BREIMEN、初の恵比寿リキッドルームで見せた“音楽で遊び続ける”スタンス

BREIMENの“音楽で遊び続ける”スタンス

BREIMEN

 前半に輪をかけてカロリー高めの演奏の走り出しが、ヴァースとサビの落差が大きい「ナイトクルージング」で始まり、「PINK」の後半では全ての楽器の音がマックスに振り切る大きさで、エンディングに胸のすく思いがした。サトウのクランチなギターがラウドロックばりの圧を作り出し、それでいてコード感はジャズ・フュージョンという、頭で考えればシュールな「脱げぱんつ」、遅いBPMだからこそねっとりしたグルーヴが醸成される「色眼鏡」では歌詞の内容に関係なく、そのうねりが官能的に。カオティックなサトウのソロも拍車をかけていた。サビの16ビートの裏の譜割りを歌とベースで奏でるセンスにはもはや白旗を上げるしかない。「A・T・M」でのいけだの歌唱部分では彼がグリーンのスポットに照らされ、エイリアンっぽく映ったのは筆者だけじゃないだろう。盛り上がるブロックを最後に持ってくるでもなく、その後、フロントの3人が座ってゆるい会話に突入するのもこのバンドの美学の一つかもしれない。

 続くブロックはソウルネス溢れるスイートなナンバーが続く。「Lie on the night」の切なさ、プリズマイザーを通したホーリーなボーカルで始まる「noise」では歌心のある演奏が明快に。高木のイノセントな歌が際立つ「You were my muse」。温もりのあるギターの音色が愛嬌と叙情を併せ持つ「Hip me」の歌と溶け合う。ラブソングで表出する高木のパーソナリティもまた見逃せないところだ。

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 スタイリストがメンバーをイメージして衣装を調達してくれたと高木が話していたが、例えばサトウは忍者風、林は文豪風、いけだは未知の生き物扱いで、「凍結カプセルから生まれて、産声も“だーいけ、だーいけ”」と、高木とサトウにいじられていた。なぜこの5人が同じバンドメンバーなんだろう? と訝しいほどバラバラなキャラクター。音楽的な背景もそれぞれ。だからこそ彼らは音楽で遊び続けられるのだろう。

 前身バンドだった頃のことも思い出しながら、これまでバンドに関わってくれたあらゆる人々、飼い犬や飼い猫にも感謝しつつ、落としどころを見つけかねていた高木。「あんたがたどこさ」の配信リリースの発表も「あ、その話もあった」ぐらいのテンションで、その流れとは関係なく「赤裸々」を演奏。さらに言葉を探していたが、「俺ら、ずっと遊んでるんだよ。石橋を叩き割りながら」と、根っからの資質とより広い場所にリーチしたい並行するマインドセットを述べ、ラストに「Play time isn’t over」を演奏したのはハマりすぎじゃないか。“1曲にいったいいくつジャンルが混入してるんだ?”と心の中で笑いながら振り回されるこの曲を聴きながら、この日、BREIMENは続くストーリーの終わりの始まりを刻んだと確信した。ファンクにフュージョン、ラウドロック、クラシックの融合も、体感するまで謎なのだが、新曲では童謡までモチーフにし始めた5人のポストジャンル感は突き抜けている。“Don’t Think, Feel”、いま、そんな気持ちで飛び込める音楽の筆頭にBREIMENはいる。

BREIMEN

■配信チケット詳細
BREIMEN ONEMAN LIVE
ANTAGATADOKOSA
アーカイブ〜2022年1月21日(金)23時59分
視聴チケット価格:¥2,000〜
https://eplus.jp/sf/detail/3400550003

■リリース情報
2022年1月26日(水) Release
BREIMEN Digital Single
「あんたがたどこさ」
https://ssm.lnk.to/Antgtdks
 
MV Teaser
https://youtu.be/Aez-JLyeFPs

■ライブ情報
スペースシャワー列伝 第147巻
~幽玄(ゆうげん)の宴~
2022年1月28日(金)@ Shibuya eggman

<出演>
Ochunism
chilldspot
BREIMEN

チケット詳細
https://eplus.jp/sf/detail/0142620001

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