『A Promise』インタビュー
結城アイラ、至極のラブソングで開いた新しい扉 『暗殺貴族』とリンクする“約束”の歌
実際の恋愛がモチーフとなった「Awkward love」
ーー英語バージョンを聞くと、また新しい発見がありますね。
結城:前作同様、Joelleさんに英訳をお願いしたんですけど、英語の歌詞は韻を踏んでいくじゃないですか。なので今回もたくさん韻を踏んでくださっていて。だからかすごく歌うのが難しくて。いつも英語の発音チェックに来てくださる方がいるんですけど、その方ですら「(この曲は)ネイティブでも難しい」とおっしゃっていたくらい。それだけ言葉が詰まっているんですよね。
ーートラックがシンプルな分、言葉でグルーヴを作っている感じですよね。その言葉なんですが、英詞だと〈YOU〉や〈I〉のように主語が明確になっているので、そこでようやく〈夢でまた会おうね〉と呟いたのが“私”の方だったんだって気づいたんですよね。
結城:日本語の方が英語よりもふわっとしてるというか。主語が誰なのか、色々な考察ができるようになってるんですよね。ただ、Joelleさんには、これは“私”が言ってるとか、“あなた”が言ってるとか、特にお伝えせずに訳していただいていて。だから、Joelleさんなりに感じたままの訳になっています。〈夢でまた会おうね〉と言ったのが“私でも“あなた”でも成り立つと思いますし、どちらにしても登場人物たちが知っていく愛情や温かさを感じてもらえたらいいなと思いますね。
ーーラブソングなので、アニメを見ていない人でも共感する方は多いと思います。
結城:確かに。例えば遠距離恋愛をしている方とか。会えないという寂しさはあるけど、その人のことを思っている切ない時間というのは愛の時間だと思うんですね。〈夢でまた会おうね〉と言える関係に憧れながら、そんな素敵な“約束”ができたらいいなという思いで書きました。
ーー今おっしゃった“約束”が曲のタイトルにもなってます。
結城:実はこの「A Promise」というタイトルから先に考えて、その後で歌詞と曲を同時に書いたんですね。これも本編とリンクするところがあるんですけど、ルーグとディアは少し離れ離れになってしまうんですけど、「絶対にまた会おうね。約束だよ」って約束する場面があるんですよ。 “A”をつけたのは、「二人だけの約束」「二人しか知らない約束」というところを強調したいなと思って。それが一番大事なキーワードかなと思い、“約束”というタイトルから作り始めました。
ーー3バージョンあることで、より複層的な捉え方ができる曲になってますね。
結城:こんなに作ってもらえるなんて、という感じですね(笑)。英語バージョンに関しては前回からシリーズのような感じでやっているんですけど、まさかヒロインであるディアとして上田さんが歌ってくださるとは想像もしてなかったです。
ーー本作にはもう1曲「Awkward love」が収録されています。
結城:“Awkward”にはぎこちない、不恰好、情けないという意味があって。表題曲では幸せなラブソングを書かせていただいたので、せっかくならカップリングは反対の方がいいかな、と。
ーーせっかくなら?
結城:うまくいかない感があった方がいいなと思いまして(笑)。実は、周りのスタッフさんや友人と話している時に恋バナを聞く機会が結構あって。この曲はそこで色々な話を聞いているうちの1つですね。
ーー実際の恋愛がモチーフになってるんですね。
結城:この曲の主人公は私ではなくて男の子なんです。大人になるにつれて、気持ち1つ伝えるのも難しくなっていくことってあるなと思って。ちょっと不器用な恋愛の曲を書いてみたいなと思いました。
ーー結城さんはこの曲に共感します?
結城:女の子だったら、例えば告白して振られたら「はい次、次」ってなるかもしれないけど、どうかな。この曲の主人公みたいに、「絶対に無理だから」って全拒否されても諦めがつかないっていう気持ちは、わからないでもない。拒否されて、例え叶わなくても君の視界には入っていたい。それほど好きな気持ちがあることについては、理解できます。
ーーこの男の子は片想いのままで終わっちゃってますよね。
結城:そうですね。だから“Awkward”なんだろうなと。主人公の彼が自分で曲を書いているとしたら、「不恰好だな。情けないな。カッコ悪い愛だな」って感じたからこそ、このタイトルを付けたんだと思います。
ーーサウンド的にはどんなイメージでしたか。
結城:ぎこちない感じを出したかったので、サビっぽくないサビにしていたりして。なので今まで作ったことのない構成になった感じですね。とにかく一番にこのストーリーを伝えたかったので。
ーーアレンジは、田熊知存(Dream Monster)さんで、90年代のR&B感がありつつ、ピアノソロにビバップのフレーズも入っていたりして。
結城:ジャジーでおしゃれですよね。綺麗なコーラスも作っていただいて。私もデモでコーラスは入れたりしてたんですけど、最終的には田熊さんがコーラスワークを入れてくれて、より素敵にしてくださいました。懐かしい感じもありつつ、今の若い人たちが聴いて新しく感じてもらえたらいいなと思います。
ーーご自身にとって今作はどんな1枚になりましたか。
結城:こんなに恋愛恋愛したものは初めてなのでソワソワしますね。あと、ちょっと照れ臭いです(笑)。それと「A Promise」はMVが今回リリックビデオになっています。
ーー今作以降の活動についてはいかがですか。
結城:来年デビュー15周年でもあるので、色々と考えてはいます。状況が良ければライブもやりたいですし、何かしらの形でアルバム的なものも出せたらいいなと。
ーー作詞家としてのお仕事も忙しいかと思いますが、アルバムも期待していいんですね。
結城:作詞やプロデュースを含め、色々やりたいなと思いますが、2017年にリリースさせていただいたデビュー10周年記念ベストアルバム『decade wind』の最後に「うた」という曲を収録していて。その中で歌について〈私の誇り〉と書いたように、どんな形でも死ぬまで歌っていきたいという思いはあります。
■リリース情報
結城アイラ
『A Promise』
発売日:2021年11月10日(水)
品番:LACM-24153
価格:¥1,430 (10% 税込 )
01. A Promise
02. A Promise ( ディア Ver.) 歌:ディア (CV. 上田麗奈 ) 03. Awkward love
04. A Promise (Off Vocal)
05. Awkward love (Off Vocal)
ランティスHP:https://www.lantis.jp/artist/yuukiaira/
結城アイラ公式:Twitter:https://twitter.com/airayuuki