NGT48 荻野由佳、グループの希望であり続けた6年半の集大成 「ありがとう」が溢れた卒業コンサートをレポート
NGT48 荻野由佳の卒業コンサート『荻野由佳卒業コンサート ~私をアイドルにしてくれてありがとう~』が、10月30日に朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンターで開催された。
まず、触れるべきはその開催場所だ。朱鷺メッセとは、最大で1万人を収容するコンベンション施設。新潟駅からのアクセスもよく、同時にNGT48劇場からもほど近い、ファンにとっては馴染み深い会場だ。NGT48にとって新潟では初の単独コンサートとなった同会場での開催は2018年4月で、『~朱鷺は来た!新潟から全国へ!~』と副題が付けられた単独コンサート、グループのキャプテンとしてAKB48から移籍し立ち上げに尽力した北原里英の卒業コンサートという昼夜2公演だった。
あれから約3年半が経ち、ようやくNGT48はこの会場に戻ってくることができた。荻野由佳の卒業コンサートの中で、メンバーは口々に「由佳ちゃん(さん)、私たちを朱鷺メッセに連れてきてくれてありがとう」と感謝を述べる。アンコールでVTR出演した北原までもがだ。後述するが、荻野の功績あっての2度目の朱鷺メッセであることを誰もが理解している。そして、荻野自身は「朱鷺メッセに連れてきてくれてありがとう」と会場に集まったファン、LINE LIVE-VIEWINGで観ているファンに感謝を伝えた。どんな時も応援し続けてくれたファン一人ひとりの存在によって、荻野由佳というアイドルが形成されていったこと、アイドルでいられたこと、一人ではないということを荻野自身が受け止めている。そんな「ありがとう」の気持ちが循環する幸せな空気が朱鷺メッセには流れていた。
また、驚いたのがこの日のセットリストだ。昼公演の単独と11月8日にNGT48劇場で行われる卒業公演が控えているとはいえ、荻野の卒業コンサートのその7割以上がAKB48の楽曲だったからだ。コンサートの幕を開けたのは、あの渡辺麻友も卒業コンサートの1曲目に選んだ「初日」。スペシャル朱鷺衣装に身を包む荻野はこれまで紡いできた自分だけの「初日」を歌い上げていく。荻野が登場しない「渚のCHERRY」「抱きしめちゃいけない」「ファーストラビット」といった楽曲でメンバーにステージを託したユニットコーナー。その中で、ハイライトとなったのが中井りかとの「おしべとめしべと夜の蝶々」、西潟茉莉奈との「思い出のほとんど」だった。
『AKB48選抜総選挙』においては早くから注目され、共に励まし合っていたライバルであり、プライベートでは一緒に出かけるほど仲の良かった荻野と中井。「おしべとめしべと夜の蝶々」は、AKB48の楽曲の中でも指折り数えるほどにアダルトな歌詞と衣装が特徴的だが、間奏の“茶番”によってその妖艶な雰囲気は一気に晴れていく。そんな2人だけの空気感が如実に表れた、いい意味でお茶目な「おしべとめしべと夜の蝶々」だったように感じる。
ラストで荻野の唇を奪った中井を敵視するメンバーがいた。それが西潟。荻野は『第2回 AKB48グループ ドラフト会議』で北原と柏木由紀から指名されたドラフト2期生という位置付けでもあるが、その際に一緒に指名されたのがバイトAKB時代からともに活動してきた盟友・西潟だった。「西荻」とも呼ばれる2人の関係性を表すのに「思い出のほとんど」以上にぴったりな楽曲はほかにないだろう。西潟の「6年半お疲れ様でした。これから先もずっと大好きだよ」の言葉で涙が溢れる荻野。泣き笑いしながらも固く繋がれた手が、これから先も2人の友情は続いていくことを示していた。