バンドシーンで豊かなコラボレーションが続く理由とは? 羊文学 塩塚モエカ、BREIMEN 高木祥太の動きから考察

 特に昨今、それぞれのミュージシャン、バンドが本来持つ強みを最大限に活かしたコラボレーションや楽曲提供が増えていると感じる。もともと持つ個性をさらに磨き、尖らせ、強みをどんどん伸ばしていくことで、その個性をそのまま求めてくれるコラボレーターとの出会いが生まれ、そこから誰も想像できなかったようなイノベーティブな作品が誕生する。このような幸福なコラボが次々と生まれていくオープンな空気を、今の音楽シーンを見ていて強く感じる。

 その背景には様々な要因があると思う。例えば、海外のポップミュージックシーンではコライトが主流となっており、そうした流れが日本の音楽シーンにおいても浸透しつつあることが、その一つとして挙げられる。そして、特にヒップホップシーンにおいて顕著な流れではあるが、「意欲的なコラボレーションによってこそ革新的な作品が生まれる」という価値観も、数年前と比べて急速的に広まりつつあると思う。それに付随するが、もはや現在のバンドシーンにおいては、旧来的なジャンルの壁は融解しつつある。アジカンの「星の夜、ひかりの街 (feat. Rachel & OMSB)」が一つの象徴的な例として挙げられるが、「同じ時代を生きるミュージシャン同士が、お互いに越境して手を取り合いながら、一緒に新しいシーンを作っていく」という共通認識・連帯感も以前より強まっているのかもしれない。

ASIAN KUNG-FU GENERATION「星の夜、ひかりの街 (feat. Rachel & OMSB)」

 このように、様々な要因が絡み合って今のシーンの流れが生まれており、これからも自由に創造性を開花させるようなコラボレーションが次々と生まれていくだろう。そしてそうした経験は、自分たちの活動へと還元され、それが次の新しい表現へと繋がっていくポジティブな循環が生まれるはずだ。

※1:https://www.nhk.jp/p/ts/VNXRGXV8Q3/blog/bl/pJePOEwvmB/bp/pObq97BvQn/

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