TWICE、4枚目のベストアルバムが大差でチャート首位 大人の魅力を発揮する新たなモードが凝縮された1枚に

 『#TWICE~』ベストシリーズは、既発曲の韓国語バージョンと日本語バージョンを両方収録した日本ファン向けの作品。言語の意味がわからないままサウンドを楽しんでいたリスナーにとっては、「あぁ、こういう歌だったのか」と納得する解答編のようなニュアンスもあります。その意味でいえば、1曲目「I CAN’T STOP ME -Japanese ver.-」から歌詞がとても大人っぽい。〈心の中 すべて知ってる/結局は一線越えること〉と予感しつつ、主人公はひるむことなく恋に落ちていきます。コントロール不可になった感情に任せて〈目閉じてくれる?〉なんて口にしてしまうところ、「TT」時代からの大きな成熟を感じます。思いっきり80’sに寄せたシンセサイザーは、懐かしい“遊び”というより、バブリーダンスが逆にかっこいいと“発見”した若い世代の感性に響くのでしょう。

TWICE「I CAN’T STOP ME -Japanese ver.-」

 続く「CRY FOR ME -Japanese ver.-」。こちらの歌詞で描かれるのは別れの予感。〈無邪気な微笑みで/自分を騙す〉主人公は、〈胸に秘めたサヨナラ〉と〈今もまだ好きだから〉の狭間で切なく揺れ動いています。無神経な恋人に向かって〈嘘泣きでもいい Cry for me〉と心で叫ぶところ、かなりグッときますね。あえて書きませんが、歌詞の締め方もすごい。そんな複雑な乙女心を包むのが、音数の少ない、本当に骨組みだけのバックトラック。ブリブリの低音で派手に盛り上げない、弦楽器のかすかなピチカートで歌を包み込む仕様がとても上品で、これまた初期には見られなかった今のTWICEを感じます。品のよさは3曲目「Alcohol-Free -Japanese ver.-」にも通ずるところ。少しずつ入ってくるラテンのフレーバーが、ほろ酔いの気分を盛り上げてくれます。

TWICE「CRY FOR ME -Japanese ver.-」
TWICE「Alcohol-Free -Japanese ver.-」

 「SCIENTIST -Japanese ver.-」は理性ではなくて直感で恋をしようと誘うラブリーな1曲。こちらはMVに見るダンスがベリーナイス。真似できそうで簡単にはできない動きの複雑さ、でも絶対トライしたくなる親近感、本当にいい感じでツボを押してくれます。相変わらずかわいい、でも上品な大人っぽさもあり、時にドキッとするほどセクシーでもある。変わりつつあるTWICEが楽しめる1枚です。

TWICE「SCIENTIST -Japanese ver.-」

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