本田仁美&矢吹奈子はAKB48グループの“新たな象徴”に IZ*ONEで得た確かなスキルと存在感
矢吹奈子がIZ*ONEで得た表現力
そんな本田と矢吹は、ともに2001年生まれの同い年。しかし、アイドルとして進んだ道は異なっていた。
本田は幼少期からチアダンスに熱中し、また歌も好きだったこともあって、2014年、12歳で『AKB48 Team8 全国一斉オーディション』に応募。栃木県代表として合格した。加入後は“とちぎ未来大使”をつとめたほか、2018年の『AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙』では82位にランクイン。少しずつ認知が広がっていたが、当時のAKBグループにおいては決して目立つ存在ではなかった。
一方の矢吹は0歳から子役として芸能活動をおこなっていた。保育園の卒園ビデオでは「夢はアイドルになること」と口にするほど、AKB48に憧れていたそうだ。2013年8月、HKT48の第3期生オーディションに合格。2016年の『AKB48 45thシングル選抜総選挙』では28位、2018年には9位で選抜入りを果たすなどして脚光を浴びた。
そんな両者にとって大きな転機となったのが、オーディション番組『PRODUCE 48』参加を経てのIZ*ONEへの加入である。ふたりはここで同じステージの上に立った。
本田はIZ*ONE加入後、ダンススキルの向上だけではなく、美容や体づくりにも励んだ。2021年10月6日放送『1周回って知らない話』(日本テレビ系)に出演した際も、「カレーパンは食べるものではなく、見るもの」「徒歩1時間以内なら歩く」など数々のストイックな逸話を披露。指原莉乃が「ひぃちゃんはずば抜けて努力していたと聞いた」と話していたが、こうした本田のハングリー精神は、AKBグループ全体に間違いなく好影響を与えているのではないだろうか。特に各グループでなかなか浮上できないメンバーにとっては、本田を見て「もう一段階、努力してみよう」と頑張るきっかけになるかもしれない。
矢吹は、IZ*ONEでの活動を通して表現力に奥行きが出た印象だ。書籍『日経エンタテインメント! HKT48 Special 2019』(2019年/日経BP)のインタビューでも「パフォーマンスでの見せ方が苦手で、『カッコいい曲でも、いつも笑っている』と先生に注意された」と課題をあげていた。帰国後はドラマ『顔だけ先生』(フジテレビ系)に出演。これが実に中身の濃い芝居だった。扮した役は、周囲から押し付けられる明るいイメージと本当の自分の姿のギャップに葛藤する学生。自分のあり方を見失いながら、少しずつ心のもつれが解きほぐれていく若者の姿を繊細に表現した。彼女の表現力もまた、AKBグループの各メンバーにとって見習うべき点が多いはず。俳優としても、今後の活躍が楽しみな存在だ。
海外活動を経て一回り成長した本田と矢吹。その圧倒的なパフォーマンスと際立つ存在感は、AKBグループの“新たな象徴”になるのではないだろうか。
※1:https://times.abema.tv/articles/-/10007578