斉藤朱夏はファンへの感謝と愛情を携えながら夢を叶えていく “ヒーロー”そのもののような姿を見せたツアーファイナル

斉藤朱夏、ツアーファイナルレポ

 「熱気がすごいですね。音楽を通して遊んでくれてありがとう!」「1日24時間あるうちの一瞬を、ここにいるキミと共有できることが嬉しいし、このために歌を歌ってるんだなって思う」と感謝を告げ、「音楽を通してコミュニケーションをとれるってなんて素晴らしいんだろう! 音楽って本当に素敵だよね! 小さい時からステージに立つのが夢で、その時の自分に言いたいです。あなたの夢は間違ってない、と」と音楽への情熱を感慨深い様子で語ると、会場からは大きな拍手が巻き起こる。

 ツアータイトルでもある新曲「はじまりのサイン」は、会場にいる一人ひとりの“キミ”を明るく照らすように歌い上げられた名曲だ。一括りにされた“みんな”ではなく、それぞれの歩く道に寄り添ったまっすぐなメッセージに会場はあたたかな感動に包まれた。さらに会場一体となった振り付けで盛り上げた「ハイタッチ」、大迫力のバンドサウンドと圧倒的な熱量で「もう無理、でも走る」へと続き、ライブはいよいよクライマックス。

 「みなさん、たくさん想い伝えてください!」の声で始まったのは、本編最後の曲「声をきかせて」。楽曲に乗せられた熱い想いが、揺れるペンライトにキラキラと映し出される感動的な光景だった。

 アンコールの拍手に応え、黒いツアーTシャツを身にまとい再登場すると「止まらないで」を熱唱。ステージを広く使い、会場の隅々にまでそのパワーを届けるようにシャウトする。

 さらに、より近い距離感で10カ所を巡る新たなツアー『朱演2022 LIVE TOUR「キミとはだしの青春」』開催が発表されると、客席からは静かな喜びのどよめきが。今年初めてのツアーを終えるにあたり、「やっと“斉藤朱夏”になれてライブができてる。私、ちゃんと人間になったの。このツアーでもっともっとステージが好きになった。私がステージに立ちたいって思うのは、バンドメンバーやスタッフもそうだし、一番はここにいるキミの笑顔が見たくてステージに立ってるの」と、ステージに立てる喜びを伝える。「泣き虫だしさ、ボロボロのマントをつけて走っている私なんだけど、いつか胸を張ってキミのヒーローだって強く言えるように、私、止まらないで走る。だからキミはキミのペースで、私のことを見守っていてほしいな」と新たな決意を言葉にし、「どんなに怖いことが待っていようが、今日あらためて大丈夫だって思った、キミがいるから。最後に一曲、キミに届けたいと思います」と、最後の曲へ。ラストナンバーは「ヒーローになりたかった」。聴く者の胸を締め付けるような熱唱で、ライブツアーを締めくくった。

 心をさらけ出すように歌う姿が印象的だった。その強い気持ちに呼応するように、声が出せない中でも様々な工夫でコミュニケーションをとるオーディエンスの姿も同じように大きな力を持っていた。生身の“斉藤朱夏”から溢れ出すパワーと、それに負けじとサインを返すファンが生み出すエネルギーのうねりは、彼女のライブでしか味わえない。

 ステージへの情熱と、終始“キミ”と表現するファン一人ひとりへの感謝と深い愛情を携えながら夢を叶えていく彼女が、ファンの夢や未来を照らしていた2時間。その姿はまさしく“ヒーロー”そのものだった。「止まらない」と宣言したとおり、未踏の地へ前進し続ける斉藤朱夏の次なるステージが楽しみでならない。

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