グループ名の通り“遊び”仲間の延長線からできたグループだという(※1)。
昨年1月にリリースされた「Empty Room for Two」はSpotifyの公式プレイリスト「TOKYO RISING」にも選出され、ノンプロモーションで配信1カ月で10万回再生を達成するなど、注目の存在として急浮上。
彼らの魅力は伝わってくる楽しさだけでなく、本物の音楽性にある。生楽器と電子音楽を重ねた贅沢なサウンドと、それぞれのボーカルが合わさった聴き心地の良さは圧巻である。ちょうどいい塩梅で融合されたサウンドは、本人たちもこだわって作っているという。Spotify上のリスナーは台湾やタイにも多く、海外からも広い支持を受けているようだ。
他にも「Daisy」「On Repeat」など、R&Bやヒップホップをベースにしながら様々なジャンルの良いところを盛り込み、一つの枠にとらわれない自由な作品づくりが魅力的である。これからの時代を牽引し、そしてどんな新しいミュージックシーンを作ってくれるのか期待せずにはいられない、今最も注目すべき新鋭アーティストだ。