クリープハイプ、KANA-BOON、Base Ball Bear……フェスブームの先、新境地に立つバンドたち

 フェスブームを語る上でBase Ball Bearは不可欠だろう。2000年代半ばから高速四つ打ちを導入。夏を題材としたアッパーな楽曲をリリースしてシーンで名を馳せていったメジャーデビュー初期。意識的に夏フェス攻勢を取った最初のギターロックバンドだろう。

Base Ball Bear - ELECTRIC SUMMER

 ただし彼らは同じ場所には留まらない。J-POP由来の編曲を学び、セルフプロデュースによる実験を経て、2011年の4thアルバム『新呼吸』でギターアレンジの到達点を突破。そしてその後、ロックフェスが夏の風物詩として定着しつつあった2014年頃からリズムワークに重きを置く。その集大成として2015年には6thアルバム『C2』を完成させ、冷静な目線で当時のフェスブームに音楽で批評を投げかけた。このブラックミュージックに根差したグルーヴはその後に起こるSuchmosのムーブメントやKing Gnuの大躍進を予兆していたかのよう。Base Ball Bearは高速四つ打ちの先駆者であり、横ノリのパイオニアでもあったと言える。

Base Ball Bear - 「それって、for 誰?」part.1

 しかし2016年に3ピースバンドになって以降、スピーディでアッパーなロックナンバーへと回帰する側面も再び見せ始めた。「SYUUU」のリリース時に、「テンポの速い四つ打ち最高!」と小出祐介(Vo/Gt)が述べていたことが印象深い(※1)。最新作『DIARY KEY』はかつてないほどに多彩なジャンルがひしめき合う充実作となった。常に今に目を向けつつ、何を仕掛けるのが楽しいのかを見抜く。そんな制作を繰り返し続けるBase Ball Bearは常に半歩先を進み続けるのだ。

Base Ball Bear - SYUUU

 フェスブームは様々な影響をシーンにもたらした。2020、2021年と例年のようにフェスが開催されなかったこともまた思いがけず影響があったのではないだろうか。2022年はどんな流れを生み、その先に何が待つのかを楽しみに待ちたい。

※1:『69号室の住人』(TOKYO MX)2021年3月27日放送より

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