【特集】Virtual&Music 〜仮想と現実を繋ぐ新たな音楽〜
森カリオペ、湊あくあ、Rain Drops、V.W.P、HIMEHINA、葛葉……2022年、活躍の期待高まるバーチャルアーティスト
Facebookの社名変更に伴うメタバースへの関心の高まりや、VTuberを筆頭にしたバーチャルタレントの活躍、VR/AR技術の普及により、バーチャル文化は新しいエンターテインメントのひとつとしてもますます受け入れられつつある。それは音楽活動においても同様で、昨年はホロライブの星街すいせいの1stアルバム『Still Still Stellar』や、にじさんじの月ノ美兎の1stアルバム『月の兎はヴァーチュアルの夢をみる』がオリコン週間チャートのトップ10内にランクイン。2022年も様々なバーチャルタレント/アーティストの音楽が人気を集めそうだ。ここではすでに大きな活動が予定されている面々を中心に紹介したい。
森カリオペ
まずは大手事務所・ホロライブプロダクションから、英語圏向けに活動するホロライブENのラッパー、森カリオペ(Mori Calliope)。彼女は自身でリリックを書いたオリジナル曲を多数発表しており、英語/日本語を使った王道感のあるフロウを得意としている。代表曲「失礼しますが、RIP♡」はYouTubeの再生数が2800万回を超えているほか(1月下旬現在)、異世界創造プロジェクト “ホロライブ・オルタナティブ”の「Dawn Blue」やTAKU INOUEとの「Yona Yona Journey」での歌唱も話題となった。最近では他のENメンバーがかかわる楽曲の作詞&MVも担当。3月に幕張メッセ国際展示場&イベントホールで同時開催される、生バンド+AR形式のホロライブプロダクション初となる全体イベント『hololive SUPER EXPO 2022』『hololive 3rd fes. Link Your Wish』にも出演する。V界で今一番デビューアルバムが待たれているアーティストのひとり。
湊あくあ
同じくホロライブプロダクションでは、湊あくあが1月28日に豊洲PITで『湊あくあ ワンマンライブ2022「あくあ色 in わんだ~☆らんど♪」』を開催。現在挑戦中の『Apex Legends』のソロマスター企画などゲーム配信も人気の彼女だが、一方でJunky、40mP、DECO*27、TOKOTOKO(西沢さんP)らが手掛けた楽曲は、自身の歩みとリンクしたクオリティの高いアイドル曲で、「#あくあ色ぱれっと」はV界を越えTikTokでも流行中。同サービスでの再生数は7,000万回を超えている(1月下旬現在)。また、最大の魅力はキュートで華のあるライブでの姿。2月には自身がアンバサダーを務める『よこすか海のアニメカーニバル』での単独ライブ、3月には先述のホロライブプロダクション全体ライブ&イベントにも出演。ときのそらや星街すいせいらとともに、ホロライブのアイドル面を代表するメンバーだ。
Rain Drops
昨年リアルタイムARライブを行ったことも記憶に新しい人気事務所・にじさんじでは、緑仙、三枝明那、童田明治、鈴木勝、える、ジョー・力一によるユニット・Rain Dropsが2月に豊洲PITで『Rain Drops セカンドワンマンライブ SQUALL~雨ニモマケズ/風ニモマケズ~』を開催。オリコンデイリーチャート3位になった昨年の1stアルバム『バイオグラフィ』では音楽性の幅をさらに広げていて、中でもじんと堀江晶太(PENGUIN RESEARCH)による共作曲「エンターテイナー」は、バンドサウンドときらびやかなストリングス、エンターテインメントへの気持ちを表現するような歌詞が印象的なキラーチューンになっていた。メンバーの緑仙と、弦月藤士郎&相羽ういはによるユニット“こじらせハラスメント”での活動にもワクワクさせられる。
葛葉
同じくにじさんじでは、男性VTuber初のYouTubeチャンネル登録者数100万人を達成した葛葉も、3月にミニアルバム『Sweet Bite』でメジャーデビューを予定。FPSなどを筆頭にした長時間のゲーム配信を得意とするストリーマー型の活動で知られる彼だが、一方で2020年11月に公開された「KING」の歌ってみた動画も3000万回以上再生されている(1月下旬現在)。昨年9月にはライバーとしての歩みを“コントレイル=飛行機雲”になぞらえた歌詞が印象的な初のソロオリジナル曲「コントレイル」をリリースし、11月にはZepp Hanedaでのソロライブも成功させた。叶とのユニット・ChroNoiRや、同事務所の新ユニット・ROF-MAOらの活動とともに、近年盛り上がりつつある男性バーチャルタレント/アーティストの人気をさらに広げてくれそうだ。
V.W.P
音楽活動をメインに据えたバーチャルシンガーの中でも、2次元/3次元を超えて様々なクリエイターが集うKAMITSUBAKI STUDIOのシンガーたちが集結したスーパーグループこそ、花譜、理芽、春猿火、ヰ世界情緒、幸祜の5人によるV.W.P(Virtual Witch Phenomenon)。彼女たちはクリエイターとの交流やAR技術も使ったライブパフォーマンスなどで、2次元/3次元の垣根を音楽面から溶かすような活動が印象的で、普段は独立して活動しているからこそ、集まった際もメンバーそれぞれの個性/歌を保ったままひとつになっている感覚がある。昨年はプロジェクト『神椿市建設中。』への出演や、TVアニメ『マブラヴ オルタネイティヴ』(フジテレビ系)のオープニングテーマなどが話題に。今年もどんなふうに活動が広がっていくのか楽しみにしたい。