神谷志龍、孤独に寄り添う“日陰者”の音楽 鋭利な歌詞とキャッチーなサウンドで紡ぐダークな世界観
ネット発の才能がJ-POPシーンで活躍することが当たり前になりつつある昨今。その中でも、かなり“尖った”存在として支持を広めているのが、シンガーソングライターの神谷志龍だ。
3月23日には、昨年11月に配信限定でリリースされた1stアルバム『GHOST AID』がCDリリースされる。それに先立って、本人はTwitterでこんな風に自分の音楽を紹介している。
「心の暗い部分を音楽にしている人間です。孤独感や疎外感、猜疑心、希死念慮を抱えた音楽を作っています。世の中に多くある光のような音楽とは相反した日陰者の音楽です。もしよければ一度聞いてみてください」
はじめまして。心の暗い部分を音楽にしている人間です。孤独感や疎外感、猜疑心、希死念慮を抱えた音楽を作っています。世の中に多くある光のような音楽とは相反した日陰者の音楽です。もしよければ一度聞いてみてください。少しでも良ければフォローと拡散をしてほしいです。力を貸してください。 pic.twitter.com/saPH6D4sIU
— 神谷志龍 (@kamiyashiryu) February 26, 2022
その言葉の通り、すべての曲に暗闇が色濃く焼き付いている。上手くいかない日常について、ふと死を思い描いてしまうことについて、這いつくばりながら必死に生きようとすることについて。葛藤を抱えて擦り切れそうになる日々と、なんとか手繰り寄せようとする小さな光について。いろんな曲に、そんなモチーフが共通している。
たとえば「独白」は、こんな歌い出しから始まる。〈これで何度目の「ごめんなさい」か/はみ出し者のエスオーエスは/見えないなにかに遮られて/どうも上手く伝わらない/これが僕の精一杯〉。
たとえば「正気じゃいられない」は〈首に巻いた命綱 向精神薬が友達さ ゲロまみれの錠剤〉という歌い出しから始まる。ダイナミズムに満ちた曲展開を経て〈生きていたい/それでも生きていたい/それでもここに居たい〉というラストに辿り着く。
神谷志龍がシンガーソングライターとしての活動をスタートしたのは2019年9月。それ以前にはコンポーザーとして他のアーティストに楽曲提供も行ってきた。特に歌い手のウォルピスカーターには「僕らのミッシングリンク」や「口なしの黒百合」、3月23日にリリースされる2nd EP『分身 -Bunshin-』収録の「分身」を提供するなど、たびたび作曲・編曲にて参加している。
ウォルピスカーターはインタビュー(※1)にて神谷志龍のことを「インターネットを始めてからの友達のなかでいちばん古い付き合い」と語っている。まさに“盟友”としての関係と言っていいだろう。