DEPAPEPE、2年越しに開催叶った15周年ライブ インディーズ時代の楽曲から最新曲まで披露

DEPAPEPE、15周年ライブレポ

 アコースティックギター2人組インストゥルメンタルユニットのDEPAPEPEが、3月20日にTOKYO DOME CITY HALLで『DEPAPEPE メジャーデビュー15周年!これからもよろしく大感謝祭!!!』を開催。これは2020年に開催予定だったが、昨今の状況下で延期を余儀なくされ、2年越しで開催が叶ったもの。2020年にリリースした最新アルバム『Seek』からの楽曲や昨年配信リリースした「琥珀星」のほか、2005年のデビューアルバム『Let's Go!!!』収録曲など、各作品から選曲された全20曲を演奏。明るくハイテンションでトークする三浦拓也と、それにそっとツッコミを入れる徳岡慶也が、仲の良さはそのままに、磨きのかかった演奏で観客を魅了。15周年をファンと共にお祝いした。

 15年を振り返った懐かしいムービーから、現在の2人が路上でセッションを始める映像が流れ、それに重なるように1曲目の「FLOW」でライブの幕が上がった。同曲は前述の『Let's Go!!!』に収録された楽曲で、2人のストリートライブでもお馴染みだった。時計の針を巻き戻すような粋な演出で、ファンの心を掴んだ。

 まるで歌をうたうかのようにアコギでメロディを奏でる2人。そのキャッチーさは、歌詞はないのに、気づけば鼻歌を口ずさんでしまうほど。体を左右に揺らしながら楽曲を楽しむオーディエンス。また「Love Letter」では途中でジャズ展開を挟んで会場を沸かせるなど、15年を経たからこその懐の深さも見せつけた。

 MCは関西圏出身の彼ららしく、ユーモアに溢れたトークで楽しませた。「何と2年も延びて、17周年に突入した僕らが、15周年記念ライブを行うという」(三浦)、「もうそろそろやっておかないと、すぐ20周年になって大変になるんで」(徳岡)。きっと悔しさもあったはずだが、そんなことはおくびにも出さずユーモアで切り返す強さも、この15年で身につけたのだろう。

 ライブはデビューからの15年を集大成するように、様々な年代の楽曲が演奏された。2006年の4thシングル表題曲「Night & Day」は、軽快なリズムで聴き心地のいいメロディを聴かせ、アニメ『ハチミツとクローバーII』の名シーンが脳裏をよぎる。また、2004年のインディーズ時代のミニアルバム『PASSION OF GRADATION』に収録の「DUNK」は、泥臭さを感じさせるロックテイストの楽曲で、エネルギッシュな演奏を聴かせた。

 DEPAPEPEの楽曲は、歌詞がない代わりに色や季節といった題材で感覚的なイメージを刺激してくれるものも多い。「僕が小さい頃から好きな色を題材にした曲」(三浦)という「キミドリ」は2ndアルバム『Ciao! Bravo!!』に収録、「15周年でぜひやりたかった曲」(徳岡)という「Color」は8thアルバム『COLORS』に収録の楽曲だ。また「桜風」は、「当初のセットリストには入っていませんでしたが、3月という今だからこそ、やりたいと思い引っ張り出して来ました。僕らには桜にまつわる曲が多いけど、その中でもライブであまりやっていない曲です」と三浦。歌の旋律をギターで演奏する意識で作ったという同曲は、まるで合唱するようなサビが胸を打つ。きっとファンは心の中で歌っていただろう。

 中盤は2人だけで、「風見鶏」と「Diary」を披露した。「風見鶏」ではまるで路上ライブをやるように、2人で顔を見合わせてタイミングを取り、演奏。待ち人をずっと待っているような切ない空気が、会場を包み込んだ。「Diary」は、徳岡の提案でちょっとした試みと共に披露された。それは、タイの通訳の“カティさん”が描いた女性のイラストのアニメーションを見ながら楽曲を聴くというもの。独特な雰囲気のイラストで、徳岡曰く「見ようによって、いろいろな表情(感情)に見えて、それは僕らのインストゥルメンタルと似ているのではないか」とのこと。メロディの変化によって、穏やかだったり切なげだったり、徳岡の言う通り違って見える不思議な感覚を味わった。また「音楽にはいろいろな力がある」と三浦。インストユニットのDEPAPEPEだからこそ可能な、感受性に訴えかける実におしゃれな演出だった。

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