新しい地図の“余裕”を感じた7.2時間 新テーマ曲も披露した『ななにー』元旦SP
ついに2022年が幕を開けた。稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾によるレギュラー番組『7.2 新しい別の窓』(ABEMA、※以下『ななにー』)の元日放送も今年で4回目。振り返れば、『ななにー』の元日放送は、どこかその年に漂う空気のようなものを感じさせるものがあった。
平成から令和へと大きな節目のタイミングに、映画『クソ野郎と美しき世界』のワンシーンを再現し、“クソ”なこともありのままに受け入れながら前進していくパワーを届けてくれた2019年。
今田耕司との『ホンネトーク』で「(なかなか共演できなかったことについて)何かそういうからくりがあったの?」とのヒリヒリする切り込みに香取が「あったんじゃないですか?」とサラリと答え、目に見えないしがらみのようなものから少しずつ脱却する流れを感じさせた2020年。
そして、かつてSMAPとして共に活動したオートレーサー・森且行選手との再会。さらにロンドンブーツ1号2号・田村淳を通じて中居正広の話も飛び出し、なかなか会えない人ともつながり続けられること、いつかまた再会できる日を楽しみに待つという温かさを教えてもらった2021年。
では、2022年の元日放送はというと、例年以上に肩の力が抜け、より自然体な3人の姿が印象的だった。それは、新しい地図を広げた直後に放送された『72時間ホンネテレビ』(ABEMA)以来の出演となった堺正章から「安定した顔をしてらっしゃる。あのとき必死だった。今は非常に余裕ができて落ち着いてる」という言葉が出てきたことからも伝わってくるほど。
この数年、社会全体が“これまで通り”にはいかなくなった。それは、すでに大きな変化を選択していた3人にとっては、未知の体験ではなかったのかもしれない。歌って踊るだけではないアイドルの形を確立した彼らのことを“開拓者”と呼びたくなるが、そのスタイルはこの社会の混乱を前に、自分らしい道を切り開いていくという姿勢でもまた通じるものがあった。今回の放送でも、彼らがどのようなスタンスで混乱を乗り越え、安定を手に入れつつあるのかを知るヒントが散りばめられていたように思う。
まずは、“続けることの大切さ”だ。香取と同学年の親友でもある観月ありさがゲストで登場。観月が30年連続での主演ドラマ出演記録を諦めかけたとき、「ダメだ!」と背中を押したのが香取だったと明かされる。これは、どのような歩みであっても進み続けることが、未開の地を切り開く力になるのだと知っているからこそ出た言葉だったのではないだろうか。
続いて、“愛情には全力で応える”という心持ち。スケートボードの四十住さくら選手は練習に熱中するあまりテレビを見てこなかったというが、それでも3人の存在はスターとしてしっかり認識していた。そんな四十住選手が3人にサインを求めると快く了承。それどころか、大切なスケートボードに「(サインして)いいの?」という謙虚さまで見せていた。
また、オズワルド、ランジャタイ、ゆめちゃん、錦鯉ら注目のお笑い芸人たちが集合した『ななにーハマりたい-1 GP』のコーナーでは、ヨネダ2000・愛が長年の香取ファンであることを告白。直接会えることに感激して涙を流す場面もあった。そんな愛の反応に嬉しそうに肩を抱き、一緒に写真を撮る香取の姿はまさにPBI(パーフェクトビジネスアイドル)だ。
もちろん、そんなスターらしい“もってる”部分もある。堺正章とのテーブルクロス引きでは草なぎが狙ってもできないギリギリの状態でグラスが耐える奇跡的な流れを見せ、涙が出そうになるほどの初笑いを呼ぶ。その一方、3人のなかで唯一独身となった稲垣が、作家・林真理子から「やばいじゃん」とツッコまれる親戚のような親しみやすさを見せる場面も。
さらに年末に放送されたドラマ『倫敦ノ山本五十六』(NHK総合)の役作りのために丸刈りにした香取は、ウィッグを外して伸びかけの自毛を披露。これからは洋服を着替えるように、そのときの気分で髪型を変化させていくと笑った。求められる姿と自然体の姿、そのどちらにもスイッチできる落ち着きがあればこその宣言だと感じられた。