King & Princeメンバー分析 第1回:平野紫耀、トップアイドルとしての風格 人々を魅了する圧倒的なヒーロー感

 2021年夏、平野は多忙だった。『King & Prince CONCERT TOUR 2021 〜Re:Sense〜』の開催、King & Princeとして初めての『24時間テレビ』メインパーソナリティー就任、映画『かぐや様は告らせたい』関連で飾った単独表紙の数は40誌以上にものぼった。加えて表には出ない、準備やレッスンといった仕事もあっただろう。

 平野だけではなくKing & Princeにも言えることだが、その多忙ぶりと積み上がっていく様々な数字・記録は、もはや旬などという言葉では片付けることができない。グループ名に冠したように、時代の王者であることを象徴していた。

 さりとて平野もスーパーマンではない。秋にはファッション誌(※1)にて多忙な夏を振り返り「このまま逃げちゃおうかな」と、実際に運転席に座ったこともあると明かしていた。しかし、その多忙ぶりを心配こそすれ、“あの”平野がそこまで追い詰められていると、メディアやライブを通じて感じとった者は少ないのではないだろうか。実際に筆者自身、彼が多忙であったまさにその時期、何度か顔を合わせたが、あの通りのカラッとした青年だった。

 人前に姿を見せる以上は「平野紫耀」であり続ける。平野を平野たらしめているのはプロとしての矜持だ。時代錯誤と言われるかもしれないが、そうしたタフさや根性も、アイドルに必要な資質。それを本能で分かっている平野だからこそ、どんなときもステージに立つ。最近では、風格が出てきたようにさえ感じる。

 平野はかねてから、ライブの最後に時折、ファンに対し「死ぬなよ」と声をかける。「ありがとう」「また会おうね」といった言葉と同じようにサラっと言うのだが、印象深い言葉だ。連続ドキュメンタリー『RIDE ON TIME』(フジテレビ系)にて平野自身もそのことに触れていたが、自身のさまざまな経験から「関わった人はなるべく死なないでもらいたい」との思いがあると、寂しそうに笑っていた表情が記憶に残っている。

 あまりにもストレートな言葉だが、この言葉を守ることが生きる理由となっているファンもいるだろう。ファンのことをも「関わった人」とするシンプルな愛情、多くの人の生きる理由となり続けるアイドルとしての力、いずれをも兼ね備えた平野は強く、優しい人だと思う。本当は我々がもたれかかれるほど、スーパーマンではないかもしれないが。

※1:『with』2021年10月28日発売号

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