花譜、理芽、春猿火、ヰ世界情緒、幸祜によるV.W.Pがファンにかける“魔法” 魔女の世界を体現した初ワンマンライブレポ

 4月17日、V.W.P(Virtual Witch Phenomenon)初めてのワンマンライブ『現象』が豊洲PITで開催された。V.W.Pは、KAMITSUBAKI STUDIOに所属する花譜、理芽、春猿火、ヰ世界情緒、幸祜からなるバーチャルシンガーグループ。5人の魔女たちがそろい踏みするライブはどんなものになるのか。彼女たちの謳う“魔女”とは、“魔法”とは、一体何なのだろうか。

V.W.P

 ライブの始まりは、二人ずつのデュエットから。最初にステージに姿を現したのは、春猿火と幸祜。正面に浮かび上がる歌詞の向こうで、端正な2人の声が、ストリングスの繊細な音に導かれるようにしっとりと「古傷」を歌唱。幸祜が舞台から去り、入れ替わるようにヰ世界情緒が登場、画面上には真っ赤な金魚の映像が映り、照明が極彩色に明滅するなか歌うのは「牢獄」。チャンネルを変えるように、春猿火の歌声が「古傷」で見せたストイックさから色気のあるものへと切り替わり、ヰ世界情緒と共に妖艶に歌い上げた。同じように春猿火と入れ替わりで理芽が現れると、またステージ上の雰囲気ががらりと変わる。水面にたゆたうような静謐な演出で始まる「泡沫」で、ヰ世界情緒は一転して、イノセントな歌声を響かせた。そして、最後に花譜が登場し、理芽と共にカンザキイオリの「魔法」を歌った。プロデューサーであるPIEDPIPERから “心で繋がってる姉妹”と評される花譜×理芽のデュエットには、お互いの声、そして音楽が溶け込んでいくような心地よさがある。

 それぞれの持つ歌声、その使い分け、組み合わせの多彩さを、たった4曲の中で鮮やかに披露したうえで、「魔法」において〈私たちが見えるなら/叫ぶから見てて/そう これが魔法 音楽は魔法〉という詞が歌われることで、魔法の世界へ誘うように、『現象』は幕を開けた。

花譜、ヰ世界情緒

 ポエトリーの後、メンバーが「魔女特殊歌唱用形態 花魁鳥」に衣装チェンジする映像が流れ、ついにステージ上にV.W.Pの5人が並ぶ。華々しく始まるのは、「共鳴」。デュエット曲で示された5人の歌声が合わさると、それぞれの声が縦糸横糸となって大きな模様が織り上がったような美しさと迫力がある。〈レッツシンガーボーイ レッツシンガーガール とりあえずこんな歌でどうだい〉、〈ちょっとサムい? まあちょっと恥ずい けどここにいるのなら声出してみよう〉と、客席を煽ってぶち上げ、揃ってステップを踏んで会場の一体感を作り上げる。続けて、〈人生全部フィクション〉と繰り返すサビが印象的な「宣戦」、夕日の映像をバックに厳かに歌い上げる「祭壇」と一気に駆け抜けていく。

 「改めまして、V.W.Pです。いえーい!」

 楽曲が終わり、客席に向けて話し始めた途端、つい先ほどまで、魔女然として歌声で場を圧倒していたことを忘れるほど、5人は一転して「普通の女の子」になる。目線を交わしてくすくす笑い合ったり、跳ねたりポーズをとったりする様がチャーミングだ。

 「皆さん、何かに気づきませんか?」という幸祜の言葉から、新ビジュアルとなる「花魁鳥(エトピリカ) Revolutions」という新衣装の紹介へ。個人の活動では今まで通りのビジュアルで活動し、V.W.Pとしては、この新ビジュアルでの活動になるという。「今までの姿も大好きだけど、集合バージョンもめちゃくちゃ好き。また好きが増えちゃったね。もしかして、これが一個目の“現象”!?」という春猿火の言葉でメンバーが盛り上がるおちゃめなシーンも。

 楽曲へと戻り、V.W.Pの物語の開幕を告げるロックチューン「電脳」、世界に愛を問う壮大なV.W.P的ラブバラード「言霊」、絶望から立ち上がろうとする力強い決意のこもった「輪廻」を立て続けに披露。V.W.Pの世界観や使命、物語性の強い3曲は、まるで一本の映画を見たかのような充実感がある。

 花譜 2nd ONE-MAN LIVE『不可解弐Q1/Q2』のエンディングアニメーションを再編集した映像の後、再びデュオパートへ。まずは花譜×春猿火の「残火」。春猿火の力強い歌声と、耳をくすぐるような花譜の柔らかな歌声が絶妙なハーモニーを生む。続けて、不安を掻き立てるような歪ませた音声で始まる理芽×花譜の「魔笛」。幸祜×理芽による「素的」は、幼く瑞々しい感性を切り取ったような楽曲で、〈永遠に少女ではいられないと少女ではいられないと気がついてさみしい〉というフレーズが印象的な、繊細さと透明感が際立った。そこから一転して、アグレッシブな歌声が披露されるのはヰ世界情緒×幸祜による「刻印」。そして、歌声をじっくり響かせる花譜×ヰ世界情緒の「深淵」へ。

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