BTS JUNG KOOK&SUGAによるOSTも人気に TOMORROW X TOGETHER、ENHYPEN…ウェブトゥーンにチャレンジする意義

 「7FATES: CHAKHO」は特に今までのBTSの世界観とは繋がりはなく、サスペンス風味のファンタジーアクションという既存の人気ウェブトゥーンを意識したジャンルに、韓国の伝統という海外展開を意識したエッセンスを融合させたようなストーリーだが、TOMORROW X TOGETHERやENHYPENは、よりグループとして表現してきたコンセプトや楽曲イメージに沿った作品が展開されている。例えばENHYPENとコラボした「黒の月: 月の祭壇」は、特殊な力を持つ主人公の女性キャラクターが、入学した寄宿学校で人間ではなさそうな7人組に出会い惹かれ合うという、ヴァンパイアストーリー。ジャンル的には乙女ゲームのような逆ハーレムファンタジーに近いが、西洋的なイメージの寄宿舎学校やヴァンパイアのような意匠はENHYPENの「BORDERシリーズ」のコンセプトをそのまま反映しているようだし(「Tamed-Dashed」のMVに登場したようなモチーフも登場)、主人公を取り巻く「7人の異形の少年たち」という設定は、森の中の隔離された施設から生まれたENHYPENのコンセプトイメージをダイレクトに反映しているようにも見える。

ENHYPEN (엔하이픈) 'Tamed-Dashed' Official MV

 TOMORROW X TOGETHERの「星を追う少年たち」に至っては主人公がアイドルグループのメンバーだ。「魔法が使えるアイドルと使えないアイドル」が存在し、魔法の有無が人気に直結している世界で、魔法が使えず人気のなかったアイドルグループのメンバーたちがある日魔法に覚醒して……というファンタジーアイドルものである。デビュー時からTOMORROW X TOGETHERの活動コンセプトには「魔法」がモチーフに数多く登場し、作中に登場する「Magic Island(マジックアイランド)」は同タイトルの楽曲と13分超えの大作MVが存在する。原題の「The Star Seekers」はファンミーティングのイメージテーマだったこともあり、「自分だけが使える魔法を探す少年たち」というテーマはグループのデビュー以降からのコンセプトそのものとも言えるだろう。デビュー以降、周囲の環境や状況によって楽曲ジャンルを含むコンセプトが大きく変化してきたBTSとは対照的に、後輩グループはより明確に将来的な展開を意識した、グループならではのスタイルをベースにしたコンセプトが練られている。

TXT (투모로우바이투게더) 'Magic Island' Official MV

 また、近年K-POP界隈で活発な動きを見せるNFTビジネスも、アニメーション経由で発展しやすいゲームやキャラクターグッズと絡めて発展しやすい分野だ。BT21やTinyTANなど単体のキャラクタービジネスではある程度の成功を収めているHYBEが、よりディープなファン層をベースとしたIPビジネス展開を狙うための素地としてウェブトゥーンへのチャレンジがあるのかもしれない。韓国では最近、作品をイメージした「ウェブトゥーンのOST」がリリースされ始め、実際に音源チャート上位を賑わせている。HOT100にチャートインした「Stay Alive」のように、今後は彼らの本業である音楽とも繋がるような発展を期待したい。

※1:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000369.000003707.html

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