Kis-My-Ft2メンバー分析 第6回:玉森裕太、揺るがぬ芯の強さを持つエース 役者としても躍進する表現の幅広さ

 昨年CDデビュー10周年を迎え、5月からは約3年ぶりとなるドームツアー『Kis-My-Ftに逢える de Show 2022 in DOME』をスタートさせるKis-My-Ft2。それぞれが得意な分野で活躍しながらも、ここぞというときにはチームワークを見せる、自由なようで強固なグループだ。その個性豊かな活動を軸とし、魅力をまとめてみたい。第6回は玉森裕太。

Kis-My-Ft2
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「売れないとダメなんで。売れなきゃ意味がない」

 密着ドキュメンタリー『RIDE ON TIME』(フジテレビ系)にて、玉森が明かした言葉。悔しさなのか、もどかしさなのか、なにかを噛みつぶすように浮かべた微笑みが、本心であることをビシビシと伝えてくる。けれど玉森を見続けてきたファンにとっては、ここへきて改めて答え合わせになるような、“らしい”言葉だったのではないだろうか。大事なときには、不安も強気も、隠そうとしない人だ。玉森が、10周年を経てなお「もっともっと」という姿勢でいること、Kis-My-Ft2のポテンシャルを信じていることが心強い。そのことを、こうしてまっすぐすぎるほど言葉にしてくれるから、ファンは玉森を、Kis-My-Ft2を信じてついていけるのだと思う。

 いまや押しも押されぬグループのエースだが、ジャニーズJr.時代には宮田俊哉と二人、とにかく怒られっぱなしだったという玉森。しかし、デビュー前に出演した映画『ごくせん THE MOVIE』の前後から、彼の立ち位置は次第に変化し、メディア露出も増えていった。さらにデビュー曲は、連続ドラマ初主演作(※1)となった『美男ですね』(TBS系)の主題歌に決定。それも、韓国の大人気作品のリメイクというビッグプロジェクトだ。元来、前へ前へと出るタイプではない玉森に課せられた重圧は想像に難くない。

 そうした経緯を踏まえた上で、誤解を恐れずに言えば、玉森は生粋の“絶対的センター”でもなければ、生え抜きのエリートでもない。けれど、玉森がセンターに立つことでグループ全体がバランスよくしまり、彼を真ん中におくことで生まれるシンメトリーや多様なポジションワークが、それぞれの個性を引き立たせる。玉森を中心に7人が並んだときの「これだ」というしっくり感は、10年と少しの時間をかけて築きあげられたもの。玉森は、グループを輝かせるセンターなのだと思う。

 それはもちろん、玉森自身の魅力あってのこと。とりわけバラードではその表現力が光り、表情や指先にまで目を奪われる。いつからか玉森は、役者としても飛躍を見せるようになった。ドラマ『信長のシェフ』(テレビ朝日系)や、映画『パラレルワールド・ラブストーリー』など数々の作品で主演を務めながら、その繊細な芝居は助演でも光る。実際、ドラマ『リバース』(TBS系)やドラマ『グランメゾン東京』(TBS系)では、アイドルであることを置き去りにして、芝居の評価が先行した。

 影のある役どころを演じる機会が多いものの、表現の幅は広い。自身にとって久しぶりの王道ラブストーリーとなった近作『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)ではヒロインの相手役を演じ、視聴者までもめいっぱいときめかせた。また『LAVONS LE LINGE』CMシリーズで見せる自然体な姿にも言えることだが、玉森は自身の魅力を活かしつつも、“玉森のようで玉森でない”誰かの理想を芝居で具現化する。だからこそ、たった15秒や30秒で観る者の心をさらっと奪ってしまうのだろう。いまや「次回作はいつだろうか」と、期待される役者の一人である。

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