星野源、アットホームな空間作りと貴重な選曲で届けた『YELLOW PASS Live Streaming “宴会”』

星野源、アットホームな空間作りと貴重な選曲で届けた『YELLOW PASS Live Streaming “宴会”』

 星野源が、3月6日夜、ライブ配信『YELLOW PASS Live Streaming “宴会”』を開催した。

 この配信は、星野源が年に1回発行するオフィシャルイヤーブック『YELLOW MAGAZINE』に付属のWEBサービス「YELLOW PASS」に登録している会員のみ視聴できる有料の無観客オンラインイベントで、前半はライブ、後半はトークと二部構成になっている。また、後半のトークパートはサポートメンバーとともに食事しながら語り合うという文字通りの“宴会”が繰り広げられ、星野ら出演者と酒食をともにしている気分を味わえる特別イベントだ。

 まず最初に、屋根裏部屋のような狭い場所からライブは始まった。本が無造作に置かれたアットホームな雰囲気の空間で、椅子に腰掛けた星野がギターを抱えている。披露したのは1stシングル曲「くだらないの中に」。ちょうど10年前にリリースしたこの曲は、今聴くとまた凄みを増している。

〈流行に呑まれ人は進む 周りに呑まれ街はゆく〉
〈僕は時代のものじゃなくて あなたのものになりたいんだ〉

 日々移ろう時代の中で安易に流行りに寄りかからず、常に自身のスタイルを貫いてきた星野源。このフレーズを歌った時の彼には、いつもより一段と力が入っているような気がした。曲を終えると落ち着いた声で話し始めた。歌いながらも宴会用の料理の匂いが気になっていたことなど、現場の独特の状況を視聴者に伝える。

 続いて、2曲目「Pop Virus」のイントロを弾き語る。するとどこからかサポートメンバーの演奏が聞こえてきた。場所を移動し、メンバーのいるフロアへ。今回はギターに長岡亮介、ベースに三浦淳悟、ドラム/キーボードにmabanua、管楽器に武嶋聡といつもの公演と比べると小規模の編成だ。しかしそうしたことで、シンプルながらも一人一人の存在感が際立つものになっていたように思う。

 この布陣で、さらに選曲も珍しいものになっていた。それを象徴するのが、ライブでは過去にまだ一度も披露されていない「Dead Leaf」である。音源では山下達郎のコーラスアレンジが堪能できるこの曲。ネオソウルとドゥーワップの要素が融合したこの曲を力を込めてソウルフルに歌い上げる。

 〈心をそのまま伝える 言の葉 見つからない いつまでも〉の部分で手を胸に当て苦しそうな表情を浮かべる星野。そして〈これは 愛だ〉で声を力強く荒げた。なにか切実な感情が伝わってくる。テレビやMVで見る彼とは違った荒々しい姿がそこにあった。

 ライブ後半には、新曲「創造」を音源とは違ったゆったりとしたテンポで演奏。ゲームキューブの起動音の箇所は、今回の編成により特別アレンジで演奏するとさながら怪しげなプログレッシブジャズといった様相で、暗めの照明も相まって独特な空間が演出されていた。非常に難度の高いこの曲。演奏を終えると星野は「できたぞー」と喜びを見せ、「ドゥドゥドゥのとき(ゲームキューブの起動音の箇所)のジャンボさん(三浦のニックネーム)の顔が好き」と言ってメンバーの笑いを誘った。

 終盤になると「ドラえもん」を披露。途中に「笑点のテーマ」を演奏し、最後に武嶋が「パフッ」と大きく鳴らしてフロアが笑いで包まれるなど、終始穏やかなムードが漂う。最後は「桜の森」。季節にちなんだこの曲で、メンバーたちが極上のアンサンブルを奏でた。直前の“笑点”で空気がほぐれたのもあってか、この日一番のグルーヴが生まれていた。

 そして後半は“宴会”。メンバーたちが食事をしながら和気あいあいとトークやゲームをして楽しんでいた。

 ステージが移動する配信ならではの展開や、会場とこちらの自宅が繋がれたようなアットホームな空間作り、貴重な選曲、特別編成によって際立った演奏のグルーヴ感、ちょっとした音楽的な笑い……。2時間ちょっとの中にも多くの要素が詰まった今回の配信。もうしばらく“宴会”なんてしてないなあと思いを馳せた、どこか懐かしくもあった一夜であった。

■公演概要
『YELLOW PASS Live Streaming “宴会”』
配信日時
2021年3月6日(土)17:00 OPEN / 18:00 START
※3月31日(水)23:59までアーカイブ配信あり
詳細はこちら

星野源 オフィシャルサイト

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