木村拓哉、平井 大とのトークで終始驚きっぱなし? ラジオから聞こえた2人の異なるスタンス

 かねてよりサーフカルチャーに、大きく影響を受けたと語ってきた木村。この番組のタイトル『Flow』にも通じる、人生に押し寄せる様々な波に対してどう“Flow”していくのかというのが、木村の中に揺らがないポリシーとして窺える。

 だが裏を返せば、そうした人生観が深く刺さったということは、きっと本来の部分はどっしりと根を張ってあらゆる波を真正面から受け止める生真面目なタイプなのではないか。つまり「我慢はできない」「好きなことをやってるだけ」と無意識に漂うスタイルの平井に対して、そうありたいと願って意識的に取り組んでいる木村は、ある種正反対の性分。だからこそ、そんな平井のスタンスが木村にとっては興味深く、リスペクトする人として引っかかってきたのかもしれない。

 一方で、平井から見た木村はどうなのか。その答えが木村の“柔らかい部分”を引き出したいと書いた「Beautiful Things」に繋がってくる。「大切な人ができたりとか、家族が増えたりとかしたときに、“失う恐怖”ってすごいあると思うんですよね。愛が大きければ大きいだけ。そこの“失う恐怖”みたいな部分に怯えながらも、日々の生活を大切に過ごしているという。なんかそういう男がカッコいいなぁと思って。多分、拓哉さんはそうなんじゃないかと思ってたんですよ」。

 テレビや映画で披露される“スーパースター・木村拓哉”がカッコいいのはもちろんのこと、愛する海、大切な人、これまで築き上げてきたモノ……それらを守りたいと願う1人の“男・木村拓哉”の生き様そのものがカッコいいのだ、と。そこに滲む、人として当たり前にある弱さや怖さまでも生きていればこそあるもの。そのいずれも包み隠すことのないまっすぐさ、いや、もはや隠すことが難しいほどに関心を持たれてきた木村拓哉という人だからこそ、その美しさを歌に昇華してくれるだろうと期待を込めて作られたのだろう。

 そんな平井の期待に対して、木村も「すごいしっくり来るんですよ」「歌詞の内容だったり、音楽性もそうかもしれないけど、音源化するときに自分にないものを無理やり表現しようとすると、それってウソになっちゃうから。これはなかったですね、一切」と、自分を表現する一つの楽曲として、すんなり受け入れることができたことを語っていた。

 木村の根底にある生き様の部分にスポットを当てて歌を作った平井が、今後の目標として「お父さんになりたい」と語ったのも興味深いところだった。その言葉に対し、木村の「いい目標だと思うし、なんだろうな、でもそれって“挑戦“っていう風に捉えたことなかったなぁ」「授かるものだから」というリアクションもまた、2人の異なるスタンスが見えて面白い。

 “どうFlowしていこうかと受け入れる波”と“その先に何が見えるのか挑みたい波”。一見すると真反対のようだが、実は海が繋がっているように、生き様の“カッコよさ”は共鳴するものがある木村と平井。一つひとつの幸せを丁寧に拾い上げ、大きな波に打ちひしがれず、弱さも受け入れながらしなやかに生きていくこと。「Beautiful Things」は、この混乱の多い時代に、聴く人が人生の波を柔らかに乗ることをアシストしてくれる楽曲でありながら、現在進行系で生き様を見せ続ける“木村拓哉”を語る1曲となりそうだ。

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