SixTONESやØMIなど手がける音楽クリエイターJoe Ogawa×Toru Ishikawa 異色のルーツが生み出す制作スタンスとシーンへの目線

Joe Ogawa×Toru Ishikawaの制作スタンス

アジアの音楽シーンはこれからさらに大きくなる

ーー「UNDER THE MOONLIGHT」は、2019年に行われた台湾公演(『HIROOMI TOSAKA 台北演唱會 2019 SUPERMOON~UNDER THE MOONLIGHT~』)のタイトルにもなりました。

Toru Ishikawa:台湾に住んでいたこともあるので、嬉しかったですね。ツアー告知の動画を観たときに「やべえ!」ってテンション上がりました(笑)。

ーーJoeさん、ToruさんはSixTONESの「S.I.X」でも共作しています。

Joe Ogawa: SixTONESのスタッフサイドから「LIVEでクラップでお客さんと一体化できる曲。LIVEでの煽りのセリフをそのままリリックにしたようなラップ曲」という依頼があって。それを基にトラックの土台を制作し、Toruくんに来てもらったんです。その場でトップラインとリリックを書いてくれました。

Toru Ishikawa:Joeさんのトラック自体、かなりヒップホップ色が強くて。好きなジャンルだったし。

Joe Ogawa:しかも三連符のビートだったから、得意な感じだよね。

ーーかなり攻めたヒップホップチューンですよね。

Joe Ogawa:ジャニーズのファンの方が聴いても楽しめて、ハコ鳴りというか、会場の盛り上がりもイメージして。

Toru Ishikawa:SixTONESのメンバーはラップも上手いですね。特に田中樹さんは自分でラップも作るし、すごくスキルがあるなと思いました。他のメンバーもそうですけど、歌わされてる感が全然なくて、歌を自分たちのモノにしているなと。

Joe Ogawa:ファンのみなさんからも「ありがとうございます」みたいなコメントをたくさんいただいて。自分たちの音楽がアーティストを通して世に出て、いろんな人に影響を与えて。この仕事をやっていて良かったと思う瞬間でしたね。

Toru Ishikawa:リスナーの方に「カッコいい曲」と言ってもらえるだけで本当に嬉しいので。個人的にもジャニーズのアーティストの曲をやりたいと思ってたんですよ。近年のジャニーズのアーティストはキラキラしたJ-POPだけではなくて、洋楽的なテイストに振り切った曲もあるので、「自分にもチャンスがあるんじゃないか」と思ってたんですよ、じつは。特にKing & Princeの「Magic Touch」はカッコ良くて、MVを観たときに「ついにここまできたか!」と。メルビン・ティムティムの振り付けもすごくいいいなと。

SixTONES "1ST" digeST movie  [S.I.X.は3:11~]

ーー実際Toruさんは、King & Princeに「NANANA」を提供していて。あの曲もゴリゴリのヒップホップですよね。

Toru Ishikawa:そうなんです。コンペだったんですけど、先方が求めている楽曲がまさにそういうテイストで。しっかり狙って作れたし、採用されたときは「よっしゃ!」という感じでした(笑)。

ーーアーティストの求めているものをしっかり汲み取って作った楽曲なんですね。Joeさんもやはり、シーンやアーティストの動向をチェックしてるんですか?

Joe Ogawa:チェックしつつ、それに沿わないような曲を作ることが多いですね。ヒネくれてるのかもしれないけど(笑)、「このアーティストがこういう曲をやったらカッコいいんじゃないか」と提案させてもらう感覚もあるんですよ。そこで上手くいけば両方にとっていい結果になるし、違ったとしても「合わなかった」というだけなので。

ーーJoeさんが参加した三代目 J SOUL BROTHERSの「FIRE」の場合はどうだったんですか?

