ELLEGARDEN、10-FEET、マキシマム ザ ホルモン……ライブハウスで鍛え上げられた3組がいま再会する意義
2021年10月1日、日本のライブキッズたちの間で、驚きと喜びの入り混じった歓声が沸き上がった。ELLEGARDEN、10-FEET、マキシマム ザ ホルモンによる3マンツアー『Reunion TOUR 2021 ~Eat music in the same LIVE HOUSE~』の開催が発表されたのだ。「2000年代初頭、機材車1台で全国各地のライブハウスを駆け回っていた3バンドが、文字通りライブハウスで再会(=Reunion)する」(※1)という短い説明の中に、深い感慨を覚える人は少なくなかっただろう。私も、そのひとりだ。
2000年代初頭、本当にこの3バンドは全国各地のライブハウスを駆け回っていた。余計なお世話だけど、「家賃がもったいないんじゃないか?」と思うほどに。連絡を取るために、「今日はどこにいるんだろう?」とスケジュールをチェックし、仙台で10-FEETにインタビューしたり、各地でELLEGARDENのライブを観たこともあった。ホルモンのフライヤーには日程の隙間がなく、各地のライブハウスの名前が並んでいて、いつも驚いていたっけ。
とはいえ当時は、他にもライブハウスを駆け回っているバンドが多かったのだ。言ってしまえば、2000年代はライブハウスを中心にロックシーンが作られていたように思う。その頃に様々なバンドにインタビューする上で、よく節目として語られていたのが『AIR JAM 2000』だった。ライブハウスから飛躍していったHi-STANDARDと仲間たちが、時代を揺るがした巨大フェス。それを観て多くのキッズが思ったはずだ。「ライブハウスには夢がある」と。あのフェスが2000年代のロックシーンに火をつけたことは、間違いないだろう。『AIR JAM』に憧れて、小さなイベントを開催するようになった人。Hi-STANDARDに憧れて、レーベルを立ち上げた人。DIYのスタイルにこだわるようになったバンドたち。そして、その中の多くの人たちが先人に倣うだけではなく、「負けてらんねえ!」という情熱を口にしていた。そのために、たくさんライブハウスを回るという活動は、今振り返ってみればまっすぐすぎるのかもしれない。しかし当時、その活動はどんなやり方よりもかっこよく見えた。“ライブがかっこいいバンドこそがかっこいい”という価値観は、半歩遅れて盛り上がっていったフェスカルチャーにも、大きく影響を与えたと思う。
時代背景も大きく関わっているとは思う。誰もがインターネットを使いこなし始めたばかりだったあの頃、メディアに出ない(「出ない」ことを選択しているバンドも、今以上にたくさんいた)なら、全国各地のライブハウスに行って、直接音楽を届けるしかなかった。しかしこの価値観は、SNSが広まろうとも、YouTubeや配信で音楽を楽しめるようになろうとも、ほとんど崩れることはなかった。コロナ禍になって、配信ライブが増えても「これも嬉しいけど、やっぱり実際にライブハウスに足を運びたいな」と思ってしまう私たちの価値観は、かなり強固なものなのだと思う。その価値観に大きく影響を与えたのが、ELLEGARDEN、10-FEET、マキシマム ザ ホルモンなどのバンドであることは間違いない。
ELLEGARDENは復活後、『NANA-IRO ELECTRIC TOUR 2019』に続いての仲間たちとのツアーということで、今回特に話題を呼んでいる。以前も今も、本当に仲間たちに愛されているバンドだなあとつくづく思う。でも当時、リアルタイムでライブを観ていた記憶としては、ELLEGARDENがホルモンや10-FEETに食らいついていた印象がある。彼らはもともと楽曲はずば抜けてよかったけど、骨があるライブバンドになるためには、いかにして進んでいけばいいのかを、ホルモンや10-FEETといった周囲のバンドから吸収していったのではないのかなーーというのは、あくまで私の推測混じりではあるけれど。