FIVE NEW OLD、活動10年で築いた日常を彩る音楽 集大成と未来を見せた『5 will give you 10(+1)』レポ
FIVE NEW OLDが10月27日、Zepp DiverCity(TOKYO)にて『5 will give you 10(+1)』を開催した。惜しくも中止となった結成10周年記念ライブ『5 will give you 10』東京公演のリベンジという名目もあり、7月に行われた大阪公演と同じ構成で臨んでも、なんら違和感はないだろう。しかし、彼らはターニングポイントになった曲を巧みに入れこみながら、これからの指針を示す新たなセットリストを展開してきた。大阪公演を“10年間の集大成”とするならば、東京公演は“次のフェーズへ向けて走りだしている証明”。最新アルバム『MUSIC WARDROBE』からの選曲を増やし、今のFIVE NEW OLDを色濃く描いたのだ。
SEを受けてステージに入ってくるやいなや、ギターのリフが冴える「Breathin‘」を披露。ブラックミュージックやゴスペルと向き合い、FiNOらしさを追求したナンバーを1曲目にもってくるのは、自信の表れといってもいいだろう。その熱を閉じこめたまま、ポップパンクバンドの要素を乳化させるきっかけとなった「Hole」へ。出だしの流れから“俺たちが音を鳴らせば、それがFIVE NEW OLDなんだ”と鮮明に謳ってみせた。「Ghost In My Place」が導かれるころには、会場のグルーヴは絶好調。クラップをしたり、手を掲げたり、体を揺らしたりと、各々が好きなように音楽を楽しんでいるオーディエンスの姿が印象的だった。
「“ONE MORE DRIP”を11年分の音楽で届けられたら」とHIROSHI(Vo/Gt)が告げると、メッセージを強く詰めこんだセクションへ突入。FIVE NEW OLDは結成以来、自分らしく自由でいることを歌ってきたバンドである。その姿勢をぶらすことなく、どの時代でもリスナーの日々に寄り添ってきたことを、続く楽曲で誇示してみせた。
「Liberty」で“自分の意志を大切にしよう”と語りかけ、「Don’t Be Someone Else」で“自分らしくいようよ”と励まし、「Gotta Find A Light」で“あなたは自分の人生を生きられる”と勇気づける。状況が好転してきているとはいえ、まだまだ不安な要素が溢れかえる日々だ。彼らの音楽は、パワフルでありながら「それぞれが光を失わず進んでいけるように」という厳かな祈りのように響いた。
サポートメンバーがステージから去り、導かれたのは新旧の楽曲で組まれたスペシャルメドレーだ。2010年からある「She’s The Only One Who Makes Me Rash」に始まり、「P.O.M」「Black & Blue」と披露。4人のみで奏でられるバンドサウンドは、小さいライブハウスで音を聴いているかのごとく、ヒリヒリとした熱が耳に焼き付く。この夏を彩った「Summertime」を繋ぎ、爽やかな空気で会場中を包みこんだ。