ゴリエのまっすぐなメッセージ性が今求められる理由　復活の背景、『紅白』出演時の裏話も語る

『紅白』出演時はあまりにも忙しすぎてほとんど記憶がない

――改めて「Mickey」や「Pecori♥Night」をリリースした当時を振り返って、印象に残っていることは？

ゴリエ：総合演出の（渡辺）琢ちゃんともよく話すんですけど、あの時代ってあまりにも忙しすぎてほとんど記憶がないんです。『紅白』に出たときの映像を自分で見返していても、いまいち覚えてなくて。舞台に立って何百という照明が当たっていたのも頭の中では分かってるけれど、実感はなく。夢の舞台に立てたからこそ、今まで味わったことのない集中力でステージに集中していたから記憶がないんだと思います。覚えているのは舞台に出る前、舞台袖にいるときのNHKのスタッフの奮闘ぶり。当時の『紅白』では、1人のアーティストが100名くらいのダンサーを連れて踊っていて。100人が捌けたら次の100人が舞台に出て、また舞台袖に100人が集まるっていう、ゲルマン民族大移動みたいなことが何時間も続くのが『紅白』なんですよ。これを何十年も続けている年末の風物詩の番組は本当にすごいんだなと感じたことは覚えています。あとは、『紅白』でNHKなのにフジテレビの目玉のマークを作ったんです。怒られるだろうなと思ったんですけど、リハーサルの時にNHKのディレクターさんが、上層部まで確認するともしかしたら反対意見が出るかもしれないから、本番そのままやっちゃってくださいって言ってくれて。結局本番では苦情も一切なく、何も言われなかったんです。その2つの緊張感だけ覚えています。

――今回は丸山礼さん、桜井美里さんとのユニット Gorie with Rei＆Misatoとしての新曲になりますが、レコーディングなどはいかがでしたか。

ゴリエ：3人でレコーディングをやったときに、ゴリエは1番を歌った時点で「もう結構です」ということでボーカルを外されて（笑）。礼ちゃんと美里ちゃんは歌が上手なので、この2人がボーカルというのは受け入れなきゃいけないところだったんですけど、パフォーマンスとなるとゴリエが一番先頭なので。一言も歌っていないのに「ゴリエちゃんの新曲出たんですね」って言われるときの後ろめたさと、歌っていないのにボーカルよりも一番前で踊る罪悪感……それは今後も背負いながら生き続けていくんだなと思います（笑）。

――では、ゴリエさんにとって音楽はどんな存在ですか？

ゴリエ：昔だと労働歌というか、例えば田植えがきついからみんなで歌いながらモチベーションを上げたり、格差によって結ばれない恋を歌うラブソングがあったり、音楽っていつの時代も常に日常生活に寄り添うものだと思います。だから、今も失恋で苦しんでいる人は失恋の曲を聴くでしょうし、夢に向かって頑張りたい人は応援歌を聴きたくなるでしょうし、いろんな人の心に寄り添ってくれる。人間の生活に必要不可欠なものだなと思います。

――ゴリエとしての活動を通して、ダンスに対する気持ちの変化はありましたか？

ゴリエ：ゴリエは若い頃、ブレイクダンスしかやっていなかったんですけど、大人になって初めてチアダンスを踊ったんです。コアな人気のブレイクダンスと違って、子供から大人まで踊れるチアダンスだと、幼稚園のお遊戯会や小学校の運動会、中学や高校の学園祭、社会人の忘年会などいろんな方がゴリエの格好をして踊ってくれて。踊っている人も楽しんでくれて、見ている人も愉快な気持ちになる、そんな動画を沢山見たときに、誰もが真似できるダンスはたくさんの人をハッピーにするんだなと思いました。

――ゴリエさんの音楽やダンスは、聴いてくれる人にとってどんな存在でありたいですか。

ゴリエ：みんながみんないつもハッピーなわけではないと思うので、勇気が出ないとか、日常に辛さや不満を抱えている人たちの背中を押してあげられるような音楽ができたらと思います。今もインタビュー中、コロナの関係でアクリル板を1枚挟んでいますけど、まさにこういう人生の人って多いと思うんです。なにか目の前にちょっとした壁があるというか……その壁を破ってあげられるような、そういう歌を届けられたらなって。……アレですよ、ゆで卵を割ってさあ食べようと思ったら、もう一枚薄い皮があったりするじゃないですか。アレを破ってあげたい。アレ、なに？　あの薄い皮。

――（笑）。最後に、『ゴリエと申します。』の見どころを教えてください。

ゴリエ：注目ポイントは、コントキャラじゃないゴリエだと思います。今までは決まったスペースで、セットというお人形遊びのような世界の中でしか生きてこなかったゴリエが、いろんなゲストの方々と恋愛の話や人生相談をします。ゴリエの素も出るから、今まで見たことのない一面が見られるでしょうし、ロケで外に出てみんなに会いに行ったりもします。あとは近くで見ると、やっぱり年取ったんだなっていうのが分かるのもこの番組の良さ。それはもう隠せないです（笑）！

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＜締切：5月26日（木）＞