ラストアイドル 阿部菜々実&間島和奏ラストインタビュー 「青春であり、夢であり、全てだった」

 ラストアイドルが4月27日に初のフルアルバム『ラストアルバム』をリリースした。秋元康が総合プロデューサーを務める同名アイドルオーディション番組からデビューしたラストアイドルは、2022年5月31日を持って活動を終了する。デビューシングル曲「バンドワゴン」から、最後のシングルとなった「Break a leg!」までを聴いて思い出されるのは、熾烈なバトルオーディションや「団体行動」「殺陣」といった過酷な試練に挑戦し挫けそうになりながらも乗り越えてきた、約4年間にわたる泥臭く、それでいて美しく輝く軌跡だ。

 『ラストアルバム』のリリースを受けて、リアルサウンドでは阿部菜々実と間島和奏にインタビュー。1対1のパフォーマンスバトルが繰り広げた1stシーズンにて、「バンドワゴン」の暫定センターだった間島を阿部が下した“ライバル”であり、グループの先頭で、時には一番後ろからラストアイドルの全てを見つめ続けてきた2人でもある。

【MV】ラストアイドル「僕たちは空を見る」【2022.4.27 1stALBUM『ラストアルバム』 Release】

 リスペクトを抱きながらも付かず離れずの関係だったデビュー初期から、幾度の交差を経て今では気兼ねなく笑いあえる仲に。アルバムリード曲「僕たちは空を見る」は、2人にとっても思い入れの強い「バンドワゴン」の要素が大胆に取り入れられた、ラストアイドルの歴史を締めくくるに相応しい楽曲である。

 阿部と間島にとって、ラストアイドルとは何だったのかーー。5月29日に東京ガーデンシアターで開催される『ラストライブ』にて、ラストアイドルとしての物語は泡沫の夢の如く幕を閉じる(渡辺彰浩)。【最終ページに読者プレゼントあり】

「(阿部は)メンバーみんなにとっての頼りになる存在」(間島)

ーー最後に誰にインタビューしたいかと考えたときに、真っ先に思い浮かんだのがお2人でした。関係性はもちろんですが、ラストアイドルを最初から最後まで見てきた人という理由からです。『バンドワゴン』のセンターを巡る1stシーズンから約4年間が経ったわけですけど、この間でお互いの関係性や印象は変化してきましたか?

間島和奏(以下、間島):最初の頃は同じラストアイドルのメンバーだけど、なんて声をかけたらいいんだろうと、一緒に居づらい感じではありました。これは菜々実ちゃんに限らずですけど、プロデューサーバトルをしていたのもあって、最初はメンバーに対して仲間だけどライバルのイメージの方が強くて。『大人サバイバー』辺りからは、メンバーのことを仲間だと思えるようになりました。その中でも菜々実ちゃんと(長月)翠ちゃんとは一緒に活動する機会が多かったので、戦友というわけではないですけど、安心できる存在でした。特に菜々実ちゃんはメンバーみんなにとっての頼りになる存在で、みんなが菜々実ちゃんに追いつこうと頑張ることが、グループの魅力にも繋がっていたと思います。

ーー間島さんはラスアイの公式YouTubeにアップされている対談動画の中で阿部さんを「ラストアイドルを引っ張っていく存在」と言っていました。

間島:私は殺陣とかラスアイサバイブの企画で、フロントじゃなくなったりして、つらいことが多くありました。その時に菜々実ちゃんが先頭に立つ背中を見ていたんですけど、徐々に周りのメンバーのことを見てコミュニケーションを取ってくれるようになって。『Break a leg!』の時は練習中に「じゃあ、やるよ!」と全体に声をかけてくれることもありました。

ーー『Break a leg!』のインタビューの際に、籾山ひめりさんも阿部さんが素の部分を見せてくれるようになったと言っていたのを思い出しました。阿部さんは間島さんの印象に変化はありましたか?

阿部菜々実(以下、阿部):和奏ちゃんは私が挑戦者としてバトルを挑む側だったので、最初はどう話していいのかも分からないし、どういう関係性でいればいいのかも分からなくて……(笑)。映画『がっこうぐらし!』の撮影期間中はずっと一緒にいたので、距離が縮まった、仲間意識が芽生えたと思っていますね。その後も翠ちゃんが卒業するまでは、和奏ちゃんと翠ちゃんと私の3人で活動することも多かったので心強かったですし、自分にとっていい影響も刺激も与えてくれました。和奏ちゃんは、ラストアイドルにとって大切な存在だと思います。

