UVERworld、魂の叫びが生み出す壮大な景色 音と言葉で生き様をぶつけた『TAKUYA∞生誕祭』

 2021年も、UVERworldは数多のステージに立ち、ライブバンドとして駆け抜け続けた。もはや毎年恒例と化しているが、特に年末にかけてのライブスケジュールは非常に過密で、12月20日からは「5日間10公演」という怒涛の日々が始まった。今回は『UVERworld ARENA LIVE 2021~THE DAWN WILL BREAK~』 の3日目、TAKUYA∞(Vo/Pro)の生誕祭を兼ねた12月21日夜公演の模様をレポートする。

 まず前提として、UVERworldのツアーはそれぞれの公演ごとにセットリストが大きく異なる傾向が強く、たとえ同じ日のライブであったとしても、昼と夜では内容がガラッと異なることも多い(そしてそれは、バンドにとって非常にタフな旅路となることは言うまでもない)。今回の公演のセットリストを組んだのは、この日に誕生日を迎えたTAKUYA∞であった。「EMPTY96」(2007年発表の2ndアルバム『BUGRIGHT』収録曲)や「ハイ!問題作」(2010年発表の5thアルバム『LAST』収録曲)といった懐かしのナンバーや、前作アルバム『UNSER』で打ち立てたミクスチャーロック「stay on」「ODD FUTURE」「Making it Drive」など、これまでのバンド史を語る上で欠かせないナンバーが次々と披露されていく。

TAKUYA∞

 そして、この年末の一連の公演において一つ共通しているのは、12月22日にリリースされた最新アルバム『30』の新曲たちが次々と披露されたことだ。前半戦のハイライトを担ったのは、11月にシングルとしてリリースされた「AVALANCHE」である。まず、オートチューンによる多重ボーカルが描き出す壮大な音の風景に圧倒される。一つひとつのデジタルサウンドは極限まで洗練されていて、そして中盤から合流する熱いバンドサウンドがさらに胸を打つ。今回のツアータイトルとして掲げられている『~THE DAWN WILL BREAK~』は、この曲の歌詞の一節であり、同じく何度も繰り返される〈Creating new world〉というフレーズは、まさに音楽を通して「新しい世界の創造」に挑み続けるUVERworldの生き様そのものだ。MCでTAKUYA∞は、同曲を「大切な曲」として紹介しており、現在のUVERworldを象徴する一曲として堂々と轟いていた。一方で、ライブ後半戦で披露された「THUG LIFE」「えくぼ」「OUR ALWAYS」といった『30』収録曲は、シンプルに研ぎ澄まされたバンドアレンジが印象的で、それゆえに鋭く刺さり、深く胸に響いた。

 終盤戦、「NO.1」「Touch off」「IMPACT」という怒涛の3連打の後に披露されたのは、このコロナ禍において生まれた新たなライブアンセム「EN」だ。歌でもラップでもポエトリーリーディングでもない。一人ひとりの観客と魂を直接ぶつけ合うような熾烈な絶唱に乗せて届けられるのは、まるでパンチラインだけを繋ぎ合わせたような魂のリリックだ。その中でも特に、ラストの〈俺達にとって音楽はビジネスなんかじゃねぇ!/これが人生の全て!/見つけろ!/お前にとっての「全て」〉という叫びには、強く心を動かされた。この曲に触れるたびに、やはりUVERworldは「言葉」のバンドであることを再確認する。そして、その真っ直ぐな「言葉」たちを、いつだって真正面から堂々と受け止められる自分でありたいという思いが込み上げてくる。UVERworldのライブに参加することは、TAKUYA∞が紡ぐ「言葉」を通して自分の生き様を見つめ直すことと同義で、だからこそ生じる緊張感とその先の連帯感を、僕はこの日も強く感じた。

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