宇多田ヒカル「君に夢中」バイラルチャート急上昇 非凡なボーカルセンスで描き出す、メロディラインの斬新さ
参照:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest
Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(12月23日公開:12月16日~12月22日集計分)のTOP10は以下の通り。
1位:JO1「僕らの季節」
2位:音莉飴「陽キャJKに憧れる陰キャJKの歌」
3位:GAYLE「abcdefu」
4位:VALORANT, Grabbitz「Die For You」
5位:宇多田ヒカル「君に夢中」
6位:ユナ(CV:神田沙也加)「Ubiquitous dB」
7位:Emmy Meli「I AM WOMAN」
8位:Sayaka「ever since」
9位:The Pogues「Fairytale of New York (feat. Kirsty MacColl)」
10位:音楽的同位体 可不(KAFU)「フォニイ」
今週は5位にランクインしている宇多田ヒカル「君に夢中」をピックアップする。
宇多田ヒカルの凄さ、その筆頭に挙げられるのは、メロディメイカー&ボーカリストとしての天賦の才能だろう。彼女が描く、ピュアで切なくロマンティックなメロディには、独特な起伏がある。もしメロディラインというものを線で描いたとしたら、宇多田ヒカルにしか見えない線を描いているような印象。彼女のメロディには、それほど独特なタッチがある。さらにはバックトラックの繊細な音選び、サビらしいサビが一聴してはわからない楽曲構成の大胆さ、細部まで“響き”にこだわりを感じさせるバックトラックとボーカルのバランス、歌詞の中での日本語と英語の配置の面白さなど、 “宇多田ヒカルらしさ”を並べたら本当にきりがない。最初の一音から曲が終わった後の余韻までーーこのすべてが宇多田ヒカルらしいのが、彼女の音楽家としての底力だ。
しかしながら、昨今の宇多田ヒカルの凄さは他にもある。それは、自身のサウンドのアップデートの速さだ。デビュー以降、その時代ごとのワールドトレンドを自然に取り入れてきた宇多田ヒカルだが、2016年の活動再開以降のアップデートの速さには驚きを隠せない。このアップデート具合が非常によくわかるのが、彼女が2021年にデジタルリリースしたシングル曲「One Last Kiss」「PINK BLOOD」「君に夢中」の3曲である。どの曲もクラブライクなエレクトリックビートをメインにしたトラックながら、その音圧を抑え、歌が前面に出ている。