ELLEGARDEN、10-FEET、マキシマム ザ ホルモン……ライブハウスで鍛え上げられた3組がいま再会する意義
そういう意味で言うと、10-FEETは2000年代にライブハウスまっしぐらで活動していたバンドのど真ん中な印象がある。まっしぐらすぎて、疲弊しないか心配なぐらいだった。でも彼らは京都にホームを移し、さらに『京都大作戦』というフェスを立ち上げて、明確に帰る場所を位置づけてからは、より表現に邁進できるようになったところはあると思う。
そして先ほど「まっすぐすぎる」と書いたけれど、この表現がマキシマム ザ ホルモンには似合わないのではないか、と思った人もいるだろう。彼らは特に2000年代後半から、捻りの効いたリリースやライブが増えたから。でも、若い頃にまっすぐにやり切ったからこそ、絶頂期を迎えてから、それまでに育てていた捻りのセンスを炸裂させることができているのだろう。
そして、この3バンドも含めて、2000年代にライブハウスで活動していたバンドは、特に横のつながり、同世代に対する思い入れが強いように思える。ライブハウスを回っていれば対バンで出会うこともあるわけで、同じ釜の飯を食いながら(例えではなく、実際に機材車に炊飯器を積んでるバンドもいたっけな!)自然と生まれていった絆なのかもしれない。個々で活躍を続ける今も、関係性は変わらないことが今回のツアーの実現にも象徴されているし、やはりライブハウスの出会いって特別なんだなとつくづく思う。
言うまでもないが、コロナ禍になってライブハウスは苦境に立たされている。そんな今、かつてライブハウスに鍛えられ、“ライブがかっこいいバンドこそがかっこいい”という価値観を築き上げた3バンドがタッグを組み、全国ツアーを行う意味は非常に大きいと思う。彼ら自身のライブハウスへの恩返しというだけに留まらず、ライブハウスを回っていた時代があって今の自分たちがいるんだよ、ライブハウスでしか得られないものってたくさんあるんだよーーそんなメッセージが聞こえてくる気がしてならない。
ツアーは、12月1日の東京 USEN STUDIO COASTを皮切りに福岡、札幌、仙台、名古屋、大阪と全国のライブハウスを巡り、12月21日に東京 Zepp Hanedaにてファイナルが開催される。足を運ぶ人は、3バンドが火花をちらすパフォーマンスはもちろん、ぜひ“ライブハウス”を噛みしめながら楽しんでほしい。
※1:https://realsound.jp/2021/10/post-871950.html