Joe Ogawa:もともとはSTYさんが制作していたんですけど、「トラック作ってみない?」と連絡をいただいて。LDHさんのアーティストと仕事をするのはそのときが初めてだったんですけど、時期的にいろんなジャンルが入り乱れていて、何が新しくて、何が古いのかわからない状況だったので、テイストをどう絞るかを考えていましたね。本人たちの歌とダンスをシンプルに際立たせたかったし、やっぱりライブも思い描いてました。振り付けもメンバーがやっているし、ダンスが付けやすい、ライブの流れのなかでイメージしやすい曲がいいのかなと。

ーーToruさんもLDHのアーティストに楽曲を提供していて。「Lonely」(GENERATIONS from EXILE TRIBE)はメロウなミディアムチューン。白濱亜嵐さん、SLAY HIROKIさんとの共作ですね。

Toru Ishikawa:はい。SLAY HIROKIはLDHの作家なんですが、古くからの友人で。白濱さんと制作するときに、僕に声をかけてくれたんです。白濱さんはトラックの作り方も上手くて、いい流れのなかで作れましたね。

GENERATIONS from EXILE TRIBE / Lonely (Lyric Video)

ーーさきほど名前が挙がったw-inds.の慶太さんもそうですが、クリエイターとしての資質を備えたアーティストも増えてますね。

Joe Ogawa:そうですね。慶太さんはほんとうにすごくて、やりたいことが明確だし、デモ音源に対するリアクションも具体的なんですよ。「これはOK、これはできない」というラインもハッキリしているので、こちらとしても「じゃあ、こうしよう」と対応しやすくて。

Toru Ishikawa:ØMIさんもSUNNY BOYさんやUTAさんと一緒に作業してますよね。

ーーToruさんもØMIさんに「Nobody Knows」を提供してますね。

Toru Ishikawa:「UNDER THE MOONLIGHT」のあとですね。「Nobody Knows」はコンペだったんですけど、ØMIさんが歌うところをイメージして、しっかりフォーカスを絞って作れたのかなと。採用されたときはすごく嬉しかったです。

ーーそしてJoeさんは、iScreamの「Scream Out」など、女性アーティストの楽曲も手掛けています。

Joe Ogawa:自分のなかでは男性アーティスト、女性アーティストの壁はないし、ジャンルにもこだわってないんですよね。ダンスミュージックがメインですけど、ピアノ1本で歌えるバラードなども作っているので。

ーーお二人は海外のクリエイターとのセッションも経験してますよね。

Toru Ishikawa:2019年くらいまではかなりやってました。ただ、コロナ禍になってからはオンラインでやるようになって。

Joe Ogawa:海外のクリエイターとのセッションに関しては、実際に会ったほうがいいんですよ。オンラインだとノリでやれないというか。

Toru Ishikawa:めっちゃわかります。時差もあるし、オンラインはやりづらいですね。

Joe Ogawa:初対面だと特にそうだよね。もちろん海外のクリエイターとのセッションは今後もやっていきたし、海外アーティストへの楽曲提供にもトライしたいと思ってます。

Toru Ishikawa:僕は中国、台湾などのアジア圏を狙いたいですね。中国に関して言えば、ヒップホップのレベルがかなり上がっていて。ヒップホップ系のオーディション番組で発掘されたラッパーが、あっという間に億万長者になったり(笑)。

Joe Ogawa:ヤバイね。

Toru Ishikawa:経済的に豊かな人が増えて、子どもたちを海外に出すことが増えて。海外で音楽に触れた世代が、中国でアーティスト活動をはじめるケースが増えてるみたいなんですよね。88rising所属のHigher Brothersがアメリカでバズったことも大きかったんじゃないかな。アジアの音楽シーンはこれからさらに大きくなるでしょうし、我々にもチャンスはあると思ってますね。

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■Joe Ogawa
Joe Ogawa SMP オフィシャルサイト
https://smpj.jp/songwriters/joeogawa/

Joe Ogawa Instagram
https://www.instagram.com/joeogawa_music/

■Toru Ishikawa
Toru Ishikawa SMP オフィシャルサイト
https://smpj.jp/songwriters/toruishikawa/

Toru Ishikawa Instagram
https://www.instagram.com/toru.ishikawa_/

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