平井 大、「MIRROR MIRROR」など数々のロングヒットはなぜ生まれる? 若い世代に新鮮に響く“無防備さ”を持った音楽性
昨年、2週間に1度の連続配信に続き、今年は“Sunday Goods”をテーマに3週間に1度のペースで日曜日に新曲を配信リリース、さらに7月11日からはそのペースを早め1週間に1度、7週連続で新曲をリリースした平井 大。この夏、“Sunday Goods”シリーズにてリリースされた「Buddy」や「MIRROR MIRROR」などが話題になっているが、どの曲もSNSや配信プラットフォームを通じて若い世代を中心に性別問わずロングヒットを続けている。同コラムでは、平井 大の楽曲がなぜバイラル上で聴かれ続け、若い世代に広がっているのかを考察する。
“Sunday Goods”という企画を始めるにあたって、「ボクにとって2020年は、大切なものを再確認できる一年だった。何かと障害の多い世の中になったことは間違いないが、その分本質的な“喜び”や“幸せ”にココロが自然とフォーカスするようになったのだろう。人と人とが距離を置くことによって、ボクらのココロの距離はグッと縮まったと信じたい。(中略)今年は3週に1度の日曜日に新曲をリリースし、その日を“Sunday Goods”と名付け、ボクのオンガクと共に、“喜び”や“幸せ”に溢れたひとときを皆様へプレゼントしようと思う」とコメント。その言葉通り、“Sunday Goods”が訪れるたび胸に響く楽曲たちが届けられた。
中でも7月25日にリリースされた「MIRROR MIRROR」は、AWA、LINE MUSIC BGMなどの配信プラットフォームや、USEN HIT J-POPランキングでも軒並みチャート1位を獲得したほか、TikTokでは同曲を使った投稿が1万件を超えているそうだ。また、リリースに先立って7月21日に行われた平井によるTikTokライブは、最大同時接続数2万人超えという驚異的な記録を達成。この配信ライブでは「MIRROR MIRROR」も初披露され、その後のロングヒットへと繋がるような反響が多数寄せられた。
また「MIRROR MIRROR」はSNS総フォロワー数約300万人を誇るティーンのカリスマ“まやりん”こと重川茉弥のドキュメンタリー番組『普通の女子高生だったはずの私が 16才でママになって知ったことは、』(ABEMA)の主題歌としても話題を集め、YouTubeにアップされている同曲のリリックビデオの総再生回数は、現時点で400万回を超える。
「MIRROR MIRROR」は、あなたがどんな困難に押しつぶされそうになっても僕が必ず守るといった、平井らしい飾らず真っ直ぐな優しさが胸を打つミディアムナンバー。平井から向けられる無邪気な笑顔と優しく響く歌声は、何の見返りも求めず、ただそこには温かさがあるだけだ。生まれた時からインターネットがあり、SNSにはびこる悪意にも触れながら育ってきた今の若い世代にとって、ただ優しく語りかけ、ギュッと抱きしめてくれるような平井の歌声には、信じる価値があるのだろう。
5月に配信された連続配信第4弾「Buddy」は、ストリーミングでの総再生回数5000万回、関連動画を含む総再生回数は1億5000万回を記録している。同曲は、目の前の大切なパートナー=Buddyとの愛に溢れた日常を切り取ったハートウォーミングな楽曲で、ストレートに“LOVE”を歌ったもの。アコースティックギターと打ち込みのビートをメインにしたミディアムのサウンドは、実にチルアウトなムードを醸し出している。歌詞に〈猫〉や〈犬〉が出てくる場面では実際に鳴き声がしたり、〈こっちを向いて〉というフレーズの後にはカメラのシャッター音が鳴るなど、楽しい音のアイデアも満載だ。またリリックビデオの映像は、スマホの縦型画面を意識した作りとなっており、手を繋いだ様々な“Buddy”を映していて、実に心が温まる。
さらに、2月10日にリリースされたデジタルアルバム『Life Goes On』からの先行配信曲「題名のない今日」は、リリックビデオの再生回数が1300万回を超えているほか、ストリーミング上での総再生数も7500万回以上、関連動画の総再生数は1億6000万回以上を記録しているという。「題名のない今日」は2020年最初の緊急事態宣言において、誰もが感じた“なにげない日常”や“ありふれた今日”が、いかに大切だったかにスポットを当て、どんなことがあっても未来を信じて行こうと歌ったポジティブなメッセージソングだ。ゴスペルのように重厚なコーラスが胸を打つ楽曲は、人との声の重なりが美しくも力強く響くところから、人と人との繋がりや絆を感じさせる。リリックビデオでは様々な働く人が映し出され、〈未来のキミがヒーローさ〉と歌われる。コロナ禍という今を必死に生きるすべての人を讃え、癒やし、奮い立たせてくれる同曲は、聴いたもの一人ひとりのテーマソングのような楽曲だ。