ーー阿部さんは間島さんのことを「ラストアイドルのストーリーを作る人」と対談動画の中で言っていました。

阿部:最初から最後まで大事なところには絶対に和奏ちゃんがいるし、例えば『愛を知る』のオーディションバトルで「バンドワゴン」を歌った時も、リスクを承知の上で自分の身を削ってでも、ラストアイドルのために献身的にいつも頑張ってくれていました。そういうストーリーを作る人だなっていつも尊敬しています。

間島:ありがとう。あと、菜々実ちゃんは人間になりました! そう、これが言いたかったんです(笑)。それこそ『大人サバイバー』の時までは、ロボットなのかなってくらい完璧すぎて。

ーーそんなことを振付師のakene先生にも言われていましたよね。

阿部:そう、akeneさんにも言われました。ロボットみたいって。

間島:最近は、菜々実ちゃんも人だったんだなと実感することが多いです。

「(間島は)自分に足りないものを一番持っている」(阿部)

阿部菜々実

ーーストレートな質問をしますけど、2人はプライベートの時間に喋ることってあるんですか……?

間島:喋れないわけじゃないんですけど、2人とも自ら喋るタイプじゃないんだよね。

阿部:そう、和奏ちゃんだからじゃなくて、元々2人とも自分から喋らないタイプなので。

間島:だからこそ、無言が苦しくないよね。

阿部:そう! そう! そう!

間島:ほかの後輩とだったら無言で楽屋にいるのは申し訳ないなと思うけど、菜々実ちゃんとは気心が知れてるから素でいられます。

ーー言ってみれば、間島さんは秋元康先生がプロデュースするアイドルが好きで、阿部さんはハロー!プロジェクトが好きで。これまで見てきたアイドル像も違うわけですよね。

間島:全然違います。だから、なんでラストアイドルのオーディションを受けてくれたんだろうってずっと思っていました。こんなスタイルもよくて、歌もダンスも上手くて、可愛くて、よくぞラストアイドルに入ってくれたって思っています。育ってきた畑が違うからこそ、吸収するものというか、こういうアイドル像もあるんだって学ばせていただきましたね。

ーー対談収録終了後の音声だけの部分で、阿部さんがモーニング娘。のオーディションを受けたという話から「モー娘。でも活躍してたと思う」と間島さんが話していたくらいですからね。

間島:こうして隣で、同じグループで活動するのが不思議だなと思いつつ、一緒に活動できたことですごく刺激をもらっています。

ーー1stシーズンで阿部さんは間島さんを指名した理由に「アイドルとして私に足りないものをたくさん持っていると思った」と話していましたが、その足りないものとはなんだったんですか?

阿部:和奏ちゃんは人を惹きつけるパワーがありますし、みんなと並んでいても目力が違うなって思ったんですよね。パフォーマンスをしていてもすごくキラキラしているし、私はそれまでは歌とダンスさえできていればいいと思っていたんですけど、それだけじゃないんだということを和奏ちゃんの表現力を見て思って。だから、自分に足りないものを一番持っている和奏ちゃんに挑戦しました。

間島:嬉しいです。私は中学1年生の時に『第1回 AKB48グループ ドラフト会議』を受けたんですけど、その時までは私も歌とダンスができたらいいんだと思っていたんです。でも、『ドラフト会議』に行ってみたら個性が大事で、歌とダンスなんてできなくてもいい、どれだけキャラが濃いか、爪痕が残せるかが大事だと気づかされて、そこでダンスを辞めたんですよ。そこから自分の戦い方を変えた部分はあったので、そう言ってもらえると嬉しいなと思います。

ーー3rdシングル曲「好きで好きでしょうがない」では間島さんがセンターに選ばれました。MVでは阿部さんとのライバル関係が印象的に描かれています。

間島:『がっこうぐらし!』の撮影の真っただ中で、撮って帰って、2時間だけ寝て、集まってメイクして、その日に振り入れして、午前中にMVを撮って、午後からABEMAのプロデューサーバトルでLaluceとサムサム(Someday Somewhere)がバトルをやるみたいな時期で……。

阿部:よく分かんなかった(笑)。

間島:MVの壁ドンとかも恥ずかしかったけど、収録時間がないからやらなきゃって感じで、変なスイッチが入ってたよね。

阿部:うん。

間島:『がっこうぐらし!』の4人(阿部、長月、間島、清原梨央)は撮影で団結力が生まれていたし、ほかのメンバーよりもずば抜けてスイッチが入っていた時期で、だからこそあのMVが撮れたなと思います。

阿部:「好き好き」は和奏ちゃん以外いないなって思います。たまに、和奏ちゃんがいないライブで「好き好き」のセンターをやらせてもらうんですけど、なんか違うなってなるので。

間島:そんなことないよ(笑)!

阿部:間奏でエモい顔をするのが苦手で(笑)。和奏ちゃんを見る度にすごいなって思う。

間島:あそこ難しいよね。

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