I Don’t Like Mondays.が『ワンピース』主題歌で到達した新境地 ルフィから学んだ国民的作品に立ち向かう姿勢

アイドラ『ワンピース』主題歌インタビュー

 I Don’t Like Mondays.が国民的TVアニメ『ONE PIECE』の主題歌としてニューシングル「PAINT」を書き下ろした。主人公 モンキー・D・ルフィをはじめとする物語の登場人物たちの勇敢な心と共鳴するような、疾走感のあるロックな曲調と未来を真っすぐ見つめた歌詞を大展開。それは常にイメージを塗り変えるべくメンバー4人で話し合いを重ね、ともに曲を作り続ける、一蓮托生のバンドが辿り着いた新たな境地と言っていいだろう。

 海外のポップミュージックのトレンドや普遍性を突き詰めることに軸足を置き進化してきた10年代中期から後期。そこから赤裸々かつシニカルな日本語詞が印象的な「モンスター」や「MR.CLEVER」を皮切りに、J-POPを直接的なリファレンスにした前シングル「美しき世界」に至るまでの“日本”に立っていることを強く意識したようなスタイルから今回までの流れ。そこにあった彼らの想いや心境の変化に迫る。(TAISHI IWAMI)

過去に持っていたJ-POPに対する概念はもう壊れている

ーーまずは昨今のI Don’t Like Mondays.について話を聞かせてください。2019年11月のシングル「gift」から、2021年6月の「馬鹿」までに合計12曲のシングルを配信し、8月にそれらの曲と新曲を合わせたアルバム『Black Humor』をリリースされました。一連の流れを振り返って、どのようなことを思いますか?

YU:『Black Humor』は新しいI Don’t Like Mondays.のスタイルを確立できた作品だと思います。その大きな起点になったのが2020年の9月にリリースした「MR.CLEVER」でした。それまでは僕らのルーツである海外のポップミュージックやダンスミュージックなどを地盤に、日本のマーケットに受け入れられるものを作ることに力を注いでいたんですけど、その姿勢がある意味逆転したというか。J-POPというものと真っすぐ向き合う方向性に、シフトしていきました。

ーー確かに、「MR.CLEVER」はこれまでのI Don’t Like Mondaysにはない、ストレートで飾らない日本語詞が印象的でした。なぜ方向性がシフトしていったのでしょうか。

KENJI:やはりコロナの影響が大きくて。もちろんパンデミックは世界的な事態ですが、僕らはそれによって引き起こされた日本の音楽業界、ならびにさまざまな決してポジティブとは言えない現実とダイレクトに向き合わざるを得なくなった。そこであらためて、僕らは日本で活動しているバンドなのだと、強く実感したんです。

YU:そして前よりもJ-POPをよく聴くようになり、国内のヒットチャートをチェックするようになりました。

ーーみなさんの目に現在のJ-POPはどのように映ったのですか?

YU:僕らが過去に持っていたJ-POPに対する概念はもう壊れているような気がします。バンドやアーティストのスタンスも音楽性も、ほんとうに多種多様でジャンルの垣根もなくなってきている。海外的な要素を色濃く取り入れた作品もたくさんあって、すごく刺激をもらいました。じゃあ、僕らはJ-POPに対してどのようなアプローチができるのか。毎回四苦八苦しながらトライ&エラーを繰り返していたので、最初の頃はけっこうしんどかったんですけど、それも含めてすごく楽しくて充実した日々でした。

ーーその結果、生み出されたアルバム『Black Humor』の反響はどうですか?

SHUKI:コロナという必然的に変化せざるを得ない時期に作ったアルバム。その結果、音楽的にはYUの言うように、J-POPを意識し始めるようになりました。それと同時にメンタル的な変化も作風に表れていて。ライブを想定して作っていたこれまでの作品を比べると、ライブがいつ再開できるかわからない状態で抱えていた悩みや、一人で自分自身と向き合う時間が増えた状況を描き出した要素が強い。だから2021年に入って、ライブを再開することにした当初は、多少不安もありました。

ーーどこが不安だったのですか?

SHUKI:僕らとしては自分たちの現在地を示したい。でもオーディエンスはもしかしたら昔の曲で盛り上がりたいと思っているかもしれない。でも蓋を開けてみたら、ツアーだけでなく対バンイベントでも、今の曲に対する反響が良くて。曲単位だと特に対バンイベントで演奏した「ミレニアルズ 〜just I thought〜」が印象的でした。今まで作ってこなかったレベルの内省的な曲でも、短い時間でI Don’t Like Mondays.をプレゼンしなければならない場でトライしてみていい反応を得られたことは、自信に繋がりましたね。そう考えると、不謹慎かもしれませんが、バンドにとってはコロナが必ずしも悪いことではなかった。

CHOJI:J-POPの要素を今までよりも意識的に入れてみたり、YUの書く歌詞の内容が変わったりしたことで、今は表現の幅がどんどん広がっている感触が楽しいんです。今までだったらやれなかった、やろうとしてもできなかったことが、できるようになった。そこにはコロナという外的要因によってポテンシャルが引き出された部分も少なからずある。いろいろ大変でしたけど、新たな可能性が見えたという意味では、いい1年でした。

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