乃木坂46 高山一実、感謝と別れを告げたラストライブ ドームでの“リベンジ”も果たした『真夏の全国ツアー2021 FINAL!』

 ライブ中盤では1~4期生が期別曲を次々に披露。まずは4期生が人気曲「I see...」でフレッシュさをアピールする。ここでは最新シングル曲「君に叱られた」でセンターを初経験した賀喜が、堂に入った煽りを見せ、改めてその成長ぶりを感じさせた。一方、グループ加入6年目に入った3期生は「トキトキメキメキ」で、王道アイドルぶりを発揮。来年1月末に卒業予定の新内を含む2期生は「アナスターシャ」で、4人とは思えないほどの存在感の強さを示し、高山以外にも年内に卒業を控えた生田を含む1期生は、6人で初期の楽曲「失いたくないから」をしっとり歌い上げる。続いて、コロナ禍と向き合いながら活動した2年間を紹介する映像を経て、無数のレーザーが飛び交う中、選抜メンバーが「Route 246」を力強くもしなやかにパフォーマンス。「僕は僕を好きになる」ではセンターの山下が美しさや儚さをにじませながら歌い踊るのだが、その姿はもはや“乃木坂46の顔”と呼ぶにふさわしいものだった。先の遠藤や賀喜など、今年に入ってからシングル表題曲でセンターを経験した3~4期生が着実に成長・進化し、グループの次の10年を牽引していく存在になりつつあることが、この東京ドーム公演からもしっかり伝わったのではないだろうか。だからこそ、続く代表曲「インフルエンサー」で与田や山下がダブルセンターを務める新編成には、“乃木坂46の未来”が詰まっているのではないかと筆者は感じた。

 2011年の1期生オーディションから現在までを振り返る映像を経て、ライブも後半戦に。乃木坂46の10年の歴史を前に梅澤、賀喜、与田、遠藤、山下といった3~4期生が、先輩への感謝の言葉とこの歴史を守り続ける決意を口にする。すると、キャプテンの秋元は「10年という月日が経ち、乃木坂46が変化の時を迎えています。新しい歴史を作るのは、ここにいる新しい後輩たちです」と告げ、そのまま「きっかけ」に突入。冒頭で「努力、感謝、笑顔、うちらは乃木坂上り坂46!」と円陣時の掛け声が会場に響くと、メンバー全員が1人ずつソロ歌唱で「きっかけ」を歌い継いでいく。その演出はグループの基盤を作った1期生や2期生が後輩たちに未来を託しつつ、ここから一緒に新たな乃木坂46を創り上げていこうとする強い意志が伝わるものだった。

 

 ハンドクラップで会場の一体感がピークに達した「Sing Out!」を終えると、「夏のFree & Easy」「ガールズルール」「君に叱られた」でクライマックスへ。「ガールズルール」では新センターの山下が、オリジナルセンターの白石麻衣にも匹敵する豪快な煽りで場内の熱気をヒートアップさせる。また、乃木坂46結成10周年を祝して制作された「他人のそら似」では、気球の垂れ幕を通じてメンバーからファンへ感謝の言葉が贈られるというサプライズも。

「憧れのアイドルになれたあの日 理想を追い求め、坂道を登り続けた」
「がむしゃらに走ったその先に とても素敵なステージが待っていた」
「生まれてはじめて味わった感動 ゴールなどないと知ったあの時も」
「ざらつく不安な心を抱えた時も いつもそばにはみなさんがいてくれた」
「前を向いて歩いていけた 好きになってくれてアリガトウ」

 感動的な空気の中、このメッセージとともにライブ本編は幕を下ろした。ステージを降りる前、秋元は「4年前にここでライブをしたときは、東京ドームの存在の大きさに怖くなってしまうこともあって、終わったあとに必ずリベンジをしたいと思いました」と前置きをして、この2日間でリベンジを果たせたのではないかと吐露。多少の気負いも伝わった4年前とは異なり、今回はトップアイドルとして王者の風格が伝わる最高のステージだったと筆者も実感している。と同時に、この先の未来も間違いなく明るいものになることを証明するようなステージでもあったと付け加えておく。

