Uruが伝えていく、つまずいても前進する力強さ 日曜劇場『マイファミリー』主題歌は大切な人と向き合うための問いかけに

 この曲の白眉は、1番サビの後半でUruがドラマの展開を示唆するかのように歌う〈やっと気づいたんだ〉というフレーズにある。冒頭から何気なく聴いていても、この瞬間に思わずハッとさせられるような生々しさと、小林と飯田が共通して語っている“力強さ”を感じる。しかし、ボタンの掛け違いを戻すためには、一番最初まで戻らないといけない。全てを初めからやり直すこと、すなわち再生や再起というのは、残酷で絶望的な現実に肌身を晒す切ない行為でもあるだろう。そして、傷だらけになりながらも全力で走り、自分自身でその問題を乗り越えた先に、タイトルとなっている〈それを愛と呼ぶなら〉という一度しか出てこないフレーズへとたどり着くのだ。その直前の〈世界中を探しても ここにしかないもの〉の“世界中”の歌い方にも耳を傾けてほしい。

 Uruはここで、世界の眺め方も提示している。理想と現実。社会と自己。会社と家庭。ビジネスやお金で通じ合った知り合いと、心で通じ合った友達。そして、“君”と“僕”。守りたいもの、支えたいもの、愛と呼べるものはどこにあるのか。『マイファミリー』は、誘拐事件を通して人間関係や感情模様などの問題を浮き彫りにしていくファミリーエンターテインメントとしても楽しめるが、主題歌「それを愛と呼ぶなら」を聴くにつれ、その端々にはさまざまな問いかけや真実が埋め込まれているのではないかと思う。

 なお、昨日放送された第3話では、二宮和也演じる主人公が娘を救い出す1章が完結した。そのクライマックスで流れる「それを愛と呼ぶなら」は、まさに主人公の気持ちとシンクロした楽曲として物語を彩り多くの視聴者の涙を誘った。すでに各チャートでは軒並み上位にランクインしているこの曲は、最終回に向けて「あなたがいることで」同様にロングヒットを記録することになりそうだ。

※1、2:https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=15443

Uru 「それを愛と呼ぶなら」

■主題歌
Uru 「それを愛と呼ぶなら」
作詞・作曲:Uru 編曲:小林武史
発売元:ソニー・ミュージックレーベルズ

■ドラマ情報
日曜劇場『マイファミリー』
TBS系 2020年4月10日スタート(毎週日曜 21:00~21:54)
出演:二宮和也 / 多部未華子 / 賀来賢人 / 高橋メアリージュン / 迫田孝也 / 那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.) / 山田キヌヲ / 渡辺邦斗 / 藤間爽子 / 松本幸四郎 / 富澤たけし(サンドウィッチマン) / 大友康平 / 神野三鈴 / 大島美優
濱田 岳 / 玉木 宏
脚本:黒岩 勉
プロデューサー:飯田和孝 / 渡辺良介(大映テレビ)
スーパーバイジングプロデューサー:那須田 淳
協力プロデューサー:大形美佑葵
演出:平野俊一 / 田中健太 / 宮崎陽平 / 富田和成
音楽:大間々 昂
製作:TBS

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/myfamily/
Twitter:https://twitter.com/myfamily_tbs

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