ハリー・スタイルズ「Falling」も話題 BTS JUNG KOOK、カバー曲で聴ける素の歌声の魅力
BTSのJUNG KOOKが、10月28日にハリー・スタイルズのヒット曲「Falling」(2019年)をカバーし、公式YouTubeチャンネル『BANGTANTV』にアップした。視聴回数は24時間以内に900万回を突破。公開から1週間が経った11月4日現在も1800万回超と、その数字を伸ばし続けている。
この曲は、“なりたくない自分になってしまっているのではないか“と、繰り返し自分自身に対する迷いを問いかける。一節によると、当時のハリー・スタイルズ自身の心境が反映されている楽曲とも言われており、まるで心の叫びのように感情が溢れ出てくる印象だ。
そんなハリー・スタイルズが歌う「Falling」に対して、JUNG KOOKが歌うバージョンはより歌の中の「僕」が駆られる自責の念を1人心の中でグッと噛み締めているような、孤独と切なさを感じる仕上がりだ。原曲の持つ魅力を崩すことなく、それでいてJUNG KOOKの歌声だからこそ描くことができる歌の世界観を丁寧に展開していく。そんな表現力の豊かさに、改めてBTSの“黄金マンネ(何でもできる末っ子)“だと脱帽させられる。
2016年、JUNG KOOKの歌唱力が大きく注目されたひとつのきっかけとして、韓国の音楽番組『僕らの日曜の夜-覆面歌王』(MBC)でのカバー曲披露があった。顔も名前も隠して歌だけで勝負するこの番組で、JUNG KOOKはBIGBANGの「IF YOU」を披露。当時、BTSに対する評価はビジュアルやパワフルなパフォーマンス力には定評があったものの、そこに歌の実力が認められることになったターニングポイントとも言われている。
20歳だったJUNG KOOKは、それでも「まだボーカルの実力が足りない。歌が好きな少年がいるということを知らせたかった。今後も発展し続け、皆様の耳を捉え、感動を与える歌手になりたい」と謙虚なコメントを寄せていた。その発言の通り、彼の“歌がうまくなりたい“という想いは、場所を選ばず練習を続ける姿やステージ裏で「うまくできなかった」と悔し涙を流す姿として、ARMY(ファン)たちの記憶に残っている。
JUNG KOOKのそんなストイックな姿勢を見ていると、彼にとってステージで披露する歌はまるでアスリートが競技をするようなものなのではないかと感じる。毎回完璧を目指して入念に調整を行い、少しでも納得の行かない部分を見逃さない。激しく踊っても一切ブレることのない歌声に、鍛え上げてきたフィジカルな強さを痛感させられる場面も多い。
だからこそJUNG KOOKがカバー曲を披露する場面は、ある意味でエキシビションのようなものに感じるのだ。自分自身が追い求め続ける「完璧さ」から解放され、自由な技と演技を披露する場。そして「歌が好きな少年」が「感動を与える歌手になりたい」と発展途上の自分を受け止め、思う存分楽しむことができる場なのではないかと。