Snow Manメンバー、なぜ異例の全員単独表紙を実現? これまでの偉業と彼らが求められる理由を考察

 始まりは、2022年1月26日に解禁された佐久間大介の『mini』(宝島社)単独表紙の知らせだった。そこから連なるように、阿部亮平の『Hanako』(マガジンハウス)、渡辺翔太の『steady.』(宝島社)……と発表が続き、向井康二の『AERA』(朝日新聞出版)が発表された2月10日、Snow Manメンバー全員の単独表紙が出揃った。

 この異例の全員単独表紙では、上記の通り全て出版社も対象とする読者層もバラバラに、彼らはカバーを飾っている。そもそもアイドルグループの全員が同時期に単独表紙を飾るということは珍しく、これは、3月25日に全国公開される映画『おそ松さん』のプロモーションの一環であり「Snow Man全員主演」である今作同様「全員が主役」であることを示しているように思える。

 ここまで、彼らが飾った単独表紙を見ていくと、それぞれの持つ「得意分野」を生かしたものが多い。例えば、過去に7回単独表紙を飾っている(※1)渡辺翔太は美容を武器にした表紙が多く、2020年8月19日に刊行された『anan』(2213号・マガジンハウス)では、異例の発売前重版を果たしている。そこからは『FINE BOYS +plus BEAUTY vol.2』(日之出出版)など、男性向けの美容誌でも表紙を務めた。直近でも『美的2月号 SPECIAL EDITION』(小学館)での男性初の単独表紙や1年半ぶりの登場となる『anan』(2288号)といった雑誌で着実な成果を残している。

 阿部亮平は『Hanako』(マガジンハウス)において「自分を高める、学びの教科書」企画の常連となっている。第2弾では、巻頭ページにおいて「もし阿部亮平さんが家庭教師だったら」をテーマにした妄想ストーリーを展開。このように「インテリイメージ随一」である阿部亮平は学びをテーマとした雑誌において7回単独表紙を飾っている。

 忘れられないインパクトを残したのが目黒蓮の『FINEBOYS』(日之出出版)初表紙である。彼の表紙が解禁されるや否や、10秒でサイトのサーバーがダウンしたのは記憶に新しい(※2)。また、次の号では5秒でサーバーダウンを起こすほどの反響を呼んだ。彼もまた、モデルとしてのずば抜けたスタイルと、ルックスを武器に計7回に及ぶ単独表紙を飾っている。

 このようにあげればキリがないが、各自が持ち前の個性を生かした雑誌での表紙を飾ってきた。そうして定着してきた彼らの個性が、ターゲット層や性別を超えて届き、「Snow Man」というグループとしての知名度を確実にあげたことが、今回の「全員単独表紙」に踏み切れたことの一つの大きな勝因ではないだろうか。

 また、彼らがビジュアル面でも男女問わず受け入れられやすいことも勝因と言える。例えば、初めこそ連載を持つ『Tarzan』(マガジンハウス)での単独表紙が多かった岩本照は、高いダンススキルを生かして『ダンススクエア vol.43』(日之出出版)の表紙を務めた。彼はもともとグループ内でも男性ファンが多い存在であったが、『CHEER』(宝島社)や『BARFOUT』(ブラウンズブックス)といった、ビジュアル性の高い雑誌では前髪をふわりと下ろし、柔らかな魅力をも開花。各誌で異なる表情をみせ、男女問わず魅了した。

 『MEN'S NON-NO』(集英社)でレギュラーモデルを務めるラウールにも同様のことが言える。彼が初主演を務めた映画『ハニーレモンソーダ』のプロモーション期間、21冊もの単独表紙を飾っているが、どれも違った表情で読者を魅了している。なかでも、その期間に発売された『non-no』(集英社)と『MEN'S NON-NO』ではそれぞれ単独表紙を飾ったが、「惹かれる、ラウールの素顔」と題し、フレンチボーダーのTシャツをまとったラウールの表情をアップで可愛らしく捉えた『non-no』と、「ラウールの夏休み」と題し、シャワーを片手に少しヤンチャな表情など「等身大の男の子」の姿を見せた『MEN'S NON-NO』の対比は印象に残った。

 また、向井康二はカメラという特技を活かし、ここまで様々な写真家から本格的な指導を受けてきた。その連載は『アサヒカメラ』から『AERA』へと受け継がれ、基本的に月2回展開されている。『アサヒカメラ』でジャニーズが表紙を飾ることはほぼ無いと言ってもいいほど珍しく、当時は話題となった。向井はこれまでファッション誌において単独表紙を飾ることはなかったものの、ジャニーズの有料会員向けブログ「すの日常」や『non-no』『MORE』(集英社)といった女性誌で度々披露していた「コージネート」という向井康二の組んだコーディネートが好評で、今の時代に合った年齢や性別などを飛び越えた「ボーダーレス」なセンスの持ち主であるといえる。そんな彼はセンスを光らせ7冊もの表紙を飾ってきたが(※1)、ついに『FINEBOYS 4月号』にて初表紙を飾ることとなった。ファンにとってもいつも手にとっている読者にとっても期待値の高いものとなりそうだ。

 己の個性や強みを知るSnow Manのメンバーは、「セルフプロデュース」能力にも長けていると感じる。ジャニーズをメインに旬のアイドルを取り上げる『Duet』(ホーム社)での「Snow Manソロ表紙シリーズ」は全て「自己プロデュース」によるものだ。現在出揃っているのは、岩本照、阿部亮平、ラウール、宮舘涼太、向井康二の5人(※3)。

 それぞれが「魅せたい自分」を自由に、なおかつ「ファン」の喜ぶ姿をどこかで理解していると感じる表現はコレクションしたくなる。特に、宮舘涼太のソロ表紙は、真紅のバラの束を持ち、白いシャツの胸元を上品にはだけさせ、パールのロングネックレスを首元に垂らすスタイルで、まさにブレない「舘様」そのものなのだが、表紙をめくるとあらわれる愛鳥のセキセイインコ「レインボーローズくん」と戯れるリラックスした姿。このギャップこそが「宮舘涼太そのもの」とでもいうような1冊となった。このように、魅せ方のうまさは、ファンの「コレクター心」をくすぐるともいえる。

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