 アンコールでは、高山の卒業セレモニーとなるステージが用意された。高山の10年間の軌跡を振り返る映像に続いて、淡い水色のドレスを身にまとった高山がセンターステージに登場。卒業ソングとなるソロ曲「私の色」を歌い始めると、客席が彼女のペンライトカラーであるピンクと水色で染め上げられる。また、天井には高山直筆の「ありがとう」の文字が、レーザーで映し出される演出も用意された。

 「上手に歌えませんでしたが、お聴きいただきありがとうございました」と彼女らしいウィットに富んだコメントに続いて、高山は「10年間のアイドル生活も今日で最後です。実は、10年間ずっと悩んでいたことがあります。それは、最後の日に何を語るかです」と改めて口にしてから、メンバーやスタッフ、関係者、友達、家族、ファンへの感謝を順々に伝えていく。ファンからのピンク&水色のプレゼントを前に、彼女は客席をゆっくりと見渡して「最後にこんな素敵な景色を見せてくださって、ありがとうございます。ここにいる皆さん、今(配信を)観てくださっている皆さんは、幸せを作る天才です。そんな天才と過ごせて幸せでした」と感謝を伝え、「今までお世話になった乃木坂46には、最後にきちんとお別れを告げたいと思います。今までありがとう」と、高山を涙ながらに囲むメンバーとともに「サヨナラの意味」を歌唱。続く「偶然を言い訳にして」「君の名は希望」では気球に乗った高山が会場を一周し、ファンに最後の挨拶をしていく。

 ステージに戻った高山に、後輩を代表して山下が選抜メンバーに初めてなった頃の思い出を語りつつ、「ずっと高山さんに笑顔でいてほしいので、私たちも高山さんから学んだことを胸に、乃木坂を守っていきます」と宣言。同期で一緒にいる時間が一番長かった和田まあやは「たくさん笑ったし、ふざけたことばかりして、(それが全部)かけがえのない時間で、一瞬一瞬がすごく大切でした。今まで本当にたくさんお世話になりましたし、これからもいっぱいお世話になると思います」と涙ながらに感謝の言葉を伝えた。そして、最後は高山が「皆さんに今までの人生、たくさん助けていただきました。これから先つらいこと、悲しいこともあると思います。でも一緒に乗り越えていきましょうね。頑張りましょうね」とメッセージを寄せてから、最後に「泣いたっていいじゃないか?」でアイドル人生を締めくくった。

 4年前のリベンジや高山の卒業など、さまざまな意味が含まれた今回の東京ドーム2DAYS公演は、トップアイドル・乃木坂46の到達点ではなく、この先も続いていく活動におけるひとつの通過点でしかない。ライブを見終えた今、筆者はそう強く感じている。それは20日の公演で発表された、2022年5月14・15日の日産スタジアム公演が控えていることも大きいが、まもなくグループに加わる5期生含め、新世代メンバーがここからどんな歴史を築いていくのかが楽しみでならないからだ。この節目を経て、乃木坂46はさらに強く、さらに大きくなる。だからこそ、ここからの活動を一瞬たりとも見逃さないでほしい。

※1:https://realsound.jp/2020/01/post-476822.html

■セットリスト
『乃木坂46 真夏の全国ツアー2021 FINAL!』
2021年11月21日(日)東京ドーム
00. OVERTURE
01. ごめんねFingers crossed
02. ジコチューで行こう!
03. 太陽ノック
04. おいでシャンプー
05. シンクロニシティ
06. ファンタスティック3色パン
07. せっかちなかたつむり
08. 錆びたコンパス
09. ひと夏の長さより…
10. ありがちな恋愛
11. 日常
12. 裸足でSummer
13. 全部 夢のまま
14. I see...
15. トキトキメキメキ
16. アナスターシャ
17. 失いたくないから
18. Route 246
19. 僕は僕を好きになる
20. インフルエンサー
21. きっかけ
22. Sing Out!
23. 夏のFree & Easy
24. ガールズルール
25. 君に叱られた
26. 他人のそら似
<アンコール>
27. 私の色
28. サヨナラの意味
29. 偶然を言い訳にして
30. 君の名は希望
31. 泣いたっていいじゃないか?

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