なにわ男子、ジャニーズの伝統も継承する多彩な世界観 見どころ盛りだくさんなライブパフォーマンスの魅力

多角的なアプローチでファンの心をつかむ

 今回のライブのセットリストは、グループのオリジナル曲のほか、ジャニーズの先輩たちのヒット曲で構成されており、ジャニーズJr.のライブならではの豪華なランナップだ。先輩グループの楽曲はダンス、歌とも高度なテクニックを要求される難曲揃い。しかし、ただ先輩の楽曲を披露しているだけではなく、見事に彼ららしさをプラスし、なにわ男子のスタイルとしてパフォーマンスしていることに驚かされる。

 そしてオリジナル曲で見せる多彩な表情も、彼らの持ち味だ。キラキラの王子様風、ポップでキャッチーなはっちゃけた姿、キレキレのダンス、クールなパフォーマンスなど、幾通りもの表情で楽曲の世界観を表現している。そして圧倒的な歌唱力でグループを牽引する大橋和也をはじめ、ボイストレーニングでめざましい成長を見せた高橋恭平、グループ結成時から人知れず地道な努力を欠かさない道枝駿佑など、メンバー全員の安定したボーカルセンスも彼らの大きな武器だ。さらに、メンバーは関西出身ならではのテンポのあるトークスキルを備えており、西畑を中心にライブでは毎回ファンの記憶に残るMCを展開している。お笑い番長として知られる藤原丈一郎の洗練されたワードチョイスによる絶妙なテンポのツッコミも見事だ。加えてジャニーズJr.時代から西畑を良きパートナーとして支えた大西流星は、ファン目線でかわいさに徹底的にこだわったグッズプロデュースを手がけることで、メンバーとなにふぁむ(ファンの呼称)の絆をより強固なものとしている。このようにファンの気持ちを多角的なアプローチでつかむパフォーマンスは、彼らならではのものだろう。

デビューを経て次なるフェーズ、“NEXT STAGE”へ

 昨年放送された連続ドキュメンタリー『RIDE ON TIME』(フジテレビ系)や、Amazon Prime Videoにて配信中の『なにわ男子 デビューまで1100日のキセキ natural』など、ライブの舞台裏を追ったドキュメンタリーから伝わってくるのは、デビューを目指す彼らの等身大の姿だ。ステージ上で見せるキラキラしたアイドルの姿とは一転、悩み、苦しみながらも強い志を胸に、ひたむきに努力を続けるストイックな彼らだからこそ、つかみ取ったデビューだったのだと思う。

 同ライブでも披露された、道枝が作詞を担当し、なにわ男子の絆を歌詞に綴った「Time View~果てなく続く道~」。〈どれだけ夢を見てきただろう〉〈不安が募って壊れそうになっても 横を見れば 君がいるから〉。デビューを機に、夢の階段を1段上った彼らはすでにもっと先を見据えているように思う。なにふぁむとともに、まだ見ぬ“NEXT STAGE”へ着実に歩を進める彼らの次なる挑戦を楽しみに見守りたい。

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