藤井風、iri、SIRUP……ボイストレーナーに聞く「歌うま」では語りきれない声質の魅力

 Official髭男dism、優里、King Gnuなど昨今の人気アーティストにも見られる、声量、強弱や抑揚=ダイナミクスともに大きくインパクトのある歌唱法は、誰が聴いても「歌が上手い」という印象が残りやすい。一方で、歌の上手さ以上に声質の印象が際立っているアーティストがJ-POPシーンには多く存在する。最新曲「燃えよ」が好調な藤井風、ベストアルバム『2016-2020』をリリースしたばかりのiri、Soulflexとしても活動するSIRUPといった、R&Bの曲調を得意とするアーティストだ。同アーティストは力強く押し出すタイプの歌声というよりは、空間を漂うようなニュアンスと、語りかけるようなグルーヴが魅力的だ。

 では、その3人のアーティストの歌声を、ボイストレーニングの観点から分析するとどのようなことがわかるだろうか。前回、インタビューを行ったボイストレーナーのMinnie P.氏に語ってもらった。

狭い音域で歌を上手く聴かせることはかえって難しい

「iriさんやSIRUPさんは、そこまで広い音域を歌ってはいないのですが、自身の声質に合った音域の設定を効果的にされていると思います。狭い音域で歌を上手く聴かせることはかえって難しいので、技術力も要しますし、歌に“余裕”が必要になってきます。お二人ともハイトーンや裏声を使った歌い方もできるアーティストだと思いますが、あえて狭めの音域で抑制的に歌うという選択をされている。特にiriさんは低音に華があり、喋るような自然な歌声が魅力的ですね。淡々と歌って魅力的に聴こえるというのは、声そのものが良いということに尽きます」

iri 「ナイトグルーヴ」 Music Video
SIRUP -Change- (Official Lyric Video)

 両者の歌声に共通する”余裕”が、聴く人の耳に心地良さを運んでくれることは間違いないと思える。また、広くない音域設定もそれらを引き出す重要なポイントのひとつなのかもしれない。では、藤井風に関してはどうだろうか。

「藤井風さんは、曲ごとにニュアンスを変えることに長けていると思います。『きらり』と『燃えよ』の歌い方の違いの出し方も素晴らしいですね。音域が広く声量もあり、太い声帯を持っていると感じます。それでいて今時の感情表現が少なめの歌い方も上手いなと」

藤井 風 – “きらり” Official Video
[藤井 風 – “燃えよ” Official Video]

 藤井風の歌唱表現の幅広さは、声のプロであるボイトレの観点からもはっきりと言えることがわかる。音域の広さと声量、声帯の太さが感じられる部分は「燃えよ」、感情表現が少なめの歌い方は「きらり」に、それぞれ現れていると言えるだろう。



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