Suspended 4th、コロナ禍を経て行き着いた“歌”が持つ強さ エンターテインメントを追求した新たな境地
「インストというより4人のボーカルの合唱っていうイメージ」(Dennis)
一一歌詞に関しては、どういうテーマがあったんでしょう?
Washiyama:2022年に書ける曲、書ける歌詞っていうイメージで書いたんですよ。2年前だったら書けないだろうなということをとにかく意識していて。
一一それはコロナ禍という意味で?
Washiyama:そうです。あとは体験的、時代的に、いろんな理由で2022年っぽいと言えるんですけど。世間というか、なんとなく音楽業界も経済も動き始めていて、みんなが立ち上がる瞬間、みたいなイメージがあった。その瞬間に少しだけ背中を押せるようなワードをいっぱい書きましたね。団結感じゃないですけど、そういう歌詞が書けたらいいなって。
Sawada:そもそもサスフォーの曲で歌が主役っていうのはあんまりなかったから、そういう意味でも初めての曲ですよね。あと今Washiyamaが話してるのを聞いて……なんか、反撃の狼煙、みたいなイメージが出てきた。もうMV撮っちゃったけど、炎とかあってもよかったのかなって。
Fukuda:ははは。インスピレーション湧いてきちゃった?
Sawada:湧いてきちゃった。そういうのはね、先に言ってほしいね!
Washiyama:すいません(笑)。
一一団結感っていうのはわかります。みんなが一斉に拳を上げる画が浮かぶし、4人が向き合って演奏してるイメージではなくなっている。
Washiyama:そういうところも大人になったっすね。背負わなきゃいけないものが身近にあるんだって感じてる。やっぱりDennisが言ったように、ライブができるありがたみもあるし、そういうものを噛み締めれば噛み締めるほどステージに立つ責任も感じるんで。自分たち4人の対面だけじゃなくて、ステージVSお客さん。そういう方に向かってるのかなって思いますね。
一一そしてカップリング曲に加えて、3、4曲目はインストですけど、爆笑するくらいかっこいいです。
Sawada:爆笑ですか(笑)。ありがとうございます。
一一インストの発案は誰から?
Sawada:<PIZZA OF DEATH>のスタッフです。言われてみて「その手があったか!」と思いました。考えたこともなかったよね?
Washiyama:ないない。でもインストは路上(ライブ)ではやっているんですよね。なんで考えたことなかったんだろう?
Sawada:なんか……CDでインストって、カラオケ音源のイメージがあったのかな。昔のシングルみたいな。「でもサスフォーは違うよ?」ってPIZZA側が言ってくれて、なるほど、そういう聴き方も面白いのかって気づかされた。
一一最高ですよ。爆笑しながら調子に乗ってどんどんボリューム上げていったら、うるさいって子供に怒られました。
Washiyama:ははははは!
Sawada:でも一番嬉しい反応。爆笑してくれるのって一番嬉しいかもしれない。
一一これを聴いてしまうと、もはや歌もいらない……って言うと失礼ですけど。
Washiyama:はいはいはい。でも合ってます。
一一このインストに歌を乗せろって言われたら、まず無理だと思っちゃいます。だから、バックと歌メロは同時に考えるのかってさっき聞いたんですけど。
Washiyama:あ、なるほど。
Sawada:それで言うと、僕も毎回悩んでますよ。ドラムとベースのベーシックが録れた時点で、もう隙間がない。どこにもギターが入らない。「え、どうすんのこれ?」って毎回なるんですよ。
Washiyama:それになんとか「オラァ!」ってギターを入れたものに対して、さらに歌を入れるんです。さっきから「今回は歌がいい」とかみんな言ってますけど、毎回ね、なかなか歌の隙間ないっす!(一同笑)
Dennis:ふふふ。ハードル高い。
Washiyama:毎回「これどうすんの? どうやって歌乗せるの?」ってなりますから。そこは今も悩みポイント。勘弁してほしい(笑)。でもそれだけバックに聴き応えがあるのは事実なんで。
一一ええ。「歌がいいシングルだ」って念押しした上で言いますけど、サスフォーは「歌なんかなくてもいいじゃん」って、演奏だけで満足させてくれるバンドでもある。
Sawada:そういうライブがあってもいいのかなって、今の話を聞いて思いました。先に歌なしだって告知して、本当にインストだけでやりきるライブがあっても、もしかしたらそれで喜ぶお客さんも多いのかもしれない。歌あり、歌なしの二部制とかいいかもしれないですね。
一一絶対楽しいと思う。気を悪くしないでほしいですけど、インストのほうが好きって言われたら喜べます?
Washiyama:あ、全然。嬉しいです。そもそもストリートではよくインストでやってたし、いまだに「インストのほうが好き」っていう人も実際いるし。それはニーズとしてもわかる。自分も歌とインスト、それぞれのよさは理解してるつもりで。だからどっちでも成り立つように、今はまだ作っているのかな。今ストリートで「KARMA」をインストでやれって言われても全然できると思う。
一一インストをかっこよくできるバンドは少数ですよ。結局は「歌が聴きたい、物足りないな」と思ってしまうものがほとんどだから。
Washiyama:そうですよね。インストがそもそも流行ってない感じがするし。カラオケ音源っていうテンションじゃないですからね、これは。
Dennis:だからインストというよりは、4人のボーカルの合唱っていうイメージに近いかもしれない。みんな歌ってる感じがある。
Washiyama:そうね、ドラムが歌ってて、ベースも歌ってる。
一一だから、伴奏なしのアカペラ音源みたいなものに近い。
Sawada:確かに。5本だった楽器が4本になるだけ、みたいな感じ。でも、ここで「俺たちインストバンドになります」って言い出すと「歌ってくれー!」と思う人が多いと思うんですよ。だからインストバンドでもないんだよね。
Washiyama:いつでも、どっちでもやれる。矛盾してるんですけど、そのバランスが面白いバンドなのかなって自分たちでも思ってます。
一一はい。2つの武器がよくわかるシングルです。そして今後は、アルバムを待っていればいいですかね?
Sawada:はい。待っててください。そう遠くない未来に出ます。
Washiyama:絶賛制作中。まさに今録ってます。「ブレイクアウト・ジャンキーブルースメン」とか「HEY DUDE」とか、いろんなレコーディングやソングライティングの方法を試した集大成的なものを作ってるんで、2021年の収穫をお見せできればな、と。新しい人に届けばいいなと思っているし、大勢の人に聴いてもらえればいいですね。
■リリース情報
Suspended 4th
1st Single『KARMA』
2022年4月20日(水)発売
¥2,750(税込)
<収録内容>
Disc 1
1.KARMA
2.KOKORO-DOROBOW
3.KARMA(Instrumental)
4.KOKORO-DOROBOW(Instrumental)
Disc 2(特典Disc)※フィジカル限定
『20211007 Live at STUDIO COAST』
1.ブレイクアウト・ジャンキーブルースメン
2.97.9hz
3.BIGHEAD
4.INVERSION
5.Sky
6.Vanessa
7.ストラトキャスター・シーサイド
■関連リンク
オフィシャルサイト