櫻坂46、一人ひとりの成長が結実した結成1周年の集大成 『1st TOUR 2021』ファイナル公演を徹底レポート

櫻坂46『1st TOUR 2021』ファイナルレポ

 「最終の地下鉄に乗って」では電車に見立てたトロッコに乗ったメンバーが、アリーナ後方に設置されたサブステージに移動。続く「思ったよりも寂しくない」ではサブステージ中央に燃え盛るキャンプファイヤーを囲み、メンバーが満面の笑みを浮かべながら元気いっぱいに歌い踊る。MVの世界観をそのまま投影した演出は、さながら初ツアー成功をみんなで祝うようにも見え、曲が進むにつれてメンバーの歌やラップがどんどん力強くなっていく。さらに、「それが愛なのね」ではステージ天井で回転する球状LEDスクリーンが巨大なミラーボールへと変化。センターの山﨑が元気な煽りを入れるなか、メンバーはダンスフロアさながらのエネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げ、ライブ後半に向けてさらに熱を高めていった。

 「それが愛なのね」でひとしきり盛り上がったあとは、菅井と山﨑が息の合ったペアダンスで場の空気を変えていく。これに続くのが、今回のさいたまスーパーアリーナ公演が初お披露目となった「ソニア」だ。“櫻エイト”を除くバックスメンバーのみで歌われるこの曲では小池美波がセンターを務め、純白の衣装と相まって爽やかさと柔らかさを兼ね備えたパフォーマンスに目を奪われる。3rdシングル『流れ弾』にてこうしたユニット曲が加わったことにより、グループとしての新たな可能性を感じ取ることができたのではないだろうか。

 また、「ソニア」歌唱後にはバックスメンバーを中心にMCが進行。ツアーを振り返り、増本綺良や上村莉菜、原田葵などが宿泊先や食事の思い出を語るなど、和気あいあいとしたやりとりが続いた。ここでは松田を中心にMCが進行したのだが、安定感の強いトーク力により間延びすることなく楽しむことができ、こういった点からもメンバー個々の成長を感じることができたはずだ。

 和やかなトークを経て武元唯衣が「私たちはこれからも止まらず、前に進み続けます」とメッセージを送ると、ライブもついに後半戦へ。荘厳なSEに導かれるように、白地に緑をあしらった衣装のメンバーはデビュー曲「Nobody's fault」で力強さと可憐さを表現していく。スカートの裾をはためかせる女性的な振り付けは、櫻坂46ならではの特徴的な表現であり、それに合わせるように変化していく表情も非常に見応えがある。特にこの曲はリリース後、なかなか観客の前で披露することができなかったこともあり、ここ最近の有観客ライブを通じて大きく進化していることが窺えた。

 続く「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」では天井から垂らされた布を使った演出が用意され、センターの藤吉に巻き付けていく様は、MCにおける糸を使ったパフォーマンスを彷彿とさせる。巻きついた布から解き放たれた藤吉が見せる開放的な表情は、この曲を通じて成長を続ける彼女の姿がそのまま投影されているようでもあり、非常に感動的であった。さらに「Buddies」では、「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」での開放感がさらに増幅されるとともに、曲終盤に山﨑が発した「次に会うときは、もっともっと大きなグループになっていることを約束します!」というメッセージからは、グループの未来が希望に満ちたものであることが伝わってきた。

 デビューシングルからの3曲を経て、ステージ後方には巨大な桜の木が登場し、場の空気を急上昇させるかのように、2ndシングル表題曲「BAN」が投入される。客席がペンライトで赤一色に染まり、ステージ上には桜の花びらを象った紙吹雪が舞う。先ほどの「Nobody's fault」でもそうだが、センターを務める森田を観て、小柄さをまったく感じさせないダイナミックな動きと、歌詞によって表情を変えていく表現力の高さに圧倒された。数々の楽曲でセンターを経験し、確たる自信を得たことがこういった成長につながったことは間違いないだろう。

 「BAN」が終わると、ステージにひとり残った山﨑が手にしたスマホにメッセージが着信。そのまま映像へと切り替わり、櫻エイトのもとに次々と「ミタゾ」のメッセージが届く。そんな不穏な空気を断ち切るかのように、スクリーン内の田村保乃が拳銃を構えると、実際のステージ上にも拳銃を構えた田村の姿が。息を切らしながら一発撃ち抜くと、そのまま本編ラストの「流れ弾」がスタートする。なんともドラマチックな演出だ。MVでも着用した黒い衣装に裸足という姿で、グループ史上最も激しいダンスを全力でパフォーマンス。センターの田村は不敵な笑みを浮かべながら、圧倒的な存在感を提示する。「流れ弾」とともに進化を続ける彼女の、現時点でのベストパフォーマンスと呼べる1曲を終え、再び拳銃を手にした田村は空に向けて再び一発放ち、ステージをあとにする。そしてスクリーンには映画のエンドロールを思わせる映像が流れ、シアトリカルな演出とともにライブ本編は幕を下ろした。

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